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「……大輔さんと一緒じゃなかったら、こういうことはやりません」
「え?」
「もし一人だったら、受けません」
怒ったような早口で言い、そそくさと眼鏡をかけた。目の縁がほんのり赤くなっている。再び歩き出してから、この前の質問の答えだと気付いた――俺が居なくてもこういう依頼を受けるのかどうか。どうして今ここで答えるのか。いつも本当にタイミングがつかめない。

デートに誘ったこともあって大輔が結構踏み込んでいくのがいいかなー。
免疫なくてあわててる栞子さんが可愛い。
しかし、それでも本の話題になると、スイッチ切り替わる辺りは相変わらず。
想いが固まっているものの、葛藤も抱えている栞子は、どうにか母と連絡を取ろうとする。

今回はいつも通り、短編連作な形ですねー。
一つの事件が解決した後に、別の視点から、補足が入る感じ。

まとめて本を売ったかとおもいきや、しばらくした後に買戻し、また別の店に売りに行く女性の話。
なにか目的があるんだろうけど、そっちにいくんですね。
志田さんがかかわってくるとは思わなかった。大輔と同じような感じに思考誘導されそうになった。
ただ、大輔が納得しているってことは、別の視点もあるんだろうなぁ、と思っていたら案の定。

続いては、親の書斎に何冊もあるブラック・ジャックの話。
父親、結構不器用ですねー。わらにもすがりたい想いっていうのはああいう事を云うんだろうか。
もう少し言葉を選んでいたら、この騒動はなかったんじゃないか。それが難しいから、色々ともめ事とか事件とかっていうのは発生するんですけどね。
さて、今回は栞子さんの友人の滝野リョウさんが登場。はっきり登場するのって初めてかな?
今まで店に来なかった理由として、内心で、「親友の幸せを呪うほどクズではないつもりだったけど、わざわざ見物しに行くげんきもなかった」といっていますが。
栞子さん的には、重要な事でも、傍から見ているとみていられないというか、犬も食わないっていうか、そういう面があることは否定できない。
今回大輔が積極的になったぶん、甘い描写というか栞子さんが照れてて可愛い部分とか増えてましたしね。

そして、最後は、親族に敬遠されている男に、兄は大事にしていた本をやろうといった。
しかしその約束を果たす前に、彼は亡くなり、他の親族は「そんなことをあの人が言うはずない」と本を渡さない。
ビブリア古書堂を立ち入り禁止にされた経験もある、不謹慎というか軽薄というか、そんな感じの男の依頼を受けた背景には、母の影があるわけで。
ただ、あの弟は、絶対に好きにはなれないタイプだと思いましたが、最後の最後、憎めない人のようにも思いましたけどね。
テンプレでいうなら、雨の日に捨て猫を助ける不良を見た気分というか、ちょっとしたギャップが描かれていて、何となくほっとしたというか。

いやー、結構いい感じでした。
最後の大輔の返答がまた。対比としても優秀というか。違う道を進んでくれそう。
母親の得体の知れなさも健在で、安心しました。
シリーズも終盤にかかっているようで、因縁が再び、という展開になりそうですが、どうなっていきますかね。