「…困りましたね」
「別れはきっともうすぐそこなのに」
志津を連れて……哲は駆け出し。
まさかの駆け落ちでどーするんだ、って感じでしたが。
逃げ込んだ先は哲の祖父が運営している民宿で。
全く考え無しってわけでもなかったのか。まぁ、突拍子もないことなのは確かですけど。
ちゃんと事情を説明して、親子で話をする場が持たれたのは良かったなぁ。
哲は去年、父と祖父が、母の延命治療を止めるかどうかの話をしているのを盗み聞きしてしまって。
だからサッカー部もやめてバイトを掛け持ちして、お金を稼ごうとした。
そんな話を今度は妹二人と、友人と志津が盗み聞きしてて。
あそこで乱入できるあたり、志津もかなり変わってきてますよねぇ。
志津の父親も中々厳しい人生を生きてきたようで。
多くのモノを強いられる人生の中で、妻に迎えた彼女だけが特別だった。
だから、妻が娘に怯えるならばそれを遠ざけようとした、と。
誰も彼も不器用に過ぎる感じがしますねぇ。いや、ホント。もう少し言葉を尽くして入れバ、ここまで抉れなかったのでは、と思わずにはいられませんが。
何とか、ちょっとはマシな場所までたどり着けそうですし、ちょっとほっとしました。