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「――人間は強い。否定してみろ、できるものならな」

 

クロックワーク・プラネットを榎宮祐と共著で送っている暇奈椿の新作。

後書きによればアイデア自体は随分と前からあったようですが。

始まりは二十一世紀の日本。ただ、そこは神様や妖精などが住まう特殊な環境になっていて。

神州日本、燈京でアメリカから訪れたインタビュアーに神様は、ある男の話をして。

 

今よりも神話が、神様が、人々の近くに在り、その信仰によって加護を得る戦士なんかも居た時代。

大国、邪馬台が力を振るい各地を侵略していた。そこには異国の神々なんかも混ざっていて、何でもありな雰囲気ですが。

そしてその侵略から逃げ続けていた、非力な女神とその信奉者たち。

異形と異能を持つ『鬼』の一族と、人間の強さを信じる流浪の少年。

 

何の巡り合わせかそれらが一つ所に集まって、物語が進んでいく。

事の発端は、大国に対抗するため女神たちが鬼と協力しようとしていたことですが、鬼の棟梁はそれを断って。

その交渉の様子を見ていて、あることに納得がいかなかった少年が、横やりを入れた、と。

 

真人の存在がやっぱりかなり重要なんですよねぇ。彼が示した強さがなければ、交渉も進まなかったし。

女神の庇護を受けるだけで満足していた、人々の視野の狭さもそのままだったでしょうし。

敵国の戦力を見るに、真人が干渉しなければ、それぞれ確固撃破されて終わりだった感じがあります。

鬼に勝つほど強くなった彼の生まれにも色々とあるようですが……

『人間は強い』という信念を、行動でも示し続けた彼の姿は中々に格好良かった。

 

犠牲が全くなかったわけではないですが、まぁ、何とか人としての矜持を貫き通して、生き残った。

最も真人達は大国の尖兵を追い払っただけで、本国はまだ健在ですし、ここで描かれた以外にもまた困難を乗り越える必要に駆られたでしょうけど。

神州日本において、彼の活躍が語られるという事は、困難に折れず駆け抜けたという事でしょうし、めでたしめでたし、で締めていいんじゃないですかねぇ。