2010年代終わるし、ちょっと振り返ってオススメ作品をまとめてみました。

シリーズ物は、1巻が2010年以降に発売しているものでピックアップしています。
……この条件だと、『境界線上のホライゾン』(2008年9月スタート)や、『彼女は戦争妖精』(2008年8月スタート)みたいに、2010年代もシリーズが刊行されていた、むしろ巻を重ねて盛り上がっていた作品が外れるんですよねー。
いやしかし、刊行開始そんな前だったのか……

前編となる今回は2010~2014年に刊行された作品から、20個選抜。かなり趣味に走ってます。
いや、大分ざっくりしてますけど、ジャンルごとに分ける余力がなかったのでご容赦ください。
続きは下記。




1、『はたらく魔王さま!』(電撃文庫)、著:和ヶ原聡司
本編だけでも20巻を超えてなお続いている、長生きラノベ。
勇者に討たれそうになった魔王が、落ち延びた先は現代日本で。
最初こそ魔術使って偽装してますが、拠点を設けた後は真面目にバイトしている辺り、人柄が現れてると言いますか。コミカルな部分もあって、楽しい作品。
現代日本で経験を積みながらも、あくまでも魔王として王であろうと振る舞う彼が好きです。最新刊辺りだと、ちょっと食われ気味なので、もっと活躍してほしい所ではありますが。

はたらく魔王さま! (電撃文庫)
和ヶ原 聡司
アスキーメディアワークス
2011-02-10


2、『青春ブタ野郎シリーズ』(電撃文庫)、著:鴨志田一。
アニメ・映画化して好評のようですね。どちらも見れてなくて泣いてるんですが。
「思春期症候群」という、不可思議な現象が起きる、SFテイストを混ぜた傑作青春小説。
咲太が「青春ブタ野郎」と言われるのも納得と言うか、彼のメンタルには毎度驚かされています。
症候群を発症して、問題の中心に居るキャラは毎回変わりますが、咲太が先輩に一途なのも良いですね。

青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない (電撃文庫)
鴨志田 一
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-04-10


3、『月光』(電撃文庫)、著:間宮夏生
全1巻。美人で成績優秀なクラスメイト、月森葉子。
彼女のノートを拾った少年、野々宮はそこに挟まれた『殺しのレシピ』と言う不穏なメモを見つけて……そこから探り合うような、不思議な交流が始まる。
恋愛とミステリーを混ぜたラノベ。ただ、ミステリーを期待して読むと、首をかしげる部分もあるかなぁ。あくまでスパイス程度に考えるといいかも。
ひねくれたキャラが好きなんですよ。だから野々宮と月森の会話が、楽しくて楽しくて。今もたまに読み返してますね。

月光 (電撃文庫)
間宮 夏生
アスキーメディアワークス
2010-09-10


4、『ビブリア古書堂の事件手帖』(メディアワークス文庫)、著:三上延
本が読めない体質の大輔と、本が大好きな栞子さんの古書を巡る物語。
栞子さんの知識が凄くて、あれだけ色々知ってると、本もまた違った楽しみ方が出来るんだろうなぁ、と思います。
本に纏わる秘密を解き明かしていく中で、二人の仲が深まっていくのも良い感じ。
苦いエピソードもままありますが、落ち着いた空気も感じる、素敵な作品です。



5、『お茶が運ばれてくるまでに』(メディアワークス文庫)、著:時雨沢恵一
『キノの旅』のコンビで送る、素敵な絵本です。
……いや、あらすじに絵本って書いてあるんですって。
皮肉が聞いてる話や、優しい話。短くまとめられた、いくつもの物語を読むと、少し心が温まります。
収録作品だと「やりたいこと」や「りゆう」が好きですねー。
この後『夜が運ばれてくるまでに』、『答えが運ばれてくるまでに』と刊行されて、それぞれに違う味わいがあります。



6、『東雲侑子シリーズ』(ファミ通文庫)、著:森橋ビンゴ
図書委員を務める英太は、ある時同じ図書委員の東雲侑子の秘密を知って。
そこから距離を縮めて、不器用に交流していく話です。
もどかしくて、時に甘く時に苦い、良質な恋の話。
この後『東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる』→『東雲侑子は全ての小説をあいしつづける』と続きます。ナンバリングがないシリーズものなので、読み始めには注意。
全3巻ですが、1巻の完成度が高いと思っているので、お試しに是非。



