気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王

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「目に見えないものの方が、長続きすると思います」

「目に見えないもの?」

「はい。形があるものは、壊れやすいですから」

 

紅玉いづきさんの帯文にある《誰にも語り継がれないお伽噺》という文句が秀逸すぎて、感想もうこれだけでいいんじゃないかな感。

悪戯好きの魔物たちが本を集めている「最果て図書館」。お伽噺にも出てくる不思議な図書館。

 

そこの館長のウォレスは記憶を失っていて、時折魔物たちから情報を集めようとしていますが芳しくはなく。

ある日、倉庫に置かれていた鏡が他所の街にいた少女の姿を映し出して。

向こうからもウォレスの姿が見え、会話もできるという事で、二人の交流が始まるわけですが……

 

この世界には、世を乱す魔王を勇者が討伐する、という話があり。

それと同じような状況が今まさに発生していた。神託が下った勇者の手助けをしたいという少女にウォレスが知恵を貸して。

図書館だけで完結していたウォレスの世界がどんどん広がっていくんですよね。

そんな中で彼は自分の記憶を取り戻したりしていくんですが。

 

不器用なキャラが多いなぁ、と。もう少し気楽に生きることもできたのではないか、と思ってしまう。

魔王と勇者の争いに、ウォレスは中立を決め込んでいましたが……現状を打破するために動いていなかった、ってことなんですよね。

 

別のキャラで言えば、勇者も最初は魔王との戦いに乗り気じゃなかったけれど、周囲の状況がそれを許さなかった。

誰もが遠まわりする道に回されて。その過程で、失うものだってある。

リィリの手放したものなんか最たるものでしょうけど。ただ、最短距離で進めなくても、不格好であっても、最後にはちゃんとその道を歩き出してるのが良かったですね。

これからより良い方向に、よりよい未来に辿り着いてくれるだろうと思える終わりでした。


紅き唇の語りし夜は 月の白さを知りてまどろむ

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「巫に贈るものだ。きちんとしておきたい」

(略)

彼女の為に捧げるのだ。全てに変わらない想いと、真っ当な筋がなければ。

 

『月の白さは知りてまどろむ』という作品の短編ですねー。

WEB本編は一度第五章で完結となり、後日談となる六章以降が連載されてるんですよね。

小説家になろうとカクヨムで掲載されていて、カクヨムの方に八章が途中まで乗ってます。気長に続きを待っている。

シシュとサァリの物語の続きが読めるというだけで、もう、本当に幸せなのですよ。

 

さておき、この同人誌『赤き唇の~』は第五章前に起きた事件を描いています。

シシュとサァリの関係が近づいて、けれどまだその道が重なっていない。この不器用な二人の交流が見ていて微笑ましい。

戦闘力とか言う単位で見ると、どっちも常人離れしてるんですが。

それを気儘に振るうのを良しとせず、けれど使うべき時には躊躇わない。その在り方が、美しいと思う。

 

この短編だけでも、本当にお互いがお互いを大切に思っていて。

アイリーデの人々に、シシュが客として選ばれるんだろうなというのがよくわかる。

シシュが贈り物をしようとして真っ先にサァリが候補に挙がるあたりで、明らかですけど。

「将を射んとする者はまず馬を射よ」とか「外堀を埋める」のように、目的を達成するためにまっすぐ行くのではなく、周辺から問題を片付けろという言い回しがありますが。

……この二人「相手を大切にしたい」という大目的を既に達成しているし、サァリなんて「シシュのそういうところが好きなの」とか言うのに、その手前にある問題で立ち止まってるからな……

 

好きな雰囲気で全体まとまっているんですが……特に気に入ったエピソードは、シシュが菓子屋出禁になってた所ですかね。

あの不器用さがシシュらしい。一応出禁解除の条件もはっきりしていたので、それを為した後、きっと彼は土産に買っていったんだろうなと思うと、なんかほっこりする。

 

最近『Unnamed Memory』ばかり推してましたが、『月の白さを知りてまどろむ』も好きです。WEB版で良いからみんな読もう……。

(23年4月追記)
DREノベルスより刊行されている『月の白さを知りてまどろむ』の電子書籍版の特典として付属することとなってます。今から読みたい人には電子版月白、オススメです。

つるぎのかなた

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「うん。わたしは、強いよ」

 

