気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと2 百合の間に挟まる男として転生してしまいました

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「決まってんだろ」

俺は、満面の笑みを浮かべる。

「お前の物語は、ハッピーエンドにするって誓ったからだ」

 

豪華客船で行われる学園のオリエンテーション合宿に参加することになったヒイロ達。

相変わらず男でスコア0なヒイロの立場は微妙ですが。ラピスやレイたちには構われまくりで。

そんな状態でヒイロはゲーム主人公である月檻桜に、他のヒロインたちとの縁を深めてもらおうと画策していますが、彼女はなぜか相変わらずヒイロにご執心で。

 

だからかヒイロに「ちょっとオフィーリアの肩を抱いて」って言われたら実行に移してくれるわけですが。でも自発的にやってないから「飽きた」って放置するわけですが。

例え自分の作為が入っていようと百合の尊さから栄養取れるヒイロは、相変わらずテンションバグってるな。

百合を堪能するためにイベントごとの片隅で光学迷彩駆使して隠れたりしてるの、やっぱりおかしいよ……。

 

まぁいつも通りと言えばいつも通りの行動をヒイロが取っている中で、オリエンテーションでは彼の知っているゲームイベントにはなかった「おかしな出来事」が多発していって。

それは例えば、予期せずラピスが襲撃されることだったり。

魔神の信奉者が予想以上に潜り込んでいることだったり……本来なら最終日にまみえるはずの魔人アルスハリヤが、オリエンテーション途中で君臨までしてきて。

本来であれば主人公である月檻が解決してくれるが、一日早い襲撃というイレギュラーにヒイロは身構えて……結果として、新ヒロインをまた攻略して彼女の継いできた武装を託された上で、アルスハリヤと戦う羽目になっていたのは……まぁもうそういうめぐりあわせなんでしょう。

 

百合の事になるといろいろとおかしくなるキャラではありますけど。百合……ひいては少女たちのことを守りたいという心は本当で、純粋故に強固なものでもあって。その意思を貫いたのはお見事でした。

アルスハリヤ、百合を壊す存在であったがためにこれ以上ないほどの殺意をヒイロに向けられまくってたの笑っちゃた。ヒイロ、1から10までアルスハリヤに殺意マシマシの攻撃しかしないんだもんな。

「俺はお前に死んでほしいが、それ以上にお前を殺したい」じゃないんだよ。なんでこんなノリで戦闘始まったのにしっかり要所で格好いいんだ。

刹那の風景4 68番目の元勇者と訳ありの依頼

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「『依頼主の要望を優先する』というのは正論だ。だが、それだけでは駄目だ。『冒険者が働くための環境を整える』という視点も、一方で持つようになていかなければならない。それが、上に立つ者の役目だからだ。というのも、下の者がいくら声高に叫んでも、働く環境は変わらないことが多い。だからこそ、意見がとおりやすい立場になった者が環境を改善してやる必要がある」

 

サイラスに託された願いを果たす協力を果たせたセツナ。

薬の製法についてギルドに教えることになっていたが、サイラスを助けるために後回しにしてしまっており、特別事後申請をするかどうするか、という問題があって。

サイラスが送り出された魔法陣だったり、山脈にある洞窟だったり国家機密にふれることになるので、ギルドに全部伝えるのは控えて欲しいというようなお願いも国王からされることになっていましたし。

 

しばしリペイドで活動することになったセツナはアルトと一緒にギルドで仕事を探すことに。

薬の調合についての依頼が貢献として認められて、セツナは一気にランクアップすることになったりもしていましたが。

その中でも、アルトは獣人の老人の話し相手・雑用という依頼を選んだり、セツナはトラブルに見舞われた花屋の手伝いだったりを選ぶあたりが彼ららしいというか。

アルトは依頼主が獣人だったから選んだだけで、色々と抜けもあって。セツナは依頼の裏事情なんかも察しがついたので、アルトに受けさせるかどうかを悩んだりしていましたが。

 

アルトの見つけた依頼を出していたラギ老人は、セツナと師弟関係も含めて受け入れてくれてましたし、依頼を受けていく中で、それぞれにとって良い学びがあって良かったですねぇ。

