長文になったので分割。
今回は『Unnamed Memory』(消滅史)から、『Fal-reisia』、『Babel』まで。いや、感想書いてるのが楽しくなってきましてね。これ四分割くらい行きそうな勢いですね? 例によってネタバレ注意ですー。
◇Unnamed
Memory(消滅史)
・解呪
「ご心配なく。私、貴方のお役に立つために来ましたから」
Act.2時空。オスカーがティナーシャに解呪の方法について話を聞いて。
四百年の研鑽がない彼女は、正解を知っているが故に解呪できる。けれど、そうでなかったら十年くらいはかかったかもと言う辺り、色々と凄い。魔女時代は半年で解いたんですよとか。経験なくても十年あれば解けるのか、とか。スペック高いなぁ……
・Memoriae―Rave de cendrillon―(灰の見る夢)
「お前も可愛いぞ」
灰夢時空での祝祭。オスカーとティナーシャが一緒に出歩いていて。
ティナーシャが子供みたいに純粋に祭りを楽しんでいて、あぁ、幸せだなぁって思いました。……なお零れた灰は考えないものとする。
・書簡「ラヴィニアへ」(灰の見る夢)
私は己の終わりを、そのように決めました。
・奇跡のような嘘を貴方と 番外
「悪いことするから駄目ですよ」
奇跡時空。まだオスカーとティナーシャが、一介の冒険者と魔法士と思っていた頃の話。
城へもたらされた陳情。怪しい宗教に心を囚われ、自発的に人が居なくなる事件。それの解決に乗り出す話ですが。案の定ティナーシャが自分を囮にするんだからもう。もっと自分大事にして。証拠得られたとはいえ、無茶するなぁ……
◇Fal-reisia
・Before
End
「すごく楽しみ……ありがとう」
ユディトを確保したあとのレヴィの話。彼は、軍部の歪みを清算するために、色々と下準備をしていて。二人は全てが終わった後の自由について話をする。立場と知識と力があるから、語らった未来へたどり着けないと思いながら、口にしない。二人の在り方が美しくも寂しい。
◇Babel
・不思議の国の雫
「嫌な仮定が来ましたね!」
異世界に来る物語があったんですよ、と雫がエリクに話をして。そこから話がどんどん広がって行くのが相変わらずのコンビだなぁ、と言うか。不思議の国のアリスよりは、胡蝶の夢方面で広がって行く辺りが流石エリク……
・できないこと。
「……すごく、近寄りたくないですね」
いつも通りの王様と雫の交流の話。子どもがやる、籠に木の実を投げ入れるゲーム。熱が入って互いにぶつけ合う展開になったとか。どっちも全力過ぎるんだよなぁ。王様の性格について雫がズケズケいって、ぽろっと他国の情報が洩れて。雫、言霊って知ってるかい……?
・妖姫
「でも姫はきっと……自分のために、なんだと思う」
どれだけ近寄りたくないと雫が思っていても、向こうから近寄ってきたら避けられないんですよねぇ。オルティアの下で働いてるときの雫の話。力不足を実感していようと、退けない状況であれば決して譲らない。雫、メンタル強いですよね……
・異世界にて旅人を
「……旅が終わっても、君が帰還を諦めないなら、近くに住もうかな」
ファルサスを目指してエリクと旅をしていた頃のエピソード。長旅をしたことがなかったという雫が、馬に乗って移動し野営の準備してるんだから不思議ものです。もし旅が空振りに終わったら。近くに住もうかな、と言ってくれるエリクと出会えたのはこの上なくラッキーだったのではないかと。だって、諦めないならそれでも助力してくれるって事でしょう?
・魔法の話
「あと君は、割と努力に加減がないから、そのあたりも気をつけよう」
旅の道中で、魔法が使えない雫にエリクが色々と魔法について語る話。最終的に、モノを言うのは体力だという結論になるあたり凄い。実際に数か月後、貧弱不憫魔法士のニケに体力馬鹿って言われているのには笑った。
・クリスマス
「してませんでした。雰囲気だけ借りて味わってました」
コチラの世界では誰にも通じない、異国の祭事。それを知るのは雫のみで、かつては家族と一緒にごちそうを味わった。気分だけでもと、手の込んだ料理を作っている辺りは凄い。電化製品も無い中で色々やってますよね…美味しい料理を食べました、で終わらずに王様へのネタも用意している辺り徹底的で、ここまで行けば尊敬する。
・おまけ
「エリク、私たちの話、本になるらしいですよ」
メタい。この話を振られて、「そうなんだ。ところでそこの本取って」と返答できるのがエリクなんですよね…
・雪実験
「――話は聞いたぞ」「帰ってください、王様」
結婚後の話。エリクが冷所実験用の魔法陣を描きたくて、その為に雨を雪にする魔法の構成図描きだす辺り、迂遠と言うか。ファルサスかなり温暖っぽいから、中々悩ましい所ではあるんでしょうけど。ところでその「精霊魔法由来の雨を雪にする魔法」すごく覚えがあるなぁ…
話を漏れ聞いて乗り気になってる王様も王様だし、彼相手の対応に容赦ない雫も雫だ。あの二人のノリは楽しいですよね、見ている分には。時に城に務める他の人々にまで影響が波及するのが困りものですが。……範囲広がるのは、大体王様が悪いな?
・ヴィヴィア・バベルと起きない黒猫
「あのー、起きてください……」
「屍人姫」の調査している時のエピソードですかね。王様が持ってきた厄介な案件を、たまたま来ていた逸脱者の女の助力を得ながら雫が調査する話。タイトルにある通り、起きない黒猫に苦慮している姿に笑いました。おつかれ。
・退屈しのぎ
「それなら、御用がおありの時にお呼びください」
オルティアの下に居た頃の話。迷惑かけられているからニケも道連れにしようとするあたり、本当に雫は強かですよね。彼女の肝の据わり方は作中でもかなり上位に来るんじゃないかと思ってます。なんだかんだ姫の操縦法が上達してますね……
・書簡「澪へ」
大袈裟って思われるかもしれないけど、生きる支えになっています。
雫が、妹の成人祝いに贈った手紙。逸脱者の協力を得て、交流できているものの、家族は遠く彼方にありて。それでも、心の中にはずっとあり続ける。雫の強さと、家族の大切さがしっかり描かれていました。
・物語
「あああああああ、順番が分からなくなったああああ!」
雫が古い本を修繕していたところ、図書館外の庭で魔法実験が行われていて。
突然の揺れに驚き本を落とし……バラバラになってしまった叫び。ひぇぇ想像するだに恐ろしい。幸い、その話を知っている人の協力を得られて組み直していましたが。意外なところに辿り着いた感じ。最後2行が好きです。