25回電撃小説大賞の金賞受賞作。

2月頭から発売するまでの間全文公開のキャンペーンをしていて、そこで読みました。

正直それまでは、手を出すつもりもなかったんですけどね。懐事情とか積読が多いとか、まぁ諸々ありましたし。

スポーツもの、ましてや剣道となるとあまり読まないジャンルだったので。

いやしかし、読んでよかった。キャラが立ってるし、剣道はよくわからないままですが……勢いと熱が凄まじかった。

 

かつて最強と呼ばれながら剣を捨てた神童、悠。

けれど、幼少期から振るっていた剣は彼を逃しはしなかった。

新たな友との出会い。旧知の頼み。そして、昔交わした約束。

それらが彼をまた剣道に呼び戻し――さらに先へと進ませてくれた。

 

悠に強く影響を与えたのは乾兄妹でしょう。あちらはあちらで刺激されてますけどね。

それぞれの部活仲間も個性が光っていて、短いシーンながら印象に残ってる部分が多いです。

様子がおかしい吹雪を心配した友人の「何もしてないのにこわれた~!」ってところとか。

「スピード三輪車じゃ意味ねぇんだよ!」って場面がやたら笑えたし、その後の『一番頭悪そうなコーデした奴が勝ち選手権』をノリノリでやってるところとか。

 

メインキャラで言うと悠が剣道星人すぎて「いつか刺されろ!」「刺せそうなヤツ知ってたら興味あるから教えて」って返すところとか。

乾兄妹が悠の試合動画を何度も見返してニヤニヤしてたところも、似た者兄妹だなと思えて見てて微笑ましかった。

 

サブキャラの登場シーンも多くてそこが結構魅力的。

今回は特に乾兄妹との絡みが多くて、カラーイラスト貰ってる史織がちょっと押され気味だった感じがしたのは残念。

とはいえ、キャラとしては吹雪の方が好きなので、吹雪にはこの調子で頑張っていってほしいと思ってしまうんだよなぁ……うーん、度し難い。


つるぎのかなた (電撃文庫)
渋谷 瑞也
KADOKAWA
2019-02-09


リベリオ・マキナ―《白檀式》水無月の再起動―

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「もういい」

(略)

「……もうそんなことをしなくていいんだ」

 

25回電撃文庫大賞銀賞受賞作。

最近積読の山増えすぎてて、新規開拓は控えめにしてたんですが……試し読み企画で全文読んで、楽しませてもらったのでお布施。

今回の受賞作の中ではイラストが一番好み。

 

ファンタジー要素が混ぜ込まれた地球が舞台。

1960年に吸血鬼が人類に侵略をしかけたり、オートマタの技術が発展していたりとファンタジー要素が混ぜ込まれてます。

吸血鬼相手の戦闘用に開発された、オートマタ白檀式。

戦果は華々しかったものの、白檀式は暴走して虐殺オートマタとしてその技術ごと封印されることとなった。

 

表に出なかった、白檀式幻の六体目、水無月。

白檀式を作り上げた博士の娘、カノン。

この二人と、吸血鬼の王女リタが出会って、物語がどんどん進んでいくんですよね。

あくまでオートマタであることに拘る水無月は、現状を受け入れられずにいただけですが。

カノンが静かに、抗っていたのが良かったなぁ。

 

白檀式の暴走の真実も悲しいものでした。

禁則事項故に攻撃して来る相手を殺せなかった……なら逃げればよかったのでは、というのは現場を知らない者の繰り言ですかね。

まぁ、その白檀式も虐殺の原因となった事柄以外にもヤバい爆弾抱え込んでそうですけど。2巻以降で触れられるのかなー。



負けませんからと言い張る顔のいい女の子を、全力で屈服させる百合のお話

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「――ようやく、私の勝ちね?」

 

Kindle版を購入。

もうタイトルが全てを表しているから語る事ないんじゃないかな。

うん、タイトルと表紙絵に惹かれたのなら、読んで損はない。

百合系の創作物に興味がある人にはぜひ読んでほしい感じで、読みやすいし、全力でイチャついてるし。

優しくて幸せな世界です。

 

勝負とか屈服させるとか言っていろんなシチュエーションを試してますが……

お互いがお互いを好きすぎて、もう。甘い。砂糖吐ける。

古式ゆかしいお嬢様学校、その学校には『ベル・フルール』という愛誕祭で選ばれる一人の生徒。

全校生徒の投票で選ばれる、憧れの象徴。

 

