ico_grade6_4
――なんだあの男は。
死んでいながらも変わらない。
――なんだあの男は。
生き返りながら揺るがない。
――なんだあの男は。
あれほど雁字がらめでありながら、あれほど自由に生きている――!


岩巨人を倒した後、禍グラバが財力に物を言わせて、他国からの干渉に対してバランスを取るような行動をしていた時も、すさまじいと思ったものですが。
婁さんが還り人となり得た能力は、それを超えるほどの衝撃があったといいますか。
これ、あの人にだけは持たせちゃいけない能力でしょう・・・
わくわく天凌ランド。字面は可愛いのにその実態といったらもう・・・
いや、率いている本人はこれ以上ないほどの喜悦に浸っているとは思うんですけども。

赤の竜の襲撃により、壊滅したシュカ。
残ったのはスアローただ一人。
忌ブキとエイハは革命軍と行動を共にし、禍グラバはその革命軍をストーカーして情報を探る。
一度死に、還ってきた婁さんは、島から離れられなくなったその身を呪い、媛の為に行動を起こす。
一人だけ別ゲーやっててすごく笑えました。

スアロー 選択肢ひとつで命が飛ぶ島、それがニル・カムイ――!


状況が瞬く間に変わり、安全って何だったんだろう、という感じであちこちで事件が起きていますが。
この発言が、本当に現状をよく表していると思います。
阿ギトだって、エイハたちが助けに行かなかったら、1巻で死んでいたわけで、そうなると、忌ブキたちの革命軍ルートっていうのも選ばれる可能性が減っていたかもしれないわけで。
そう考えると、色々とIFが気になったりはしますねー。いったいどれだけ選ばれなかった道があったんだろうか、と。

忌ブキがどんどん革命軍の王として成長していっていますが。
それと同時にどんどんこぼれ落ちていっているものもあるように思います。
婁とスアローをみて「優しい人」と言った少年だったころとはだいぶ違ってきてしまったなぁ。
それが悪いというのではなく、この島の置かれた状況からすればある種の必然だったんだとは思いますが。
どこか歪んでしまった部分があるんじゃないか、と思える。

スアローは母国ドナティアの一段と行動を共にしていますが。
彼は彼で迷っているというか、さすがに前回最後の結果に衝撃を受けている部分はあるようで。
それでも調査隊に最後に残った一人として、禍グラバの支援を受けながら色々と手を打っています。

禍グラバは・・・遊び心豊富だよなぁ、と言いますか。
革命軍の前に出てくるときのやり取りには思わず吹きましたよ。
一体あの商人は何を考えているのかと。
手を尽くして、契約の条件を自分に都合がよくしようというその行動理念は一貫していて安心できますが。

この作品はあちこち力の入れ方がおかしいと思いますが。
婁さんの新しい能力の為に分厚いルールを作ったり、計算の為に何人もスタッフがいたり。
しかし、カフェに依頼を出してニル・カムイ料理をPLにふるまうとか・・・贅沢だけど、何やっているんですかとツッコミは入れたい。
前回の結末を受けて、それぞれが現状把握のために尽力する話、という感じで、これまでと比べるとちょっと盛り上がりが足りない感じはしましたね。
でも、準備回ということで、ここまで怒涛の展開を起こしてきたPCたちが、これだけ溜めて最終決戦が面白くならないはずがない、と期待できる感じがいいです。