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「その服は桂木さん自身が選んだんでしょう。どんなものであれ、自分の意志でしていることには価値があると思います」

 

「ビブリア古書堂」の作者の新作。

舞台はビブリアと同じく鎌倉ですが、こちらはタイトルにある通り江ノ島がメイン。

亡くなった祖母が運営していた写真館。

孫の繭は、遺品整理のために館主の死と共に歴史に幕を下ろしたその場所を訪れる。

 

彼女自身、かつては写真が好きで、色々と撮っていたがある失敗をしたために写真から離れていた。

本当は母も来るはずだったが仕事の都合で、来ること叶わず。彼女は一人、残された物を整理していく。

そして見つけた注文されたものの取りに来ない「見渡し写真」の缶。タイミングよく一人受け取りに来たことを皮切りに、彼女はそれらの写真に隠された謎を解き、自身の過去と向き合うきっかけを得たりするわけなんですが……

 

全体的にもやもやすると言いますか。

繭のやらかした過去は確かに、カメラを置く決断するのも納得できる感じでしたが。

納得しやすいのは、彼女の過去ぐらいで、真鳥家の問題なんかはちょっと大事過ぎるというか、無茶が過ぎる感じがしたのは残念と言いますか。

普通だったらそこに切り込まないだろう、ってところに踏み込んでいくあたりは好ましくはなかったかな。

結果的には上手くまとまった感じがしてますが、実際なんの解決もしてないような気がしますし。

繭の大学での知人から「(前略)言うことがいちいち無神経で、敵の多い人だったよ。俺も君のことは嫌いだった」と評されたところから変わってないんじゃないか、と思えてしまう。

最後、過去起こしてしまった過ちとそれによって傷付けた相手と対面する場面で終わってますが……傷を広げないことを祈るばかりです。