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「シロエくんはね。――“なんでもあり”の方が生きるタイプだろうね」
「彼は策士なんかじゃないと思うよ。なりふり構わず、手段を選ばず、一切の見返りを求めず、目的以外気にかけない。そういう状況では無類の強さを発揮する。あれは妖刀のたぐいだ」

五十鈴とルンデルハウスを仲間に加えた『記録の地平線』。
4人で始まったギルドだったのに、今ではその倍、8人も在籍している。
まぁ、一ギルドに焦点を当てれば小さな変化ですけれど。
大災害以降、そうして変化が出る程度には、時間が経過していて、その上帰還方法については未だ見当もつかないとなれば、この世界で生きていく覚悟を決めないといけないわけです。

そして人間が生きていくには、娯楽が欠かせない。
というわけで、ある程度状況が落ち着いてきたことから企画された、「天秤祭」。
アキバの冒険者たちが、この世界で初めて行う、プレイヤー主導のお祭り。
まさしく、日曜日、つまりは祝日といった様相です。

祭りともなれば、あちこちで恋の話題が咲くようで。
シロエの周りも華やかですし、マリエールの方にも春が来そうな雰囲気。
今回は、ミノリとアカツキのそれぞれの悩みが描かれていて、なかなか良かったと思います。
救出された恩と、そこから積み重ねてきたものを眩しく感じ、追いかけ続けているミノリ。
これで中学生っていうんだから、末恐ろしいもので。
一方でアカツキは、その身長によるコンプレックスがあって、それに縛られない関係を欲していた。
だからこそ、いざ得られたらその安寧に甘えてしまった、と最後には衝撃を受けるわけなんですが。
別に、安らぎを得ることが悪い事だとは思いませんけどねぇ。

ただ、祭りを行っているだけではなくて。
アキバとは別の形で落ち着きを見せたミナミの街からの攻撃を受ける、天秤祭。
シロエがそれに気が付いて、打った手っていうのがまたすごいといいますか。
なんですか、西風の旅団って、実は結構恐ろしいところですか。
目には優しいけど、近づいたら怪我じゃすまないような臭いを感じたんですが。

一番最後、シロエの元を訪れた、西の総領、濡羽。
彼女の言葉は、シロエをかなり困惑させ、悩ませましたが、一つだけ選択を間違えた。
大災害の直後だったら、シロエは濡羽に連れられて行ったかもしれない。
けど、彼は、覚悟を決めていたから。そこだけ読み違えてしまったのかと。
読んでいた時に、あのイラストには結構こっちの背筋にも来るものがありましたけど。
気合入れてますね。
さて、シロエと濡羽はなにやら、既刊の方法についての、なにがしかの意見というか考えを持っているようですけど。
それが明かされるときはいつになる事やら。
まぁ、気長に待ちます。