Icy Prayer編の百題3~5の感想。

no-seen flower 100題感想
作品別。表記は
【100題の番号-100題内の番号『タイトル』】
例:100題1の1.洗脳の場合は1-1『洗脳』。

3-7『時計』
「…………シスイ」
エウドラへの罰則で、シスイの五分怪談を十個聞く、というものが出て。
ちゃんと真面目に聞いてる辺りは偉いというか。
いやまぁ、元は脱走しようとした彼女への罰なんですが。
シスイが細工した時計を準備しているあたり周到ですな……

3-18『目覚め』
「あなたがお姉ちゃんよ」
ジウが、二歳の頃。
母が家にいなくて泣いてしまって。
記憶がまばらだが、父によって連れられて母に会いに行ったら、弟が生まれていた、と。
最期の、「なのにこんな性格になって……」がいい味してます。

3-19『嫉妬』
「少しは僕の気も晴らさないとね」
ジウに近づいて王族の情報を得ようとした男。
セファスに見つかり、拷問を受けることに。
えーっと、まぁ。ご愁傷様と言いますか。やりすぎないようにね……
時々焦土と化している通り道に合掌。

3-20『傷痕』
「普通に、普通に行けばいい……」
ファルサスに来た際に、エウドラが女官から逃げ出して。
ニケがそれを追いかけて……エリクとシスイに出くわして。
苦手意識抱いているのが、うん。不憫だなぁ。

3-21『宣告』
「……お前は怒る意味がない人間ね」
エウドラがシスイに、彼の親について尋ねて。
曰く夫婦喧嘩をしないのか、と。父の性格上喧嘩にはなりませんとのこと。
どんな夫婦が普通なのか、という疑問からのようですが。
シスイは聞きやすい相手でしょうが聞くべき相手ではない、というか。

3-24『奇跡』
「これは凄い。奇跡みたい」
エウドラとジウとシスイが川に出かけて。
怖がりなエウドラが、足に何かが振れた、と錯乱し魔術を発動。
結果として彼女は気絶し、川には魔術の影響で魚が浮いて。
転移陣使えず帰れないからって、気絶した王女の横で魚を焼き始める二人は大物だと思います。

3-27『エンドレス』
「……つまりどういうこと?」
セファスにからかわれるレーンの話。
キスクに5日後に帰るという時期にセファスにぼこぼこにされて……
目が覚めたら女官に「お帰りは5日後ですね」と言われ、混乱する彼が哀れ。

3-35『人形』
「お父さん、何それ」
子供に人形を作って与えていた雫。
しかしある時、もう置き場がないからいらない、と言われて。
裁断してしまった布の再利用方法が、エリクの服でねぶた模様って。
独創性には溢れていると思います。

3-38『音』
「お前の仕業か!」
ニケが幻聴に悩まされて、シスイには同じような症状である日突然倒れた人の話があるとか言われて。
休暇を取った末に、犯人が発覚するんですが。シスイ、何やってんの……
いくらかは休ませるため、だったんでしょうけどね。

3-39『共鳴』
「やれやれ。たまに抜け出して遊んでると面白い奴らが見つかるね」
城を抜け出した先で、違法品を売りさばく連中を見つけて。
その場でちょっかいを出して、追いかけっこするあたり遊び心に溢れてるなセファス。
絶対その場で捕えられただろうに……

3-45『悲鳴』
「引っかかったわね!」
シスイに仕返しをしてやろうと、職人を呼んで。
自室に落とし穴を作らせるとか、手が込んでるというか。
何してるんですが、王女様……

3-46『孤独』
「ああ。面白い」
マーリア視点の、ニケの姿。
少しずつ馴染んでいけばいい、と彼女は思っているようですが。
短い会話の中で、ニケが微笑むような場面もあって。うん、良い夫婦ですね。

3-50『天使』
「何だそれは」「テンシの羽です」
ジウが子供のころ。紙を切った羽をしょっていた少女にニケが出会って。
母の刺繍を見て同じ格好しようとしたみたいですね。かわいい。
頭の輪を落としてしまったというジウに、ニケが輪を作り直して渡してるのは律儀というか。
紙製の輪が魔法で光るガラスに変わってたら驚くでしょう。
まぁ、驚きは「何で蛍光灯!?」って別方向でしたけど。笑った。

3-65『蝶』
「蝶が見たいわ」
蝶が見たいという妹の願いをかなえる為に、兄達はそれぞれ動いて。
性格が現れるなぁ、という感じ。レーンが目的地も定めず、とくに心配されない辺りがうける。

3-81『末裔』
「伝説だね。しかし実在しないとは言われていない」
無言の湖を探すセファスとレーン。
まぁ、普通の手では見つかりませんが、魔術の探知で何かを見つけて。
そこに父がやってきて、セファスにだけ伝承を伝えた。
後にレーンも聞くことになったようですけどね。
まだ、繋がっているんだ、と。嬉しくなります。

