「私が査察で何を見極めたいか、それを知れば否応なく出したくなるだろう」
再読。1巻の騒動から少し生活に潤いを求める事を決めた由宇は、音楽に手を出してみる事を決めて。
監禁された彼女がそのために取った手法が「無害そうな遺産技術の知識を対価に、ヴァイオリンの名器を手配してもらう」だったのがもう……彼女らしくて笑えます。
一方の闘真はスフィアラボでの一件を経て、自分に流れる血の抱えた問題についてひとまず折り合いをつけて、自分の殺戮衝動を秘めた人格を呼び起こす鍵である鳴神尊を手元に置くことを決めたわけです。
そうやって2人が日常において少しずつ前に進む中で、遺産を巡る事件は待ってはくれず。
とある会社が携わる兵器開発において、不法な遺産技術の使用の可能性があるということをADEMは掴み……査察を行うことに。
その動きを察した由宇はそれに同行する子を決めたり、彼女の事を忘れられずにいた闘真がADEMに近づこうとするも情報制御用のブレインプロテクトに阻まれて叶わず……しかし、伊達の秘書である八代の策略で査察の現場に送り込まれることになって。
またしても2人は遺産事件の渦中で再会を果たすことになったわけです。
今回の発明品レプトネーターは、変形によって蜘蛛型をとって狭い場所であっても自在に動ける、対遊撃戦能力向上を狙って開発されたロボットだったそうですが。
当初開発は難航しており……頓挫間近に、主任が怪しいメールを見てそれに唆されてしまった、というまぁ破滅するよな……という展開で生まれてしまった産物でしたが。
遺産を狙う組織ミネルヴァのエージェントが現場に乗り込んできたりして、危うい状況もありましたが、今回は現場に出ていたADEMトップの伊達や由宇も闘真も無事に生還できたのはせめてもの救いか。
しかし、由宇からこのままいくと闘真が壊れてしまうから戦うな、なんて助言をもらう不穏な幕引きにはなったんですよねぇ……。