という事で後編です。
2015~2019年刊行の作品から20個選出。
リスト見直してて思ったんですが、積読崩したりもしてたので、余り新作読めてないですねー。
最近また積読増えてるので消化していきたい。

続きは下記。



1、『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求~愛弟子サヨナのわくわく冒険ランド~』(電撃文庫)、著:有象利路

BESTの初手がコレで良いのか疑惑。
いや、近年まれにみる傑作ギャグではあるんですよ。
メタ・エロ全開、ブレーキなんてない感じで人を選ぶ作品ではありますけど!
公式の試し読みとかカクヨムにも番外編会ったと思うので、その辺りで雰囲気掴んでから読むといいと思います。



2、『86-エイティシックス-』(電撃文庫)、著:安里アサト
今年に入って読んだシリーズ1弾。言い訳しますと、買ってはいたんですよ。積読の山に飲み込まれていただけで。
で、ちょいと時間が出来たので読んでみたら、夢中になった。特に1巻の完成度が高くて、まずは手に取って欲しい感じ。
帝国が付くった自立兵器によって追い込まれた人類。共和国は、それに対抗すべく同様の兵器を作って戦っていた。
……しかし、技術力に劣る彼らは、人種で線を引き、居ない者とした人々を乗せた「有人の」無人機と言う悪魔の様な手を取って……それでも、そんな世界でも戦い抜いた者が確かにいた、とそんな話。



3、『七つの魔剣が支配する』(電撃文庫)、著:宇野朴人
このラノ2020で、総合1位を取った名作。
ハリー・ポッターのような、魔法学校を舞台にしたラノベです。
ただ、舞台となるキンバリーという学校は、卒業時生存率が8割だったり、魔道を探求する余り呑まれて狂う生徒もいる始末。
そんな恐ろしい魔窟に踏み込んだ、新入生6人を中心として、同級生や先輩たちと清濁併せた影響を時に受け取り、時に与えながら学んでいく話。また、別の顔も持っているのですが、それはネタバレになるので自重しましょうか。



4、『つるぎのかなた』(電撃文庫)、著:渋谷瑞也
剣道×ラノベ。学生時代は柔道履修したので、剣道なんてルールもさっぱりですが。
本気で打ち込んでいる彼ら、彼女らの姿は熱く、雰囲気でも結構楽しめます。
捨てたはずの過去が再び前に現れた時に「呪われているから捨てられない」的なこと言ったり、魔王とか言って嫌われ者になろうとする人が居たり。
なんというか、作中のキャラみんなノリがいいというか、ゲーム好きなんだろうなぁみたいな空気が実にラノベ的。ちなみに吹雪派です。悠は一度刺されろ……あー剣道星人で喜んじゃうからダメか。

つるぎのかなた (電撃文庫)
渋谷 瑞也
KADOKAWA
2019-02-09


5、『数字で救う! 弱小国家』(電撃文庫)、著:長田信織
今年に入って読んだシリーズ2弾。
数学フリークのナオキが、ひょんなことから異世界に迷い込んで。
弱小国家の姫であるソアラと出会い……彼女と数学と通じてつながった。
そして数学理論を用いて交渉を、戦争をしていく話です。
ただ、二人とも数学特化過ぎて対人能力が低いので、そこで揉め事が生じたりするんですよねぇ。
2巻で理解者を得たのは幸いでした。個人的には3巻以降で面白さのレベルが上がった印象。



6、『Unnamed Memory』(電撃の新文芸)、著:古宮九時
コレを入れないわけがないんだよなぁ……
呪いを受けた王太子オスカーと、最強と謳われる魔女ティナーシャの交流の話です。
子が作れない呪い。それをかけた魔女の行方は知れず、所在が知れていた別の魔女の下に乗り込んだ。
塔に住まう魔女は「試練を超えたものの願いを叶える」と言われてるとはいえ、無茶をした……
と普通なら思うんですが。オスカー、塔に挑戦した時点でも最強クラスの剣士で、ほぼ一人で試練超えてしまいますからね……2人のスペックが高いので、安心してみていられます。