4-12『密やかに』
「君はそれでいいのか?」
ジウが結婚してファルサスに住むことになって。
セファスは、不貞腐れているというか。いくらか思うものがあったようですが。
それでも、自由を認めるという彼が好きです。

4-13『闇の中』
「何だこの事態は!?」
何度もやっていると、髪の毛が無くなっていようと、一瞬は受け入れられるんですね……
犯人はシスイだろう、と推測して彼に会いに行って。
心当たりがない様子に、不満が爆発した場面は、つい笑ってしまった。

4-20『反逆』
「実行しなければ何を考えようとも自由だ」
セファスの結婚式に向かう事になって、面倒がるイルジェ。
シスイが理由もなく欠席は不味いといったら、じゃあ攻め込むかと言い出すあたりぶっ飛んでる。
エウドラが即座に止めに入ってましたが、彼女も大変だな……

4-21『夢幻』
「昨日、昔の夢を見た」
子を宿したジウと、たまたま出会ったセファスの会話。
過去とは違う距離感で、変化したこともあって。でも、通じるものもある。
二人の関係が、不思議なくらい綺麗に見える。

4-47『怪談』
「出来るだけげっそりするような話がいい」
体調を崩したニケと、看病するマーリアの話。
なぜか落ち着かなさを覚えたニケが対策として、怖い話をしてくれと言い始めて。
気の利く妻の看病が、いたせりつくせりで慣れない故に落ち着かない。
贅沢な悩みともいえるし、優しさに十分触れてこなかった不憫さが光るともいえる。

4-62『雨』
「やっぱり部屋の中がいいですね」
雨の日、エウドラとシスイの会話。
ある家の令嬢にシスイが付きまとわれていたなんて話も出てましたが、一瞬で終了。
退屈故に絡んでくるエウドラを上手くあしらってる感じがシスイらしくて好き。

4-63『災難』
「味はどうだ?」
またしてもイルジェの独創ケーキの試食をする羽目になったニケ。
食用には堪えないかと零すようなものを混ぜるな……

4-75『絆』
「どうしてああなんだろ」
大人になった四兄弟と、ジウとシスイ。
内2人が王になってもこうやって兄弟仲良く会話してるのは、美しくて良いですね。
レーンの妹好きが病気レベルになってるのは、どうしてこんなになるまで放っておいたんだ、って感じですが。おいおい。

4-83『背中』
「うちは普通じゃないよ」
エウドラが「普通の夫婦とは」と気にしていたから両親を観察しているシスイ。
ジウ、速攻でうちは普通じゃないって返して、シスイもうなずいてる辺り、凄い信頼だな……。
それを踏まえて、普通じゃない要素を抜けば「普通の夫婦」になるのではないか、という論理は凄いな。
なお、結婚した理由は、「熟語がわからなかったから」です。

4-98『こころ』
「どう? 今度はまともな相手でしょう?」
エウドラのお相手候補との青年。
イルジェの命令を受けてシスイが、求婚者を排除する事も多いようですが。
実際今回も襤褸切れみたいにされてましたし。
またなんか裏があったんだろうとは思いますが。エウドラ、頑張れ……

5-8『賭け』
「何をなさっているのですか」
暇だからと言って回廊に陣取り「ここを通る人間の統計を取っている」って王子何してるの。
その話が広まって、誰も近づかなくなってたので信頼できないデータになりましたね……
まぁ、平和で何より。

5-29『一条の光』
「問題がないようならいい。何かあったら言いなさい」
ジウの子を見に来たセファス。
素直に様子を伺いに来たといえない辺りは彼らしいですけど。

5-31『ならず者』
「何か面白いことはないだろうか」
セファスの側にジウが居た頃の話。
面白いことはないか、と言い始めて城の外に行こうとして。
実のところ、ならず者が居るという嘆願が届いていたらしいんですがね。
王子様宛の子供の書いた手紙。それで、動いてくれるあたりは、血かなぁ。

5-43『看病』
「いえ、むしろ結論です。諸悪の根源です」
外に出て、まぁなんやかんやあって風邪をひいたセファス。
看病に、エウドラを呼ぶ辺り、ジウは凄い……

5-52『著名人』
「君は好きにすればいい。これは、僕たちの世代の問題だから」
父は宮廷魔導士で、母も城所属の研究者。
両親の名を、家以外でも見る事があるが、エリクの書いた「言葉」に関するある論文。
シスイはそれに興味を持って、父に話を聞きに行って。
エリクが「書く必要があった」といって。同時に雫に荷を追わせないようにした配慮も見えて。
あぁ、良い研究を遺してくれたな、と胸が温かくなりました。