「もー、あれはひどい拷問だからやめた方がいいっていったじゃん」
(略)
「プロなんだから心に傷を残さない修行にしようよ」
「うーん……そんなに駄目かなぁあの修行」
「アレクは人の心がわからないからねえ」
小説家になろうの書籍化作品。
原作一章の「ロレッタの『花園』制覇」と二章「モーリンの『屋敷』侵入」を収録。
イラストが可愛くていい感じですねー。表紙にちゃんとブランとノワもいるのが家族経営の微笑ましい風景に見えて騙されそうになる。
……この一家、この世界で最強に近い戦力保持してるから今は微笑ましくても下手に地雷踏むとただ死ぬよりも恐ろしい目にあうんだなぁ……
最初の変換が「最恐」だったけどあながち間違ってない。
異世界の記憶をもつ宿の主、アレクことアレキサンダー。
彼は「セーブポイント」を作る特殊能力を持っていて。彼が作り出したセーブポイントで『セーブする』と……死んでも、死なない。
壊れた武器などはそのままだが、経験などは持ったままセーブポイントで復活する。
そんな彼は新人冒険者を支援する目的を持っていて、修行をつけたりもするんですが……
これがまたひどいもので。
なろうで最初に読んだときは、酷すぎて一周廻って笑えました。
「セーブポイント」があるものだから、アレクが課す修行は死亡前提で。
死にもの狂いでやれば大抵のことはなんとかなる、という考えの下それを相手にも求めるからもう大変。
死んでも蘇るから、準備体操として崖から飛び降りて自殺してみる、とか言い出しますからね。
修行を受けに来るお客にはそれぞれの事情があり、だからこそ彼女たちは必死に修行に取り組んでいくんですが……
心を折りに行くのに躊躇が無いというか。ナチュラルで会話が通じていないというか。
原作の方では「人の形をしたモンスター」とかそんな感じで表現されたこともあったはず。
「店主が何を言ってるのかわからない」から味わい深いというか、後書きにもありましたがブラックジョーク的というか。
さらっと読んだのであれですがあまり加筆とかはされてない感じですかねぇ。そこはちょっと残念。イラストがいい感じだったので買って後悔はしてませんが。
次が出たら買います。