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「絶望的な負い目が己を支える礎となり 痛切極まる悔恨が不退転の爪となるなら」
「今の君を作ったのは あの日の挫折だ」
「その強さが我々を 妹を 果ては人類を救った」
「これは厳然たる事実であり 卑怯さからは最も遠い行いだ」
「誇り給えレオナルド・ウォッチ 私も君を 誇りに思う」

今回は1巻まるまる使って一つのエピソードが描かれていました。
神々の義眼を手に入れた、レオにまつわるお話。
妹の失われた視界をどうにかしたい、とこの混沌とした街に彼は足を踏み入れたわけですが。
過去に記録のある「神々の義眼保有者」の近くには、同様の失明者がいて。
先日登場した本の院長曰く、義眼保有者の記録はあるが、義眼摘出の記録はゼロだとか。
「神々の」と頭につく通り、単純な医療行為として抜き取れるものではなく、ある種の契約のようなものなのだろう、と。

答えを見つけられず、悩み続けている様子です。
一方で、眼の扱いには慣れてきて、ライブラの作戦時に、他人の視界を操作したりして、サポート要員として活躍してますね。
そしてついに、彼の妹が登場。これまで存在だけが語られていた彼女。
彼女は、兄に婚約者を紹介するために、ヘルサレムズ・ロットまで足を運んで。

そこからレオが騒動に巻き込まれていくわけですが。
以前の彼にしか見破れなかった幻術といった存在があるように、特殊な目を持つ彼にしか見えないものがあって、孤独な戦いを強いられるというのは、王道で、だからこそ熱いものでした。
妹との幼少時の会話。引くことを知らない「亀の騎士」。
戦闘力は皆無ですが、諦めずに行動し続けたレオの姿勢には頭が下がります。
アレは真似できん。

回想で登場した、ライブラメンバーからのレオへの助言がそれぞれの個性が出てて良かったです。
アドバイスをするもの、代わりに攻撃してやるというもの、状況の把握や回避を進める者。
チェインの言う、消えちゃえば良いっていうのは、それ不可視の人狼だから出来る手法じゃないんだろうか……
クラウスが課した厳命が好きです。彼。本当愚直なまでに紳士ですよね。リーダーを務めているのも納得です。
今回はレオが終始、彼に出来る事をしていて格好良かったですが、クラウスも別の面で格好良かった。いや、満喫しました。
これで完結になってもおかしくない雰囲気でしたが、「第一部完」という形のようで、第二部も始まる様子。今から楽しみでならない。あぁ、早く本にまとまらないだろうか。