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「野心がない。欲がない。それはそなたの重大な欠点だが、そのことを率直に出しすぎるのはなお悪い。多くの者は、かえってそなたを疑うであろう。野心や欲がないように見せかけて、本当は誰にも言えない程の野心や欲を抱えているに違いないと」


ヴィクトール王のイメージが変わりましたね。
乱心したらしい王子をどうするでもなく、後継者を指名したことで、他のキャラの思惑があったとはいえ、戦姫同士がぶつかる一歩手前まで騒動を転がしたこともありましたか。
他国の客であったはずのティグルを、使者として派遣したり、結構無茶しがちというか、傀儡とまでは言いませんがどこか歪な状態で王座に在るのではないかと少し思っていた部分がありました。
けど、彼は、まさしく王であった。
ティグルと対談していた時の様子、助言をしつつも、油断ならない存在感がありました。

一貫して故郷の領主である、という立場を崩さないティグルでしたが。
オルガは彼に王の素質を見たり、他の面々には結婚を勧められたり、彼の将来が、今後の大きな転換点になるんじゃないですかね。
戦に置いて、多くの功績を挙げ、隣国の戦姫のほぼ全てと交友関係がある。
オマケに母国では、称号も貰ってましたよね、確か。
ここまでくれば、もはや地方の一介の領主なんて立場には戻れるはずもなく。
魔物どもも暗躍していますし、ますますこの大陸は引っ掻き回される流れになりそう。

戦姫にあいさつ回りしていたら、いつの間にか大所帯になっていた、という最初の場面がなんとなく笑えた。
アレ、どんどん重要人物が増えていくから、周囲からかなり注目集めたというか、ティグルの名前がまた広まったんだろうなぁ、と思うと。
戦姫同士での情報交換の場面とか、挿絵は中々いい味出してました。
ついにヴァレンティナとの接点もできて、相変わらずの流れに持っていってるティグルがさすがすぎる……
彼女は彼女で、魔物に対してある程度知っていて、暗躍していてと怪しさ満タンですが、何を考えているやら。

さて、魔物たちだけではなく他国までまた侵略を始めて面倒なことになっていますが。
レギンに対しての暗殺騒動とかもあって、かなり不穏な状況です。
ティグルはいつも戦姫たちといるように見えるからそのことに対しての不信とかもあるだろうし、中々先行きは明るくなりませんな……

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉11 (MF文庫J)
川口 士
KADOKAWA/メディアファクトリー
2015-03-24