7、『ココロコネクトシリーズ』(ファミ通文庫)、著:庵田定夏
弱小部活の文化研究会。そこに所属する5人は、趣味嗜好は異なれど、ワイワイ楽しく過ごしていた。けれど、ある時。自分と誰かの人格が入れ替わる、謎の現象に巻き込まれて。
2巻目のカコランダムでは、子供の姿になりますし、それからも色々な現象に振り回される日々が続きます。
その中で、すれ違ったり喧嘩したりもしますし、逆に距離が縮まったりもする。
異常な日常の中で絆を育んでいく、不思議要素を織り込んだ青春モノ。

ココロコネクト ヒトランダム (ファミ通文庫)
庵田 定夏
エンターブレイン
2010-01-30


8、『ヒカルが地球にいたころシリーズ』(ファミ通文庫)、著:野村美月
死んだはずの学園の皇子、ヒカル。
ただ一人その幽霊を見る事が出来た是光は、「心残りがある」という彼に協力することとなって。
誰かの為に奔走できる是光が、本当に良い奴なんですよね。
ヒカルと本当に友人になって、交流が出来ていたらどれほどよかっただろう。
けれど、ヒカルはもう死んでいて。別れが約束されている。
だから、美しくすらあるんですが、やっぱり悲しい。
欠けたモノは戻らない。でも継いで、可能な範囲での最善を求める事は出来る、そんなお話。



9、『スカイ・ワールド』(富士見ファンタジア文庫)、著:瀬尾つかさ
ゲーム世界に召喚されて、帰還の術を探す、一時流行った型のラノベ。
デスゲームじゃなく、ペナルティはあるものの死亡後の復活があって、クエストをやりながら先へ進んでいく。この手の作品では、結構ゲーム要素が強めな印象。
主人公が目的を持って、後からこの世界に入ったとか、最後の選択とか。王道でありつつちょっと外した要素も織り込んでる、軽快な作品。

スカイ・ワールド (富士見ファンタジア文庫)
瀬尾 つかさ
KADOKAWA/富士見書房
2012-04-20


10、『東京レイヴンズ』(富士見ファンタジア文庫)、著:あざの耕平
代異能モノ。霊的災害に対応するため、陰陽師の存在が周知された世界。
土御門家という、陰陽師の名門に生まれながら才能がないと、距離を取った少年春虎と、次期当主である幼なじみの少女夏目の交流の話。
そして、今に繋がる過去の話でもあるんですよね。
かつての土御門家の天才当主、夜光。彼の遺した様々な縁や業が、今の時代に集約している。
刊行ペースが落ちてるのがちょっと残念ではあるのですが、春虎たち以外にも魅力的なキャラが多く、群像劇としても楽しい。



11、『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』(富士見ファンタジア文庫)、著:羊太郎
ニートをしていたグレンが、魔術学校の臨時講師として雇われて。
最初はかなり好き勝手やってましたが、生徒たちと触れ合い、影響を受けて。
初めて真面目に授業を行ったシーンがやっぱり気に入ってます。途中からかいを入れる辺り、性根を入れ替えたわけでもないのがいい塩梅。その後も自業自得な失敗したりしてますし、ロクでなし……
でも、教師としてはかなり真摯で、生徒たちの成長が見られるのは嬉しいです。
一方で、裏で動き事件を起こしてる結社絡みのネタが引っ張られ続けてるのが、ちょい惜しいと言いますか。いつもあと一歩及ばない感じなので、そろそろ相手に痛い目見せて欲しい。



12、『ノーゲーム・ノーライフ』(MF文庫J)、榎宮祐
最強ゲーマーの兄妹が、遊戯によってすべてが決まる異世界に召喚されて。
かなり追い込まれていた人類種の王になって、快進撃を続ける話……と書くと嘘じゃないけど騙してる感がすごい。
実際、最強の看板に偽りは無く、特殊能力を持つ他種族相手に一歩も引かず戦い抜くゲーマーではあるんですよ。ただ、絶対の信頼を置けるかと言うとまた違う問題で。騒動を招き入れた上で、火に油を注ぐタイプだからなぁ。
ただ、ゲームの規模が大きくなる中で、それでも解法を見つけて最終的に勝ちに行ける様子は見ていて楽しいです。振り回されるステフは大変そうですけどね。ファイト。



13、『問題児たちが異世界から来るそうですよ?』(角川スニーカー文庫)、著:竜ノ湖太郎
箱庭と言う修羅神仏達による、多様なゲームが行われる世界。
そこに招かれた問題児たち3人が巻き起こす騒動のお話です。
彼らの持つ才能は、磨けば光る原石の状態で。箱庭には、格上がわんさか居るという広さが素敵。
ゲームルールとかも逸話に纏わるもので、答え合わせが楽しいんですよ。すっ飛ばされるのもありますけど。星海龍王のゲームとか正答が知りたい……
……いや、謎解きは知識不足で無理です。箱庭行ったらカモられて終わるな私。





