「待たせたみたいだな?」
「いや、構わぬ。別れというものは、いつ訪れるか分からぬもの。惜しむ者には十分な時間が与えられるべきだ」
神都に襲い掛かる魔族の軍勢。
これはジョンの記憶には無かった事態で。
自分が行動して歴史を変えているから、魔族が先手を取って動き出したのだろうか、と疑念を抱いていましたが。
既に行動してしまっている。ここで後ろを振り返って立ち止まるよりは、先に進んだほうがいい、と覚悟を決めていましたね。
その辺の割り切りが出来るなら、「光剣」にしても、知識をもつ自分を守る力が増えた、と喜べばよかったのに。
勇者の存在をしっていて、それゆえに、選ばれなかったこと故の葛藤もあったんでしょうけど。
そして魔族との戦いが始まって。魔法学院の学生たちも、若いながらに魔術はそこそこ使えます。神都の兵隊も協力してくれて、何とか戦線を維持している感じ。
最もそれは最前線につっこんで、敵を減らしてる先生方の力があって、のモノですけど。
ジョンは前世でもっと過酷な戦場を経験しているため冷静で、周囲を見る余裕もありますが。
他の学生たちにはそこまでの余裕がなく、押される場面も。なので、余裕があるジョンが支持を出すために動き回ったりしていましたね。
それだけ動けて本当に一兵卒なのかと。人数が減っている分、精鋭を作らないと厳しいという面もあったのだろうとは思いますが。
……そしてこの襲撃にもオチが付くんですよね。迷宮って便利。
しかし、迷宮にこんな機能があるんだとしたら。
簡単に倒せる下位の魔人ではなく。強力な魔法を放てる中位以上のデータが残っているのなら。もっと前世でも対策が出来たのではなかろうか。
対策の一つが、神都が保管していた勇者の剣なのかもしれませんし、中位魔族が魔族の最精鋭と思われていたのかもしれませんが。
試験が終わり、約束通り剣の師匠、ハキムを訪ねたところで終了。さて、本当に助力してくれるものやら。
「ベルル……愛しているよ。僕は今、心から愛しているのは君だけだ。信じてくれ……っ」
拉致された妖精は、ゼリー状に加工されてしまっていて。
この世界における妖精は、自然の意志。
本来妖精たちによってもたらされるべき恩恵を、意志という部分を排除することによって、自由に利用できるようにしたアイテム。
リノは、このゼリーを妖精の姿へ戻す方法がないか調べることに。
没落貴族だったリノが正式な辞令を受けて、リーダーとして動くようになるんだから、世の中分からんというか。
まぁ彼は自分自身の評価低いけれど。周囲はそう見ていなかった。それが正しく評価されるようになった、というのはいいですね。
おまけに妻ベルルは妖精の申し子という、妖精たちに慕われる存在でもあるので、彼女もリノの力になれるわけで。
没落したため破談になった婚約者と気まずい再会をしたり。
リノの家の資料を持ち逃げして、評判を落としているギルバットに絡まれたり。
更には魔王が管理しているはずの、魔界と道を繋ぐ「ゲート」が現れたりと厄介事も前回以上に押し寄せてくるわけですが。
旧魔王は大魔獣との契約を娘以外にも、分け与えたり、指示を遺していたりしたようで。
やはり魔王の存在と、ベルルの過去は重要な鍵になるのでしょうか。
「彼女は仲間です 死なせるわけにはいきません!」
とりあえずグラムたちの元から離れたユウたち。
あせびの正体が知られてしまったので、隠れたほうがいいんじゃ、とユウは言いますが。
彼女はユウと一緒にいることを選んで。
あせびと一緒に帰還した船長。
彼が借りたウォルデシアの船。壊して沈めるように指示を受けていたのでそうしたそうですが……
船長もかなり強かで。雲が濃く大気が有害なため人が住んでいない低空域大陸と呼ばれる島があるエリアに沈めたとか。