立候補は自薦・他薦を問わず毎年56人候補が出るようですが。

今回は、2人の圧倒的な候補が居て辞退者続出。

はたしてどちらが憧れの座につくのか、二人だけで勝負をする……と言う流れですが。

面白そうだからと言って勝負をすることになって……手段が恋人になって、魅力を伝え、相手に諦めさせるって言うんだから、そりゃいちゃつくよな……

一貫してる。うん。この作者さんは信頼できるな! って感じです。



女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合の話

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「私はね、どんな女の子だって最終的には落とす自信があるんだけど」

「すごいこと言い出した」

 

本を読むきっかけって、色々ありますよね。

好きな作者さんが新作を出したとか。本屋でも電子ストアでもSNSでもいいですけど、告知とかを見て興味を持ったとか。アニメや映画の原作やノベライズかもしれませんし、帯や解説を書いている人を知っているからって場合もあるでしょう。

 

とはいっても、流石に「SNSで作者が木の下に埋めらていたから」手を出したのは初めてです。

表紙絵が『ふたりべや』の雪子さんだった、というのも購入を後押しする要因ではありましたが。

Kindle版も出ているという事でそちらを買いましたが……いやぁ、百合に対する愛が溢れかえってました、というか。

 

タイトルに全てが集約されているので、「読んでみたら思っていたのと違った」という事故が起きないって言うのはかなりの利点なのでは。

もう、本当にその通りの展開で。

百日かけて、「女同士なんてありえない」という相手の考えを変える勝負。

 

まず百合漫画を読ませるところからスタートして、髪や肩に触れて、百合AVを見て、胸に触れて……どんどん関係が深まっていく。

落とす方が、もう初期から調教っていってるのが潔いですね……
作中もなんだかんだイチャイチャし続けてるし、このカップルの熱だけでなく、作者さんの熱量まで伝わってくるかのようでした。
タイトルで興味を持った方、是非読んでみて欲しい。


本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第四部 貴族院の自称図書委員I

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「ローデリヒにはこれからも期待しております。貴族院でも色々なお話を集めてくださいね」

「恐れ入ります。……必ず、ご期待に添えるよう頑張ります」

 

2年の眠りから目覚めたローゼマイン。

10歳になり、貴族院という全ての領地から子供が集まる学院に通う事に。

正式に貴族として認められるために必要な勉学を修め、他領と交流するための場所。

学生たちの成績や、お茶会で振る舞われたお菓子。服飾などなど。

これからの領地に影響する領主会議の前段階。

 

本人はかなり気乗りしない状態でしたが、シャルロッテと同じ学年になりたくないという意思でスタートして……

フェルディナンドに「国内第2位の蔵書を誇る図書館」の情報を聞き、加速。

その勢いを見たヴィルフリートの提案によって、暴走してしまう、と。

ある意味で完璧な流れですね。周囲への影響が甚大なだけで。

報告書を受け取る大人たちが大変だなぁ。掲載位置が違う関係でWEB版から微妙に変わってますねー。あちらはあちらで好きだったのでたまに読みに行ってます。

 

大人達だけじゃなくて、進学する事によってローゼマインに新たにつくことになった側近の学生たちも大いに振り回されていますけれど。

……頑張れ。色々と常識から外れた行動をとったりもする主ではあるけれど。

ローゼマインを不快にさせるようなよっぽどの悪事とかしない限りは、寛大だし影響力も大きくて成長できるよ! ただしたまに修羅場だ。

 

今回の注目は巻末の短編。

リーゼレータ視点「有意義な土の日」が新鮮でしたねぇ。

ローゼマインからは見えない側近たちの日常。彼女の虚弱さになれていないから、もっと注意しないといけないと話し合ったり。

 

中級・下級貴族が多いから、成績が低いと後々苦労するという話があったり。

レオノーレが側近たちで固まっている状況とはいえ「余計なことをしてくれた」とか言っちゃうあたり、ヴィルフリートの評価の低さが伺える……

ローゼマインの暴走はさすがに良く受け取られてないようですが。

その結果としてシュバルツとヴァイスが動くようになって、女の子たちの評価を勝ち取ってるんだから、人生万事塞翁が馬って感じですな。

上手い事問題を切り抜けている、運の良さがローゼマインは割と凄い。


血界戦線 Back 2 Back 5

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「いやあ今回も順調に危なかったな」

「ウンザリしますねそれ… 危機がデフォとか…」

 

