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「悪鬼として生きるより、人間として死んだほうがマシってもんだぜ……」


完全に序章という感じで、盛り上がりが足りない。
主人公が修行中っていうこともあるかもしれないですけど、あちこち未熟で。
その代り、話がポンポン進んでいくので、なんかおいてかれてる感じがする。
修行中のくせに、戦闘の際、知ったような顔で分析してるのがなぁ。何とも言えない。

「どうだ小僧。我が退魔流にかかれば、剣聖クオン直伝の神明流もその程度という事よ」
「それはどうかな? 人にあらざる動きで相手を幻惑するのが、あんたの退魔流の極意のようだ。だが、その動きは同じ相手には二度と通じるもんじゃねぇ。世間に知れ渡れば、おしまいってことだ。つまり、あんたの流派は、邪剣、魔剣でいるしかないってことさ」

挑発するため、とはいえ言い分に納得できないと、どうにも。
受けに特化した流派で、剣聖に修行を受けていたから何とかなった、というモノじゃないか。
妖怪・悪鬼の独特の動きを用いた攻撃っていうのは厄介なものだと思いますがね。
常識外の動きによって隙を作れるってことですし。
退魔流を名乗る程度には技の数もあったでしょうし、実際には、複数の技を与わせて、幻惑することが可能だったんじゃないだろうか、とか。
主人公の不甲斐なさというか、未熟さがどうにも好きになれない。
 
口絵のイラストが、また微妙というか。
予告なのかもしれませんけど、あんな場面ありましたっけ?
「果敢に征く三人の少年少女たち」とある絵ですが。
あれ見たもので、すっかり、この三人が一緒に旅をしているものかと思いましたが。
主人公が修行しているところからですしね。
しかも一人母親って。少年少女というにはちょっとあれなんじゃないでしょうか。見た目ロリロリしてるけど。
 
帝都で暗躍していた悪鬼、羅刹鬼。
それが主人公ヒエンの故郷にも迫り、父が行方不明になったと知る。
故郷で、その羅刹鬼と戦いますけど、文字通り水を差されて、中途半端で終わりますし。
見せ場がないように思いましたね。
一応シリーズで続いているようですし、ここから盛り上げてくれることを祈ります。

ブレイドライン アーシア剣聖記 (角川スニーカー文庫)
水野 良
角川書店(角川グループパブリッシング)
2009-09-01