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「ケイタも、そう言うと思ったんだろうね。彼から、伝言を預かってるんだ」

 

同じ高校で、いつも一緒にいたグループ5人。

部活も、付き合いの長さも違ったけれど、確かに友情を育んでいたのだ。

けれど、メンバーの一人である恵太が死に……4人の前には、彼とうり二つの幽霊が現れる。

彼は、死んだ恵太の最後の願いを、叶えて欲しいという。

 

全てを信じたわけではないけれど、4人は彼が歩いた道のりを辿っていくことに

死んでしまった友が何を考えていたのか。

自分達の事を、どう思っていたのか。

どうしたってそんなことを考えてしまうわけで。

 

5人は確かに良く一緒にいたけれど、相手の事をすべて知っているわけでもない。

それぞれに見えていなかった想いや、抱えていた後悔が表出して。

いやぁ、痛い。死んでしまった友にはもう謝れないし、一度口に出した言葉は戻せない。

 

でもこの道を歩くことが出来たのは、4人にとって救いだと思うんですよね。

だって彼らが抱えていた悩みは、死者である恵太へのもので。本来はもう行き場のないものです。重たすぎる荷物を抱えた状態では、いずれ破たんしてしまっていたでしょう。

それを吐き出すことが出来て、ちょっとほっとしました。そうでなければ、治しようのない傷として残ったでしょうし。

この経験があったからこそ、絆が未来につながったとも思える。苦味を含んだ、良質な青春モノでした。

そして、君のいない九月がくる (メディアワークス文庫)
天沢夏月
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2015-10-24