7、『異修羅』(電撃の新文芸)、著:珪素
カクヨム・小説家になろうに掲載の書籍化作品。
世界を荒廃させた魔王が死んだが……魔王を倒した勇者は誰か、分からない。
政治的な思惑も絡み、「勇者」を決めるためのトーナメントが開催される事になり……
数多の修羅が一同に会し、熱い戦いを繰り広げる事になるお話です。
書籍化にあたって、10万字を超える加筆修正が加わり、かなり別物になってますが、破綻させずに面白さを増してるのが凄まじい。そして、トーナメントにエントリーしようとする猛者、「修羅」たちの格がそれぞれに引けを取らず、勝敗が読めないのも良いですね。続きが楽しみなシリーズ。



8、『EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト』(電撃の新文芸)、著:川上稔
川上御大の新作。ついに描かれる神代、EDGEシリーズです。
チャットノベルと言う形式で、アイコンの下に台詞がついてる形。
なので一文が短めということもあって、本分2段組み。説明パートとか、キャラが愛とか信仰を語る場面は長かったりしますけど。文章量の割にはスルスル読めますね。
僕が底抜けに明るく、先輩に必要な言葉をしっかり届けられるキャラなのが良いですねー。



9、『滅びゆく世界と、間違えた彼女の救いかた』(ノベルゼロ)著:川上稔
『死にゆく騎士と、ただしい世界のこわしかた』と同時刊行された、命数世界シリーズ。
そのエピソード0が、こちらです。タイトル通り、世界は滅びつつあって。
それを回避するために神子は、「十の天命」という試練を達成しようとしていた。
幼なじみのラミとエイネは、騎士と神子として、その天命を果たすべく旅に出て……死別する事となる。ネタバレではあるんですが……割と冒頭で明かされるし、なんならアマゾンとかの内容紹介にも「最愛の少女を喪い」って書かれてますからね……
喪失が約束されている旅。そうと分かっていても、エイネとラミの関係は魅力的で、楽しく……それだけに、死が、悲しくて惜しい。文句抜きで面白い作品です。



10、『ミリオン・クラウン』(角川スニーカー文庫)、著:竜ノ湖太郎
人類退廃の時代を生き抜く人々の話。
王冠種という強大な力を持った存在に、生存圏を削られながらも戦い続けている彼らが凄い。
そんな時代に当っても希望はあるのだ、と極東に置いて赤服をまとう人々の覚悟が好き。
人類最強戦力『ミリオン・クラウン』の戦いぶりも、見ものです。
身一つ刀一本で状況を打開する一真の活躍も楽しいですけど、まだまだ真価を発揮できていない感じがしますし、今後に期待。



11、『なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか』(MF文庫J)、著:細音啓
かつて五種族を巻き込んだ大戦があり、人類が四種族を封じることで終結した。
封印を監視する任務こそあれど、平和な世界。
主人公のカイは、そんな時代を生きていた。けれどある日突然、世界が上書きされて。
人類を率いた英雄が現れず、大戦の中人類が追いやられた世界。自分の事を知らぬ幼なじみ達の姿に戸惑い……最終的には手を貸して。
世界の謎を探り、よりよい未来を目指す話です。



12、『放課後は、異世界喫茶でコーヒーを』(富士見ファンタジア文庫)、著:風見鶏
全6巻で完結。気がついたら異世界にいた青年ユウ。
迷宮がもたらす様々な物資で活気のある街で、彼は縁があって手に入れた店舗で、喫茶店を始めた。
店舗を構えたところからスタートして、お客さんに料理を振る舞う彼が楽しそうで何より。
でも、異世界に1人放り出されて不安じゃないわけないんですよね。その辺りの想いもしっかり書いてくれてて、最終巻でも選択を描いてくれたので信頼できます。
基本的には、喫茶店に来たお客さんとの交流を描くほのぼのファンタジーです。



13、『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』(HJ文庫)、著:手島史詞
手島先生の新作! 結構多作な方ですよね。
全部読めてるわけではないですが、当たりが多くて好きな作家さんです。
タイトルに全部こもってる系統の作品。ただ、1巻スタート時点では魔王候補でしかなく、途中で魔王になるんですよね。これまで1人で研究漬けだったザガンが、エルフの少女に一目惚れして、不器用な交流をしていく様子は微笑ましいです。
ただ、魔王としての顔も持っていて、時に容赦なく振る舞い、時に王として余裕を見せる。巻を追うごとに頼もしさが増してって、安心して読めます。



