藤村由紀/古宮九時先生のサイト、「no-seen flower」掲載の百題、感想書いていなかったシリーズのまとめです。
-world memoriae-シリーズの『Doxa(仮)』、その他シリーズの『Iris』、『黄昏歌』、『陸空猫』、『曲空虚空』、『空想の魔女』の分を収録してます。
いつも通りネタバレありなので、閲覧の際はお気をつけください。
作品別。表記は
【100題の番号-100題内の番号『タイトル』】
例:100題1の1.洗脳の場合は1-1『洗脳』。

◇-world memoriae-シリーズ『Doxa(仮)』

1-30『虚偽』
「おーい、何言っちゃってんの、脳内暴風雨女」
四大国の1つガンドナの魔法士たちの話。『Babel』と同年代ですね。
とある縁組について話していますが……冗談みたいなノリで国を亡ぼそうとするのやめよう?

2-72『抱え込んだ首』
「殿下の影武者を作ってみようと思っております」
「それ殿下なのか!?」
魔法士変り者ばっかりかよ……と言いたくなる。
魔法具技師としては優秀ながら、造形が駄目すぎるサイラと性能面を評価するゼノ。
デコボコながら言いコンビなのでは。

4-15『人形』
「殿下人形です。小型化してみました」
無駄にハイスペックな小型化殿下人形。
一時間ごとに喋る、毎日の運勢が占えるなどなど、搭載するもの間違ってるだろ。
ゼノは機能を活かせないか悩み、イレーヌは気に入って持ち帰って目覚まし代わりにしてるとか。え、どこ気に入ったの。

◇その他シリーズ
Iris 1-28『受信』
「散らしてない。応援してる。知ってるだろ」
大学構内での、友人との他愛ないやりとり。
受験生の妹からメールが来た伸一と、彼に絡む要の話。
ああ言えばこう言う二人のやり取りは見てて楽しい。

黄昏歌 5-10『類い稀なる天才』
語り部が語りを生み、記録師が記録する。
呪文を生み出すためだという旅を、続けるエリノアとエンド。
彼らの旅と旅の合間のひと時。
エンドが、ある感情の元エリノアに添っている下りが印象的でした。

陸空猫 5-51『大脱出』
「あーあ、知らないからね」
脱走しまくったせいで、窓にガムテープを張られたソラ。
それでも脱出を諦めず、逃げ道を探しまくる辺りはタフですね。
反省の色が無いともいう。
何度もお説教喰らっているんだから学習しなさいな……

陸空猫 5-55『この世のものではないもの』
「わたしが寝れないのに、お前が寝るのはおかしい!」
テレビを見るのが好きな、リクとソラの飼い主ヨーコ。
ソラも結構影響を受けているようですが……今回見ていたものは怖いもので。
寝つきが悪くてリクにあたるソラは本当に気ままですね……
家に入り込んだコウモリに怯えてる辺りは可愛い。いやまぁ、アニメの影響ですわ吸血鬼かと慌てて戦おうとしてましたけど。そこで逃げずに飼い主の為に戦おうとする辺り、かなり懐いてるんだよなぁ。
なぜ毎度脱出しようとするのか。ソラだからかな……

曲空 4-92『楽土』
「約束を忘れないでください」
ゲーム後の虚都でのシェラ達の会話。
プロジェクトの解体と移設でドタバタしていた一か月が終わろうとしている数日。
アキラが不用意な発言をして、シェラを泣かせて罪悪感を抱く話。
始まりが、第八都市だったこともあって、虚都での距離を測りかねているようにも感じた。
二人の立ち位置が微妙に違う事の折り合いがついてない感じ。

曲空 5-12『剣を取りいざ』
「そうかもな。ま、またこうしてシェラとゲーム出来て嬉しいよ」
十二あった都市。分割された内の1つが、フルダイブ型ネットゲームの舞台となって。
管理者のコネで正体を受けて、アキラとシェラがゲームに参加する話。
形は変わっても二人でゲームする姿は、見ているコチラも楽しくなりますね。
ただアキラ。楽しそうだからって、招待客がランカー目指そうとしたり、PKやろうとするのはやめよう。シェラも大変そうだなぁ。

曲空 5-50『空が降る』
「俺とシェラの、だろ。シェラが来たら使うからいいんだよ」
研究所内で、相変わらずジオラマを作っているアキラ。
しかも特注品とあって、シェラも「すごいですね」と言うほど。……呆れの色が強そうですけどね?
第八都市の「アキラ」が、例のゲームの報酬に手を付けていない理由が、良かったですね。あの出会いは決して無駄ではなかったし、なくなったりはしないと示してくれたのが、特に。
ちょっと格好良かったですけど、もはや存在しない十二都市のジオラマの精巧さでオチつけるんだもんなぁ。いいぞシェラもっと説教してやれー。

曲空 5-62『孤高の賢人』
「外に出るぞ、たまには」
「オリジン」の管理者兼調整者として、研究室に詰めているシェラ。
発表会の招待状が来ているのをアキラが見つけたものの……「既に知っているから」と足を運ぶつもりはないとかで。
流石の才能とか言えばいいですかね。大抵の事が出来てしまうのと、あまり人にオリジンを触らせたがらないとかで、負担が増えてそうなのは心配。
だから、彼女の傍にいて、バランスを取ろうと思えるアキラが居るのは、救いなんじゃないかな。

曲空 5-81『創始者』
「終わったよ」
ある目的の為に運営されている、ただ一つの都市「オリジン」。
人生の終わりを、自由に過ごせる場所で過ごしたいと願った人の、最期。
もうすぐ亡くなる人にも、居場所は必要だと願ってくれる二人が管理者で良かったな、と思えます。

曲空 5-97『最後の日』
「行きましょう、私たちの空塔に。―――― この十二都市の終わりを見に」
第八都市を訪れたシェラ。彼女は「アキラ」の前に現れ、彼を連れ出した。
あのゲームの結末を、これから都市になにが起こるかを伝える為に。
システムアップデートにより、十二あった都市は分割される、最後の日。
空塔で、二人は夜景を見た。守ったとシェラが口にしてくれたのには、ほっとしたし……最後の一文が、結構好きです。「始まりの街は人知れず、最後の日に誕生したのだ」。
これは最後の日の話。けれど、終わりから始めることだってできるのだ、とそんな証明が愛おしい。

空魔 5-73『華美なる』
「宗平、宗平! ちょっと見てくれ!」
ショーウィンドウに並ぶドレスに心惹かれるフィリア。
しかし、学生の手に届くような額ではなく……敏い彼女はその気配を察して、そこを離れた。
ただ気になっていたのは間違いなく。帰宅後、自分の力で衣装を再現する辺り、芸達者ですね。代償があったのは残念ですが、さぞ綺麗だったことでしょう。