14、『飛べない蝶と空の鯱』(ガガガ文庫)、著:手島史詞
この作品、本当に好きなんですよね。
空に浮かぶ島、海の如く広がる霧とそこに住まう魔物。
封書と言う特殊な手紙を届ける為に命を懸ける、郵便屋の2人が主人公。
空の果てを目指すために、二人で補い合って飛ぶ姿が、最初の頃はハラハラするんですが、段々と様になっていって、バディとして完成されていくのが楽しい。



15、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(ガガガ文庫)、著:渡航
14巻を持って本編完結となったシリーズ。
端的に言うと、遠まわりしまくった面倒な青春ものでした。
元より青春なんて、形の無いもので人によって最適解が違うものですけどね。
歪な状態でつながって、正しいばかりではなく、それでも本物を探し続けた。
ひねくれた八幡たちの終着点が、彼らなりの「青春」が眩しくて愛おしい。



16、『生徒会探偵キリカ』(講談社ラノベ文庫)、著:杉井光
先日、シリーズ7巻目となる『生徒会探偵キリカS1』が刊行されましたね。
いやまさか令和になって新刊読めるとは思ってなかった。
生徒会で会計を務める少女キリカのもう一つの顔。生徒会探偵としての謎解きを混ぜ込んだ学園モノ。
体育祭が結構熱くて好きですねー。あとはひかげがハッタリで乗り切る所とか。
杉井作品に多い、追い込まれると真価を発揮する男子と、彼の傍にいる頭脳明晰で変り者な面をもつ少女の話。生徒会長のキャラが強くて、時に食われてますけどね……



17、『薬屋のひとりごと』(ヒーロー文庫)、著:日向夏
小説家になろうからの書籍化作品。
中華風世界で、後宮に売られた少女、猫猫が周囲で起こる異変を解決したり、しなかったりするミステリ風味の作品です。
猫猫は、薬師としての知見もあり、それを活用して周囲に利を与えてますが……本人、毒が好きで、自分の体で試したりしててマッドな部分もあるんですよね。
優先順位がハッキリしている、かなり強かな娘でもあるので見ていて楽しい。



18、『ダブルクロスThe 3rd Edition リプレイ・メビウス』(富士見ドラゴンブック)、著:中村やにお
ラノベにリプレイは含まれるのか問題。まぁ、面白ければいいんじゃないですかね。このラノでも、ジャンル別紹介のページに「リプレイ」入ってますし。
「ダブルクロス」と言うTRPGを遊んでる場面を、物語としてまとめたのがリプレイです。
私が初めて遊んだシステムがダブルクロスで、そう言った意味でも思い入れが深いのですが。最近公式から供給がないのは残念です。
このメビウスシリーズは、ある学院で起きている事件を解決するために、エージェントが派遣される話ですが……キャラクターたちはそれぞれに秘密を抱えていると言うアレンジが加味されてて、それが明かされる場面が熱かったり、驚かされたり、盛り上がるアクセントになってて好きです。



19、『ソード・ワールド2.0リプレイ 戦慄のトリプルクラウン』(ドラゴンブック)、著:北沢慶
こちらもリプレイ。システムがソード・ワールドのものですね。
ただ通常は、GM1人・プレイヤー数名単位でセッションをして、リプレイ化するのですが。
この作品はリレーセッション形式で、参加者の中でGMが持ち回り。さらには、それぞれが出したお題をランダムに引いて三題噺要素まで入れてる変則リプレイ。
お題2つを先に弾いてGMがシナリオを作って来て、最後の1つを開始直前に引くという鬼仕様。
それぞれのGMの悲喜交々な感じが笑えますし、それでいて物語がちゃんと進行していくのが凄い。
上下巻で完結してて読みやすいのもグッド。






20、『RPFレッドドラゴン』(星海社FICTIONS)、著:三田誠
これも、ある意味ではリプレイみたいなものですが……もっと贅沢な感じですね。
この物語を紡ぐためだけの専用ルールを作成して紡がれた、お祭り企画みたいなものですし。
プレイヤーとして参加されたのも豪華な作家さん達で、キャラごとの個性が強い。
ニル・カムイという島で、守護神のような存在であった竜が暴走した。
政治的な思惑も重なり、三国合同の調査隊が派遣されることになり……島に吹き荒れる嵐のお話です。
途中から暗殺者さんがとても生き生きしてて、笑い事じゃない被害も出てるんですが笑ってしまう。