しかし、それでも。
それでも、あの夜、たしかに――
星読島に星は流れたのだ。
天文学者ローウェル博士は、孤島に観測所を作り居住していた。
その島には、数年おきに隕石が降って来るという曰くがあり、毎年行われる天体観測の集いは恐ろしいほどの倍率に。
医師の加藤も、ネット上にあるローウェル博士主催に参加していて。最も、たまに眺めるライトユーザーだったみたいですけど。
何の因果か、高い倍率を潜り抜けて当選。天体観測の集いに参加する事になったわけですが……
滞在中に、一人が死体となって海に浮かぶ事態になって。
孤島である上、用意されていた設備が破壊されたため通信もできず。定期船があるわけでもないので、「この中に犯人がいる」というクローズドサークルの状況に。
加藤が天文のライトユーザーであるため、隕石についてだとか説明が入り判りやすかったですねぇ。
そして星座の数の話なんかも驚きました。意外と少ないんですね。
隕石の価値に吊られてこの島に来たもの。個人の事情として願掛けの意味を込めて参加した者。色々と事情がありますが……
それらが上手く溶け合って、あの島の不思議を演出していたように思えます。
「地球最後の日」の問答や、「星が流れた」結末に至るまで。綺麗にまとまっていて、流れるように読めました。