「借りを返すどころか、死んだ相手には、礼を言うことも、詰じることもできない。……最悪です。こんな借りを彼に押し付けられる謂われはない」
(略)
「私は自分勝手な人間なので、自分がやるぶんには構わないと思うのですが、他人にそれをやられると腹が立つんです」
「傲慢ね」
精霊たちは空からやってきて、故郷へ帰りたがっている。
けれど、精霊たちを忌み嫌い排除したい勢力も居るので、状況が整ったとはいえ即座に行動に移すわけにもいかない。
そんな状況なので、ユリウスたちは色々と画策しております。
まずは、故郷へ帰るための船のパーツを確保するために、カムツィエを襲撃。
戻るための船は準備が出来た。けれど、いざ故郷へ旅立とうとすれば、全ての精霊を連れて行かなければならない。
……つまり、全ての魔法使いが、魔法を使えなくなる。
そんな異常事態を敵が見逃すとは思えない。精霊たちが行動を起こしたと悟れば、直ちに攻撃してくるだろう……と言う中々に困難な状況。
ユリウス、ゼクロス、ヴィグナラージャの大人三人が策を練り、実行。
クワンやユファ姫たち子供組は、精霊王の魔法使いとして同行するのか、別離を選ぶのか選択を迫られることに。
クワンは決断の為に一度故郷の村に帰り、育ててくれた村長夫妻と再会したりしていました。孤児だったクワンを拾い育ててくれた人達だけあって、出来た人でしたねぇ。
ユリウスたちの行動によって精霊たちの悲願は達成されましたが……
事情を知らなかった魔法使いたちにとっては、かなり大変な時間が流れたんだなぁ、というのも描かれていて、寂しさもありましたねぇ。
最後のエピソード「帰郷する魔法使い」では彼らが去ったその後のエピソードが見られて、クワンやユファの成長ぶりが見られて良かったんですが。
ユリウスの描写が少なかったり、状況ゆえに精霊たちとの会話が少なかったのは惜しいなぁ。
まぁ、あれ以上に紙幅割く余裕もない感じではありましたが。
彼らを取り巻いていた問題については大凡解決し、ここから先は束縛もほぼ無いようですし、これからは楽しいことに巡り合えるといいんですが。
……戻ってまずやらなくてはならないことが、フレイアと婚約者の騒動の調停って言うあたり、お疲れ様です……