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「だいじょうぶ」
ジュリアンは目を閉ざし、手に力を込めた。
「死んでも放さない」

電子書籍版を読了。
シリーズ完結巻ですね。
なぜ、これだけ電子版だと書いてるかっていると、特別収録の短編があるからですね。
本編が良い感じの終わりをしてるんですが、「他のキャラたちのその後はどうなの」って感じだったのも事実なので。
後日談も収録されているというので、こっちにまで手を出してしまいました。

閑話休題。
とりあえず、本編の感想から。
セシルの見せた覚悟。ジュリアンを撃てないから。だったら。
まぁ、幸いにして、追いついたレナードがいい仕事してくれて無事だったんですが。
クリストファーには逃げられてしまって。
今回大きな事件を起こして、もう逃げ場もなくなったクリストファーは、他の事情も鑑みて、最後のゲームを提案。
裏で動き回っていた分、切り札たくさん持っているからなぁ。

ロンドンで行われる、最後のゲーム。
それを止めることができるのか、とジュリアンは挑まれて。
ただまぁ、クリストファーがいろんな人の弱みを握っている分、それを活用して動き回っているからどうしても対応が後手後手に回っていて、その辺はもどかしいですね。

前回のレナードからの手引きもあって、ようやくセシルとジュリアンが落ち着くべきところに落ち着いたように見えます。
そのあたりがちゃんと決着がついて、セシルたちの父親の問題についても、解決ができたのはよかったんじゃないかと。
ジュリアンの父が振り回されていましたけど……ご愁傷様です。

特別収録の短編は実に5本も収録。
日常のエピソードが3本と、後日談が2本。
ガイ・フォークス・ナイトを共に過ごすセシルとジュリアンのエピソード、『寄り道は危険の香り』。
『My sweet tea time』は、新聞記者として働いてるセシルたちのたわいない日常の話。セシルが気になったお菓子にまつわるちょっとした謎をジュリアンが解決する、彼らのいつも通りの姿があります。
『幸せへの脅迫状』。これはちょっと男が凝りすぎてるといいますか。
セシルの親友エリザベスの屋敷のメイドが受けとった怪しい手紙の顛末。さて、セシルは相応の礼としてマザーグースの歌を口にしてましたが。どう落ち着いたのかが地味に気になるなぁ。

『Coming back to you』。この世に蘇ったヘンリーの思い付きで、アッシュフォード家でパーティーが催され、なぜか屋敷の中でかくれんぼをすることになって。アメリアがジェフリーに興味を持っているみたいな描写がありましたが、わりと本気みたいで。
ダニエルとエリザベスもなんだかんだで良い雰囲気みたいですよ。頭硬いダニエルは、しばらく葛藤してそうですけど。

『Beautiful May flowers』。
セシルの社交界デビューのエピソード。
ジェフリーが引っ掻き回していたけれど、こうやって笑えていられるのも、無事にヘンリーの死から始まったアッシュフォード家の問題が解決したんだと実感できる話でしたね。