まだ船が残っている可能性は高い。その為ユウは船から技術とか情報を取ってきて、古代大陸へ行く手がかりにしようとしてるみたいです。
我欲で妨害しようって輩がいて、気に食わないなぁ。
あれだったらまだグラムの方がマシだ。
是非とも無事に戻ってアイツに痛い目見せてほしい所です。
船の機関がやられたためちょっと無茶な手に出てますが……ここでユウまで倒れると衛士いなくなって帰還絶望的なんですが。
巻末のオマケ漫画であせびのスペックについて話がされてましたね。
同じ人型モジュールで、ダリアと同じような速度で動けなくもない。けれど、その動作を制御するプログラムがないため、壁に激突したりするから、結局は使えないとか。
この辺りは戦闘用とか目的に応じてプログラム構成が違ってるって事でしょうかね。気になるところです。
「金はかかんないけど…すごく大それたものがほしい」
「一緒に生きていきたい」
(略)
「…書類一枚で済むなんて 安いプレゼントだね!」
イツキを拾って……幸せな時間を過ごしていた。
けれど、彼は何も言わずに去ってしまって。
あっちこっちに彼との思い出があり。
野草採集なんかして、思い出が途切れないようにしていますが。
イツキは郵送で鍵を返してきて。
「さよなら」すら言えない手紙。「待たなくていい」という彼の気持ち。
一年足らずで深く根を張っていたので、そういわれても忘れられずに待ち続けていて。
待ちたいだけ待とうと、決めて。
かつてイツキを拾ったようなある日。彼は戻ってきた。
そうして彼自身の事情が語られていくわけですが。
まぁ、彼も彼で色々背負っていたというか、期待を押し付けられていて大変だったそうで。
放浪の果て辿り着いた場所。そこにいるためには、逃げてばかりでもいられない、と清算をしに行って。
……最終的に落ち着くところに落ち着いた感じですし、良かったんじゃないでしょうか。
「幸せだわ。旦那様がワタシの旦那様で、本当に幸せ……ありがとう、旦那様。私、嬉しくて死んでしまいそうよ」
「……死んだら、僕が困る」
過去に会ったゴタゴタで没落した貴族、リノフリード。
国王から前魔王の娘を妻として迎えるならば援助を約束する、と言われて。
魔王から力持つ魔獣との契約を引き継いでいた少女は……けれど、魔王の娘として長く拘束されていたのが信じられない程純粋な子で。
彼女を迎えてから、色々なことがいい方向に転がりだして。
……多少荒事とか面倒事とかもやってきてはいるんですけどね。
リノは魔法を使い、薬を作る魔法薬学を修めていて。
それに使う植物を館の庭で栽培などもしています。
妖精たちが集う庭、と表現するとなんか神秘的な感じがしますか。実際は悪戯をされたりして大変みたいですけどね。
妖精が拉致される事件なんて言うのが進行しているようだ……と調査を始めたりもしています。
1巻では真相が明らかにはならないので、次回以降の伏線なんですが。
没落してもなお、失われなかった縁というものをリノは持っていて。あちこちの人に心配されたり、妻を迎えたことを歓迎されたりしています。
リノの妻となったベルルが可愛いし、それに振り回されているリノも幸せそうなので爆ぜろとか言いたくなる感じで和みます。
「別に、そんな栄誉などいらぬ……が、人が生き残る未来があるのなら……」
「あるのなら?」
「お主がまた、道を開いてくれ。ここから始めるなら、きっと、もっとよき未来があるじゃろう……」
迷宮をなんとか脱出したと思ったら、目の前に竜。
かなりの窮地ではありますが、ジョンとケルケイロの心は折れず。
応援が来てくれるだろう、という希望がなければやられていた可能性もあります。
地の底に落ちて迷宮探査して、それでもなお諦めずにいたから救いの手が間に合ったわけで。
生き残る、という一点においてジョンはそこそこ秀でてるのかも。