花屋の手伝いをする中で、リペイドの貴族の風習の一つである「婚約者の女性に12日間続けて贈り物をして、気持ちが変わらないかを確かめる」というものに関わることになったセツナ。貴重な時の魔法すら使った大盤振る舞いでしたけど。

その送り先である女性も含めて喜んでくれたのは良かったですねぇ。時の魔法に関しては、後々面倒そうな火種ではありますが。



刹那の風景3 竜の縁と危亡の国

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「生き様が自由にならないのであれば、死に様ぐらい自由に選べばいいんじゃないでしょうか……。そうは思いませんか?」

 

過去に過ちを犯して封じられていた竜人の娘、トーゥリと出会ったセツナは一目惚れから告白して、仮の誓約を結んで婚約状態となった。

竜人のしきたり的にはまだ結婚成立していないけれど、セツナ視点だと一貫してトゥーリを「妻」と呼んでいるの、思いの強さが出て良いですね。

そうやって大切なモノが増えたセツナが、弟子のアルトとゼグルの森で過ごしていた時に、魔物に食べられそうになっていた男性を発見。

 

死を望むのであれば放っておこうかと思ったようですが、何度か問いかけた結果「まだ死ねない」と口にしたため、助けることに。

今回、巻頭にこの世界のワールドマップが掲載されていました。通常の人には越えられない連峰によって大陸の南北はほとんどさえぎられているみたいですね。

セツナ達が過ごしていたガーディルやクットというのは、大陸の南側。そして今回保護したサイラスは、北側の国リペイドの騎士だった。

彼は冤罪によって罪に問われ、「魔の国」へ送り込まれるハズだったというが……実際はクットに居た。

 

厄介ごとの気配を感じ取ったセツナは彼への対応について少し迷っていましたが、アルトはいつもセツナが「困ってる人がいたら助けてあげようね」と言っていたのを覚えていため、内心嫌な気持ちはあれど、サイラスを助けるための道のりについ言及し始めて。

サイラスとセツナが話し合っていく中で、リペイドの抱えていた問題やサイラスに期待されていたことなんかの答えも見えてきましたが。

リペイドの想定通りにいかない、という情報をセツナは持っていた。その上で、カイル達に与えられた知識の中に、解決策があってそれを開示するかという悩みもまたあった。

結果的にサイラスを助けることになっていきましたが、その道中でまたしても予期しない出会いがあったのには驚きましたね。

 

地理の説明の為にセツナが用意してくれた地図を欲しがったアルトが、それに「その国でもう一度食べたいものを書いて、自分の宝の地図にする!」という姿は微笑ましかったですねぇ。

自由に旅をしたいセツナですが、カイルから与えられた数々の恩恵によって、国の視点では逃したくない人材になっていて、厄介ごとに関わるとそういう柵が迫ってきて面倒だなぁ、と思いますが。

トゥーリの兄と出会ったことで、ますます竜王への不信が募ったりするし。カイルが土地の呪いを残した理由も気になるしで、いつかこの問題には対峙することになるんだろうなぁ。

幼女戦記24

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「もう充分逃げた!! そしてあらゆる準備をしできる限りの根回しをしてきた!!」

「そして必勝を確信し勝負に出たのだ!! ここで敗れては最早 再起は出来んッ!!」

「私はここを一歩も退くつもりは無いッ!!」

 

南方戦線に一つの区切りがつくことになる24巻。

一ヶ月の時間が流れた南方戦線は、互いが準備を整えて本格的にぶつかる段階に。

時間経過は各国の支援を受けられるド・ルーゴ側に利して、逆に帝国は寄せ集めの弱みが出始める状況であった。

 

読み合いにおいてド・ルーゴに食らいつける姿を見せてきたロメールでしたが……もう、地の文でド・ルーゴがロメールの事を「この時 確かに上回っていた」と称されていましたしね……。

実際ロメールも負けを認める見事な運用でありました。

 

