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「そんなもんかね? 確かに強い力は、派手だし戦いやすい。けどそれゆえに、手に入れた奴は力の工夫を怠る。そうして足元を掬われる」
(略)
「だから結局のところ、必要なのはやっぱり覚悟なのさ。能力の強弱に関係なく、たとえ死にかかってもまだ戦える覚悟がな」


異次元の扉があき、人の想像力から発生する怪物が現れるようになった日本。
その災厄を止めるために、主人公たちが所属する組織が作られて。
御多分に漏れず、その災厄と対峙するために、彼らは異能を身に着けて戦うわけですが。
異能にも強弱があって。

対策室の室長である少年は、強力すぎる異能を身に着けて悩んでいた。
なぜなら彼は、「弱者が強者を倒す」という展開に憧れる、中二心あふれる少年でもあったから。
まぁ、だからと言って仕事をちゃんとしていないかというと、趣味に走りながらもちゃんとやっているんですよね。
趣味に走りすぎる部分は……まぁ、どうしようもないですけど。
強い力を持っているから、できることはするという感じで。終盤大規模な事件が起きた時には率先して動いてますし。

本筋としては、強すぎて不満を感じている少年が、ポンコツ異能をもった少女を鍛える話。
異能ファンタジーと、最近はやりの「教師モノ」の要素を混ぜた感じでしょうか。
室長、佐々宮銀が中二心あふれまくっているのがアレですが。
おかげで部下から生温かい目で見られたりと、どうしようもない感じ。
あとは、視点がコロコロ入れ替わるのもちょっと読みにくいかなぁ。
誰の視点か分かりにくい書き方なので、そこは残念。
この災厄が最初現れた場所は、秋田、埼玉、富山、滋賀、和歌山、鳥取、愛媛、鹿児島の八か所。
東京とかの中心部に異常が発生してパニックになるっていうのはありがちですけど、地方を選んでいるのは面白い。その要素が今回生かせていなかった感はありますが。
もう少し洗練されれば、より楽しめるんじゃないかと思いましたよ。