「……今度は、必ずや」
C97(2019冬コミ)頒布の新刊。陰の新刊だそうです。
こちらがあまりに暗いので、『死骸の森』も執筆されたとか。読み終えてみて、なるほど確かに重かった……と衝撃を受けましたね。
序盤で「え?」ってなって、中盤辛くて、終盤で泣いた。
以前同人誌で刊行されていた『灰の見る夢』の、後日譚となるエピソードです。
はオスカーとティナーシャの出会いが違っていたら、というIFの1つで。
UM絡みのIFは、同じ結末を辿るとは知っていましたが。それにしたって。
今回の感想記事はネタバレ多めになったので、ここから下はご了承の上ご覧ください。
どうして、あの幸福な試行が、こんな終わりに辿り着いてしまったんだ……
『死骸の森』で謎解きを二人がサクッと解決して、この二人なら大抵の事は大丈夫だろ~って思ってたら、序盤の内から崖から落とされた気分。
いや確かに、「青き月の魔女」ではなく「魔法士ティナーシャ」として出会った事で、オスカーの強化がAct.1とかより少ないというのはありました。
結婚して、幸せの絶頂かと思ったところでオスカーが死ぬと言うのは、余りにも辛すぎる……
そりゃあアレだけの傑物ですから、影を落としますよ。四百年を受け止めてくれる相手を、失った魔女なんて、特に。
あぁ、でもそうですよね。彼の死に衝撃を受けるのは、決して魔女だけではない。それは、ありえない。彼の傍に在り続けたラザルだって、影響はある。
それは、あの宝珠を動かすに足る純粋さで……けれど、届かなかったのだ。王の死は覆せた。けれど、彼が望んだように、全てを丸く収める形にはならなかった。
天秤が均衡を保つように、1人を救ったならば、1人が死ぬ。私心無く、あくまで王といつかの王妃の為に行動した。その果ての無慈悲な結末が、悲しくて仕方がない。