相変わらず嚙み合っていないロメールとターニャは、作戦前に打ち合わせをして。

ターニャは危険な最前線を避ける哨戒任務に就いたと思っていたけれど、ロメールからは最悪の場合大隊単独で敵にあたるつもりだな、とみられていてどこまでもズレてるんだよなぁターニャ。

でも、彼女のそんなともすれば突飛ともとれる行動が戦場においては奇跡的な展開を生み出すんだから、ド・ルーゴだって笑いが止まらなくなるのも無理はない。

 

エール・オブ・エース「光の剣」デボラ中佐と、ロメール少将がターニャ達の奮闘によって戦況が変化したのを機敏に察知して方針を転換しているの強いですよねぇ。

フランソワの貴公子の奮闘によってド・ルーゴが辛くも生き延びていたのは、後顧の憂いになりそうではありましたが。総力戦によって兵力が減少したことで、最終的には痛み分けに持ち込めたのはせめてもの救いか。

ターニャが九五式を使ったとき「爆圧」「爆縮」「衝撃波」の矢印でモブの吹き飛び具合表現してるコマが、被害甚大だけどコミカルで笑っちゃった。



幼女戦記23

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「魔導中佐 貴官ならば勝てるか? デグレチャフに」

「無理でしょう 彼女に勝てる者がいたとするなら それはもはや人ではありません」

「では自由フランソワ共和国軍は 神に祈るべきだな」

 

久しぶりの神界からスタート。

戦乱によって人々の信心が高まっていることを喜んで、無神論者が世に増えていることを嘆く。いやはや、神の視点というか恐ろしいですねぇ。

彼らの干渉はこちらの意志を尊重してはくれないけれど、その意思までを操り人形のように動かすまではしてこないんですよね。

……まぁ、かつて干渉を受けたマッドサイエンティストがエレニウム突撃宝珠を完成させて、信心にめざめたヤバいマッド化したのを思うと、それが救いかというと別問題な気もしますけどね。

 

ルーシー連邦内部で帝国への恐ろしさを唱える人物がいて。

「叩くべきは今」と焚き付けた結果、我々には勝利が必要だと団結してしまったのは厄介極まるよなぁ。

帝国は本当にいろんな条件が合わさった結果、地力はあるとはいえど周囲から睨まれすぎて、ジリジリと削られて行ってますねぇ。

 

戦場がまた動くことになって第七戦闘団に配属された二〇三大隊。

中佐に挨拶をしていましたが……ターニャが少年兵であることを見て、慣れぬ気候とストレスからか胃に痛みを覚えて……そのまま倒れてしまうことに。

次席の少佐はターニャの軍大学時代の同期であり、戦地にあって冗談を言える余裕をもった人物でありましたけど。

……そんな秀でた人物だろうと倒れていくのが戦場なんですよねぇ。

 

そうやって戦闘団の上が倒れた結果、ターニャが指揮権を握ることになったりもして。航空魔導師の大隊という、速度重視の部隊とは違った運用が求められることに困惑したりもしてました。

ド・ルーゴとロメールという両軍のトップが相手の思惑をしっかり読んで、的確な行動を行っているのも格好良かったですけども。

ロメールの思惑を超えて先んじて敵に一撃をお見舞いしたのはお見事。……人材がどんどん零れ落ちて行ってるのも明らかで、結構ヤバくなってきた感じがありますが、どうなるやら。



幼女戦記22

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「つまり貴官は百聞は一見に如かず ――とそう言いたいのか」

「解釈はお任せ致します 閣下 どうか私と私の大隊をご信頼下さい」

 

ターニャが最後の鉄槌を下していれば、今の南方大陸での戦線は生まれなかった。

その失態について静かに憤っているゼートゥーア中将が、彼女の唱えた大戦を見据えて、他のまだ理解が及んでいない参謀たちからすると消極的な姿勢を見せて色々言われていました。

 

場面は過去に戻って、ロメール少将とターニャが顔合わせしたシーンなんかも描かれていましたね。

ターニャはこれまで功績絶大なれど、指揮権に対する異議申し立てだったり、色々やってきたこともあって、西部方面軍からは「功罪相半ばするため講評の拒否」なんて判断を下されている模様。まぁ、争いの渦中で踊っている大隊だし……アレーヌの一件とか、かつての彼女の論文がもとですからね……。

