ico_grade6_4
魔術の世界は実力の世界。才あるものがもてはやされ、力なきものは無視される。
だからこそ。
「弱者が見捨てられてはいけないんだ……それは、強者が報われるのと同じくらい重要な……もうひとつの〈世界の真理〉なんだ。私は……せっかくつけてもらった腕を捨ててでも、アンリエットを護りたい……!」

夜会終了まであと二日。
薔薇たちの暗躍もあり、大分通常とは違う様相を呈してきている最終幕ですが。
雷真は、仲間たちの為、夜会へのちょっかいを排除するため、銀薔薇に続いて、他の薔薇も倒してしまおうとアリスの力を借りてまで画策しています。
で、実際に日輪を厄介な祖母の元から一度連れ去ることには成功するわけですが。
魔女の呪縛は強かったといいますか。彼女はいったい祖母から何を打ち明けられたのか気になりますね。
失敗して怪我をおった雷真が活躍するのは次回以降にお預け、な感じ。

だからこそ、今回の表紙はシャルだったのかなぁ(日輪もいますが)。
本当に、この巻の主人公はシャルと、ブリュー家の人々だった。
ぼっちだった暴竜が、妹を助けるために行動を起こそうとしたとき。
それに手を貸してくれた人々の数。アンリが築いた縁もありましたが、決してこの学院で過ごしていた時間が無駄ではなかったんだと思える良い展開でした。

というか、エドガーさん強すぎませんか。一対一で薔薇圧倒してますよ。
武の極みといえば、雲雀さんが思い浮かびますが……彼は彼で何を考えているのかわかりませんね。
雷真の様子見をしたうえで刀を渡したりと認めてくれているのかと思えば、仕事だからと立ちふさがったり。
キンバリー先生が、雷真やアンリを気にかけていた理由も描かれてましたね。
この人、本当にいい先生だなぁ、と思います。
マグナスが自分の人形たちに、全てを語る約束を果たす、と言って語りを始めるようですが。
さてはて、彼はいったい何を考えて、何のために行動しているのか。
夜々が問い詰めた時、「おまえの言ったことに嘘はない」とは言っていましたが。
絶対に何かは隠されているはずですし。彼の真意が気になって仕方がない。

機巧少女は傷つかない14 Facing "Violet Silver" (MF文庫J)
海冬 レイジ
KADOKAWA/メディアファクトリー
2014-10-23