14、『インフィニット・デンドログラム』(HJ文庫)、著:海道左近
小説家になろう書籍化作品。アニメ化も決定してますね。
ゲーム内が3倍時間だったり、NPCと思えないほど人間味のあるキャラが居たり。
現代の技術を超越してるとした思えない作り込みで人気の、VRMMOゲームを舞台とした作品。
受験のため手を出すのが遅れた主人公レイが、この世界で戦っていく話。
実際のところただのゲームではなさそうで、管理AI側の思惑も謎が多いです。
あとはレイが初心者という事もあって、場面によってはレベルが上の兄などが活躍する場面も。
魅力的なキャラが多く、番外編も楽しいです。





15、『うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。』(HJノベルス)、著:CHIROLU
腕利きの冒険者であるデイルが、森で保護した少女ラティナ。
娘が可愛すぎてデイルは、親バカ極まってます。
保護者と被保護者という関係で、お互いを大切に思っている二人の関係の変化が、見ていて和む。
基本的には微笑ましい家族モノですが、途中デイルが魔王と戦うシリアスなパートもあります。



16、『天才王子の赤字国家再生術』(GA文庫)、著:鳥羽徹
金も人も資源も無い、弱小国家の王太子ウェイン。
周辺国家の情勢を鑑み、近隣の大国に身売りをしようと目論んでいて。
自分の目標に向かうために手は惜しんでないんですよね。ちゃんと交渉の際も、情報収集してから望んでますし。色々と備えるための手は打っている。
けれど彼の計算は、いつも予想外のトラブルで修正を余儀なくされて。「どうしてこうなった」と叫びながら、収拾してしまうから、評判もうなぎ登り。いやぁ、楽隠居の道は遠いね。
なんだかんだ言いつつ、彼自身にも秘めたる目標がありそうですし、それが明かされる日を待ちたい。



17、『りゅうおうのおしごと!』(GA文庫)、著:白鳥士郎
今年入ってから読んだシリーズ3弾。名前は当然知ってましたが、手をだしそびれてた。
最新11巻の評判が、あちこちのアンケートやブログで良くて、気になって買ってみたらハマりました。
将棋×ラノベ。小学生女子の弟子をとったことで、ロリコン呼ばわりされて、あちこちでネタにされてる部分はくどいかなぁ、とちょっと苦手な感じもあるんですが。
棋士として、将棋にはどこまでも真剣で、熱い戦いが繰り広げられてて引き込まれた。
11巻、それまでの積み重ねがついに集約した、傑作なので是非機会があれば。

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)
白鳥 士郎
SBクリエイティブ
2015-09-12





18 、『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~』(TOブックス)、著:香月美矢
小説家になろうの書籍化作品。
現代日本で本が好きで司書資格まで取った女性が死んで、異世界に転生した。
しかし、その体は余りにも病弱で。さらには、彼女が望んで止まない「本」が貴重で、貴族でもないと手に入らない。
家族や友人など多くの縁に恵まれ、彼女は諦めず本を創ろうと、行動を続ける。
もう好きな事に対して一直線に突き進んでいく様が楽しいです。作中の世界観も作り込まれていて、書籍化にあたって書き下ろしされる短編などで、どんどん広がっていくので、追っていて飽きない。



19 、『ジャナ研の憂鬱な事件簿』(ガガガ文庫)、著:酒井田寛太郎
高校生の主人公が、相談されたり遭遇したりして、トラブルの謎解きをする、ミステリー要素が強いラノベ。
ただ、「憂鬱な」とタイトルに入っている通り、ビターな結末が多いですかね。
こういうのを出せるのが、ガガガ文庫だよなぁ、という感じで。5巻まで続いてくれたのは正直嬉しかったです。



20、『ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ 春日恭二の事件簿』
前編でリプレイ入れたし、後編にも入れたかった。
という理由がないとは言いませんが、単巻で完結してる良質のリプレイなのは間違いないです。
人気のある敵キャラ、春日恭二をPCに据えた、FH中心の物語が紡がれます。
まぁ1話では、倦んだ春日がFHを出奔してラーメン屋の店員してるんですけどね!
クライマックスに向かう場面が、痺れるくらいに格好いんですよ。
2話はシリアスありつつ、コミカルな要素が強まった感じ。
『リプレイ・メビウス』でも登場した墓守が参加していたのも楽しかったですねー。