 

抗命未遂の一件が尾を引いていて、自由裁量を求めたりしてましたけど。ターニャだけは賭けを交えつつもグッドコミュニケーション取れてると思っていて「最高の共犯者」と少将を評価しているのに対して、少将からは「最悪の知人になるだろう」と記されているの、相変わらずすぎて笑った。そんなだから前線に縛り付けられるんだよ……。

 

そして時間は戻り南方で大暴れしたあとの帝国軍。

当初の想定をぶっちぎって進軍したせいで、兵卒の糧食などに不備が生じていたりする模様。敵の装備を奪ったりしていこうと考えも出てましたが、帝国がメートル法を用いているのに対して、敵側の装備はインチ・ヤード法でそれもまた難しいという問題が生じていて、悩みは尽きませんなぁという状況。

他にも進軍速度が速すぎて落伍した部隊も出てくる始末。ロメール少将旗下の部隊まで行方不明になっているとか、大分無茶したなぁって感じですけど。

それだけの価値があったのも確かだし……その過程で色々と情報も得られたし、武勇伝の一つも出来たのは良かったのか。最悪の選択ではなかった、というだけでも良し。



幼女戦記21

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「諸君 主導権だ

 常に先手を取り翻弄する 我々に求められているものは即ちそれである」

 

南方大陸に渡って自由フランソワ共和国軍を結成して反抗を続けるド・ルーゴ一党に対するため、帝国は南方大陸派遣軍団を結成し派遣することに。

若き俊英ロメール少将をトップに据えて、ターニャの二〇三遊撃航空魔導大隊まで組み込まれていた頼もしい軍団であるようですが。

帝国の中央作戦本部としては本命はアルビオン連合王国であり、南方大陸は妨害を主体に置いた派兵であり、編成も寄せ集めであったみたいです。

……ただまぁ、ロメールもターニャも突飛な司令塔であって、妙な化学反応を起こしてしまっていたの、正直笑った。

 

かなりコミカルにロメール少将が決断するシーンが描かれていたわけですが……。

橋頭保確保に踏み込んでみた結果、ド・ルーゴ側も寄せ集めの指揮には苦慮しているようで近隣に組織的な影は見えず……ポリトリへの進軍を決めて。

ド・ルーゴもまた敵の動きに対応して攻撃をしていたりするんですが。張りぼてを使った欺瞞工作も駆使してさらに攻勢を強めたり。

戦線がどんどん拡大していってるのがテンポよく進んで行ったの面白かったですね。

まぁやってるのは戦争なので相変わらず血生臭い空をターニャ達は飛び交うことになるわけですけど。……彼女達二〇三大隊が血生臭くしてる説は濃厚ですが。

月の白さを知りてまどろむ3

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「ずいぶん待たせた」

ただ一人の客を待って、彼女はこの館にいた。

恋情を捧ぐ男のために。揺らぐ不安を抱えて。

「愛している」

 

シリーズ完結巻。第五譚と後日譚を収録。

テセド・ザラスと対峙した際に残されたサァリの血。それを彼らは回収し……さらに服用することによって、自己の兵隊の強化を図ろうとして。

そもそもそうやって活用する技術があるあたり、外洋国の悪辣さというのが光って見えましたねぇ……。

更には懲りれば良いもののアイリーデにまで踏み込んで、より多くを望もうという傲慢さを見せられて腹立たしいものはありました。

 

様々な思惑から大陸各地が騒がしくなってる中、アイリーデもその喧噪から無関係ではいられず。

……むしろ外洋国関係者や、流浪の神性と封じられた蛇とかの思惑も蠢いている以上、中心にあると言っても過言ではないんですけども。

 

それはそれとして、シシュの中にある思いもここにきて明確なものとなったというか。今までも抱いていたそれを、ついにシシュはサァリに開示しようとするわけですが。

結婚の申し込みの為に立会人を設けようとしたりだとか考えるあたり、相変わらずのズレっぷり。どこまでも真面目で堅物な彼だからこその対応で、ちょっとクスっとはしちゃいましたけども。

