ico_grade6_3h
「君は編集者でしたね」
「はい」
「なら、わかるはずだ。編集者の仕事は、天才を少しだけ凡人に近づけることです」


発売直後に読んではいたんですが、記事作成が遅れに遅れました……
同作者の『階段島シリーズ』の新刊が出て、そちらも読み終えたので、感想書こうかと。
最近読むペースが早すぎて感想書くペース追いついてないんですよね。
まぁ、その読むペースも購入の速度に追いつかず「購入後に詰まれた山」と「読了したけど詰まれた山」が出来て、我ながらどうしたものかと。

閑話休題。
事態が加速した感じがしますね。
小暮井ユキは、『知らない神戸の街』で目覚め、無くなった親友の星川唯斗と再会する。
一方作家と編集者は、現実世界匂いて倒れて目を覚まさないユキに紫の指先の影を見て。
調査に乗り出していくわけですが。

「紫の指先」の作り上げた仮想世界は思っていたよりも世界としての形がはっきりしていて、驚きました。
取り込まれた幽霊たちは、個々の思惑をもって動いているし、建物やら食料やら、生活に必要なアレコレも整っている。
もっと紫の指先って機械的というか、怨霊的な感じに幽霊を飲みこんで同化していってるのかと思ってましたが。
多重人格みたいな形で一人の器の中で完結しているような形といいますか。
けど、実際であった紫の指先は、空っぽの器みたいな感じがありますね。だからこそ、周囲で色々な思惑が渦巻いているんでしょうけど。

紫の指先を否定する幽霊、肯定よりの幽霊。中立的な立場をとる幽霊。
そんな想いがあるなかで、それぞれが気にかけているのはユキの存在で。
彼女が、この世界にしてしたことが紫の指先に影響を与えたから。
よりよい物語を作るために、打ち合わせをするかのように答えに近づいていく様はやっぱり読んでいて楽しいですねぇ。
今回は、答えに至るための前提を提示したところで終わった感じがしますし、早く解答が読みたいものです。
完結巻は、今年の夏発売予定とのことですし、早く夏になりませんかねぇ。