ま、前世は最後気が抜けたところをやられているわけで、突出してるとまでは癒えなそうですけど。
ケルケイロは友人を助ける為に竜の素材が欲しかった。
そして、ジョンはジョンでファレーナとの契約があるため、ここで竜と戦えるのはありがたい話でもあるんですよね。
コンディションは最悪に近い状況でしたが。
残り僅かな力を使ってファレーナも援護してくれたため、何とか討伐に成功。
最も、砦に帰還してから数日意識を失っていたようですけれど。
その後はわりとテンポよく進んで、もう学院の卒業試験が描写されます。
前世において。勇者の扱っていた剣を保管していた神都において、試験が行われることに。
そこでジョンは、前世で手にすることのなかった武器を得ることに。
お偉いさんに「神の思し召しだから、持っていってよい」と言われて「前世持っていなかった。つまり神は俺にこれを持たせる必要性を認めなかった」という思考に入ってましたが。
目的のためには、もうちょっと割り切っていくべきではないかなぁ。本当不器用だ。
卒業試験は、ジョンが魔の森で迷い込んだ迷宮のように、入ったものの記憶に応じた試練が課される部屋で。
未来で剣聖となった、最強の男が壁として立ちはだかることに。
彼は、かなり割り切った性格をしているようで。ジョンが若返っている事などから状況を推察して、助言する余裕までありました。
師に叱咤されたんだから、ジョンにはもっと頑張っていってほしい所です。
……と思ったら、なんか予想外の引きなんですが。まさかの襲撃って。どうするんだ、コレ。
「私は、護堂さんにどこまでもついていきます。委員会のみなさんがあの人に害が及ぶような要請をされても、応えることはできません。あの人が委員会と距離を置こうと決心されるのなら、私もそれに従います。そのことをお忘れなきようお願いします!」
日本の魔術界事情なんかも少し書かれてましたな。
万里谷たちがただの巫女ではなく媛巫女と言われているあたりとか、組織における立ち位置とか。
この間まで海外に引っ張って行かれていたので、今回の舞台は日本です。
新たな媛巫女、清秋院恵那が登場。
彼女は、ご老公という上役たちの意志に従って、エリカたちを排除しようと動き出して。
まぁ、単純にそのままやられるエリカではありませんが。
一方でリリアナは視野が狭くなっていたため、ちょっと厳しく言われてましたが……その辺は当然か。
王様一人存在するだけでも、パワーバランス壊せる凄いキャラだからなぁ、その扱いには細心の注意祓わなきゃならないわけで。
万里谷がサポート要員なので、日本サイドからも戦えるメンバーを護堂のハーレムに加入するという組織の陰謀が……
あながち間違っていないのがなぁ。
この巻で護堂もついに最後の化身を発動。十の化身すべて使えるようになってしまったわけですが。
……あちこちで再戦フラグ建ててるから、コレまた厄介ごと引き起こす引鉄になるよなぁ。
今ならわかる 出会いの意味も 得るかけがえのないものも
雨は愛しいものを連れてきた
繁忙期に突入。
長谷は仕事が出来るので、かなり頼りにされていて。
家に帰る暇もなくすれ違い状態。
普段イチャイチャしてる分、すれ違いが続いてお互い溜まっていたものがあるようですね。
長谷の過去のエピソードなんかも書かれていましたね。
母一人子一人の家庭で。昔からスペックは高い感じでしたが。
本当に百々子が彼の癒しになってるんだなぁ。
下手にスペックが高い分、何でも出来てしまう彼の、休まる場所として重要なんでしょう。
花火を見に行くデートをしたり。
共働きなのでたまの休日に、のんびり過ごす一日が描かれたり。
上司に振り回される長谷という、貴重な絵が見られたり。
相変わらず幸せそうですねぇ。
ちゃか
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