堅物すぎて彼女を守るためにいるから「死なないで」の返事に、まっすぐ応えてしまうあたりがもう……。

ちょっと拗れかけてましたが、敵がハッキリと動きを見せたことによって決断の時が早まったのは、良かったのやら悪かったのやら。

 

出来れば2人のペースで進んで行って欲しかったものですが、ままなりませんねぇ。

サァリがただ一人の客を定めてからもトラブルが絶えませんでしたし。状況は落ち着かないものでしだけど、客取りのシーンのやり取りとか、とても印象深くて好きなんですよねぇ。サァリ視点の「私の恋のすべて」とか加筆シーンでしたよね? とても良かった。

 

兄神と対峙することになった場面で、最後の一撃になったのがあの人物が遺したものであったこととか、味わい深くて好き。

あとは先見の巫の結末とかも良かったですよね……。これはこれで人の業なんでしょうけど、だからこそシシュとサァリの交流が見られたのを思うと、私は……否定できないんだよなぁ。

 

後日譚は完全書下ろしエピソード。

シシュは自分のいる場所をサァリの隣と定めて、生活拠点をアイリーデに移すことを決めて。それでも、兄とのつながりであるし地位があった方が楽な時もある、ということで王弟としての立場はそのままにすることが決まって。

実際、低いながらも王位継承権を持つ人がシシュとのつながりを求めてアイリーデにやってきたり、ちょっかいを掛けてくる輩が居たりしましたが。

本編で戦った敵に比べれば小物だったので安心して読めましたねぇ。サァリが可愛くてとても良い後日譚でした。

 

WEBにはこれより先のエピソードもあるにはあるんですが、ちょっと毛色が違うエピソードも入ってくるので、書籍版ハッピーエンドやったー、で良い気がしますよ、はい。

ちなみにWEB版に手を出すのであれば、2巻の「章外:祝福」とか読み返すと味が深くなるとは思います。

 

今回SSがどこも気になったので、珍しく3冊買いをしてしまったわけですが。

アニメイト&書泉特典「誕生祝い」は、実にシシュらしくて笑えました。街の人も彼の理解度上がっていってるの良いなぁ。十年修行したいじゃないのよ。

ゲーマーズ特典「初恋」は、鉄刃の勘違い完結編。いつでも勘違いしてる鉄刃さん、面白エピソードとして大好きだったんですけど、彼もまたアイリーデの人間だったというか。良く見てるなぁ、と思いました。こういうの、当事者ほど気付きにくいと言いますしホラ……。まぁシシュだから、というのもあるでしょうけどね。

メロブ特典『朝寝』は……うん、サァリもまたアイリーデの女だなぁというか。とても「夜の女」っぽくて好きです。

刹那の風景2 68番目の元勇者と竜の乙女

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「冒険者ギルドの理念は、人々の命を平等に守るため。ギルドの医療院の理念は、人々の命を平等に救うため。……僕は、この二つの理念を気に入ってるんです」

 

クットという国を目指して、それまでいたガーディル国を出立したセツナと弟子のアルト。

獣人によって住みやすい環境ではなかったこともあって、ガーディル国よりの地域ではゆっくりできなかったけれど、少し離れてからはアルトが植物図鑑で気になる実について調べたり、釣りを一緒に楽しむ時間を取るようになって。

 

のんびり楽しい師弟での旅を楽しんでいましたが……釣りの途中に針をひっかけてアルトが悲鳴を上げてしまったのを聞きつけた獣人たちが、誤解からセツナに突っかかってくる展開にもなりましたが。

相手がいきなり手を出してきたのはアレでしたけど、アルトという存在がセツナの重石になって、即座に戦闘とはならなかったのは良かったですねぇ。

こっちの事情知らないとはいえ、アルトに獣人の国サガーナへ行けばよいと提案したりしてくる獣人傭兵のカーラ達の物言いにはイラっとする場面もありましたが。

……まぁカイルから託された知識とかもあって「復讐を誓って動いている、滅びた国出身の獣人ですね」と指摘したりしてるし、セツナも時に火に油注ぎがちなところあるしな……。そこは相手が喧嘩腰だったというのもあるか。

