「…夢を見たわ」
「とてもキレイな夢だったけれど」
「夜が明けて目を覚ませば」
「みんな忘れるわ」
戦車隊のハディは、カシムを殺せなかった責によって解雇されて。
カシムが残したものをリジーに届けたり、色々と調べたりしていたようです。
E-07の上層部が更迭され、後釜がやってきたりと軍もドタバタしてる状況。
そして、ここにきてイリの過去が追い付いてきてしまって。
なぜ、彼女とその父は虫籠にいたのか。
A-47区という果てからE区まで来たのはなぜなのか。
軍でトップが入れ替わったときに持ち込まれたA区の資料。
それらが意味することは、何なのか。
「駆除屋殺し」の正体と因縁。隠されていたことが明らかになり、追い込まれていく流れは圧巻です。
最初に蟲が人から生じたと気付いた研究者。
その息子と、軍の上層部が行っていた実験。
蟲の軍事利用が目的なのかと思いきや、別の目的があって。
虫籠になってしまったE-07の真実も明らかになるわけですが。
アドハムやフランツは、この世界においても歪だよなぁ、とも思います。
イリの手を取って逃げたグリフィスの気持ちも分かる。
そして、彼が苛まれていた罪悪感も。
イリが過去を想いだし、これまでの事を「夢を見ていた」と評するわけですが。
確かにそんな感じですね。夢から覚めて、現実を突きつけられて。
悩み、悔やみ、娘を助けたいと零したグリフィスを責めることは出来ません。
グリフィスの戦いは、道半ばで途絶えてしまいましたが。こんな世界だからこそ、彼の用な人がいるべきなんじゃないかと思います。
その嘆きを聞いたキドウたちには、この後頑張ってもらいたいところです。
今回の描き下ろし短編は、アハトが駆除屋殺しとなるまでのお話。
職員に怪我をさせることも増え、庇いきれなくなる前に、身内ではなく外の誰かを襲うように仕向けたフランツの思惑があったようで。
けれど、人に作られた彼が、人と虫の境に立つ彼が「その剣で人とバケモノを分かつ」という駆除屋の剣にかけた願いが悲しい。