やたら最近警部出てくるな……と思ったら後書きでぶっちゃけられてて笑った。

今回はエピソード2つのみ。

1つはドグハマー絡み。例によって応援を頼み……それが解決したところから。

収容されるための移送中に襲われて。

 

デルドロの昔の仲間たちが捕まっていない、という話がでて。……そんなフラグたてたら、そりゃあ襲ってくるでしょう。

獄長も巻き込まれて、かなりのピンチでしたけど、何とか乗り切って。

……完全に箍が外れて笑える装備を開発してました。愉快な人だな、あの獄長。

 

そしてもう一つは幻界病棟の話。

患者の治療が全てに優先するという場所。

そこに重症の犯罪者が逃げ込んで。治療するから確保はさせないという医者と警察のせめぎ合いにライブラも巻き込まれてました。

いやまぁ、確かに単身の戦闘能力で右に出る者は相違ないエースが揃ってる組織ですけどね。

「自信ではない 決断だ」というクラウスが格好良かったし……静かに切れてて奥義ぶっぱしたシーンには思わず笑ってしまった。



血界戦線 Back 2 Back  4

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「少し楽になりました そうか」

「これから得ていけばいいのか」

 

ザップと潜入捜査をすることになったツェッド。

薬物関連。それを流通させてる裏街道のネタとなれば、確かにザップは向いてそうですけど。

……そもそも性格的に、無理だろ……って言うのは、まぁ、確かに。

流れるようにもめ事に突入しそうになってて、止めに入ってる導入には笑った。

そしていつもと違う形で、まとまったのには驚いた。ツェッドの意外な一面が見れて良かったですね。

 

ザップが「手間のかかる弟弟子だ」と零してて、ちょっといいシーンだなぁ、と思った直後に女に復讐されてる話持ってくる構成は鬼だ。いいぞもっとやれ。

「ザップを動けなくした」という情報をネットに拡散して、徒党を組んで襲撃に来るあたり彼の過去の悪行が凄まじい。

止めに入ったクラウスが、行いを聞いて、34人くらいで倒れ伏してしまうレベル。

見学してるレオも「酷すぎる… 見た事のない種類の地獄だ」とか言ってましたしね。

 

そして、もう一つのエピソード。

次元怪盗ヴェネーノにまつわる話。

好きなキャラで死んでしまったのが悲しかったから、続きがあるのは嬉しい限り。

今後関わりが出てくるかはわかりませんが、あると嬉しいなぁ。



異世界魔法は遅れてる!8

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「それで十分だろ? 術が効けば、無敵じゃなくなるんだ」

「そうそう。それにダメだったらまた違う手を考えればいいよ」

 

読んでたけど感想書いてなかった。

9巻、刊行予定が延期され続けてて、出るのかなぁって感じですが。

なろうの方での連載は不定期ながら続いているので、そちらを気長に待ちます。

 

序章は魔族側の会議模様。

これまでの雑兵を潰し、その力を集約した駒を作ったとか言ってて手段選ばないなぁ、ってところが怖い。

 

今回のポイントとしては、やはり勇者となった幼なじみに水明が身バレしたところでしょうか。

黎二と言いあいをしてましたが、まぁ、子供の喧嘩みたいな感じで険悪にならなかったのは何より。

途中妨害にあって遅れたものの初美たちが援軍に来て、一時的に戦力アップしてました。

息抜きの為のプールイベントで着想を得て、帰還の為の魔法陣を水明が完成させたりと、こっちはこっちで順調に進んでると思うんですがねぇ。

 

魔族たちが手を進めてるのは描写されてますし、普遍の使徒の思惑はいまだ不明なままで。

その調査の一環として勇者エリオットの救助の為にハドリアス公爵のところへ乗り込むことに。

一筋縄ではいかない相手とは思ってましたが、自ら所属を明かし、トリアの勇者すら連れ出してくるとは予想外。というか彼自身が普通に強いって情報は共有しておくべきだったのでは!?

まぁ、公爵も水明が真っ当に戦えること把握してなかったぽいので普遍の使徒側も情報共有できてませんでしたが。


プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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