 

ちょっと物騒な出会いがありつつ、お店の練習をしてアルトにお金の使い方を教えたりしていて、セツナがしっかり師匠してて良かったですね。

彼もまたずっと病室暮らしだったので至らぬ部分もまぁありますけど、少しずつ成長していってるのが良い。

新しい街に入ってギルドへ挨拶をしたら、ガーディルのギルドマスターから申し送りが来ていたり、依頼で知り合った黒ランクのアギトからの個人依頼が来ていたりして。セツナの薬によって、助けられる命が増えるかもと交渉が始まったりもしてましたが。

現状見えている範囲だとギルドは理念を守ってる良い組織みたいですし。カイルが所属を勧めたのはこのあたりも影響していたのかな。

 

そして新天地でセツナは運命的な出会いをすることになっていましたが……。

驚きの急展開ではありましたね。彼女は彼女で色々と事情を抱えていて、後に響いてきそうな気配こそありますが。抱え込みがちな部分とか似ているし、お似合い感はある。

刹那の風景1 68番目の元勇者と獣人の弟子

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「俺は、生きるべきだと思う。様々なものを見て、触れて……生きていく喜びをその手に掴むべきだ。もちろん、楽しいことばかりじゃねぇだろうし、辛いことも多いはずだ。この世界は、俺達の世界じゃねぇ。価値観自体が全く違う。正直、生きやすいとは思わない」

不安要素も隠さず、愚直にカイルは、ただ話した。

「だが、それでも……美しいと思えるものも、心震える瞬間に出会えることもある。そういった経験を、お前に体験してほしいと思うよ」

 

生来体が弱く入院生活を送っていた刹那は、両親の経営する病院の一室にずっと入院を続けており……そのまま24年の生涯を終えた。

彼の魂は異世界の勇者として召喚されることになって、新たな人生を得られたのですが。

病弱なままなことは変わらず。68番目の勇者として勝手に招いておきながら、使えないと判断された刹那はほぼ軟禁状態に置かれることになってしまって。

 

2度目の生は、生きながらにして死んでいるようなものだった。さらには69番目の勇者が召喚された、なんて噂も流れてきて……。

このまま死んでしまうのか、というタイミングで23番目の勇者だったというカイルが現れて。彼は刹那の記憶を覗いてどういう状況にあるのかを把握。

このままじゃ殺されるだろう刹那に、カイルはその身を挺して現状を打破する力と知識を与えてくれることになって。

 

日本出身の杉本刹那ではなく、異世界でただのセツナとして生きていくことを決意したことで、物語が動き出すことになります。

カイルには強力なアイテムとかも託されて。セツナ自身が力の扱いに習熟しきってないという問題こそあれど、スペック的にはかなり高くソロでも問題なく生きていける環境を得られた。

生まれてからずっと病室暮らしだったセツナが、外の世界へと歩み出していくのが面白いシリーズですね。彼にとっては見るもの感じるものすべてが新鮮である事だったり、カイルの知識だとかを与えられていることだったり、そもそも死に瀕していた状況で達観した部分がある事や性格的な問題だったりが影響して、好奇心旺盛ながら大人びてるんですよね。

 

冒険者ギルドへの登録をして、戦闘も出来るけれど登録上は「職業:学者」にしてますし。馬鹿にするような言動があっても、自分の本当に大事なものを侮辱するものでなければスルー出来る心の広さもありますし。競争心が見えない、ということでくすぶっている若手に文句つけられたりする御約束もまぁありましたけど。

概ね良い出会いをして異世界を満喫していく中で、サブタイトルにある「獣人の弟子」をとることになって。庇護する相手が出来たことで、ただフラフラしているだけではいられなくなったのがセツナに良く作用してくれるといいですね。

 

セツナを召喚したガーディルという国は、勇者の扱いが大分アレだし。それを69回も繰り返しているので、上層部は大分ヤバそうな気配を感じています。

巻末に追憶として、69番目の勇者に近しい人物のエピソードが描かれていますけど、どうにもなぁ……。


プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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