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「……分かったんだよ。今やっとわかった。このまま、何にもならない無為な時間を浪費した所で、状況は何も変わらない。普遍は腐敗を生み、そして俺は」

(略)

「きっと諦めるだろう。何時かは知らない、何処かで」

 

救世の旅に同行し、偵察などを行っていた男。

人々の希望を委ねられた天才たちの中に紛れ込んだ、凡人。

彼は才能がないために、ほとんどの仲間たちから厳しく当たられていて……それでも、可能な範囲で出来る事をやっていた。

 

そんな彼の前に、『運び屋』を事情する怪しい存在が現れる。

「一度だけ、人生を塗りつぶし描き直す機会」を与えてくれるという、信じがたい誘いを持って。

断られる事も想定していた、と怪しい存在は言っていますが、それでも彼は誘いに乗った。それは、自分の中に芽生えていた、諦念に気が付いたため。

 

怪しい誘いは真実で、次に気が付いた時彼は幼少期に戻っていた。

成長していた分の記憶と経験を持ったままで。とは言え、元が孤児で替えの効く冒険者の下っ端みたいな状況は変わらず。

以前犯した失敗をしないように立ち回ろうとしていますが、かつて迫害してきた仲間たちを前にすると冷静で居られないようで……自分を制御しきれず、思わぬ行動をとることもしばしば。

 

未来を知っていても、全ての危険を排除できるわけでもなく。自分の行動によって生じた新しい問題にぶつかったり、うっかり失念していて危地に踏み込んだり、見ていてハラハラしますね……

救世の旅一行に想う所がある主人公。命を奪うような凶行に走るわけではありませんが、彼と言う劇物に触れ、変質し違う道を選ぶようになるのなら、これもまた復讐モノと言えるのだろうか。

 

やり直しを選んだ男が、底辺から少しずつ上に行こうと足掻く、泥臭い話です。戦力的にはパッとしないので、定期的に痛い目見てますしね……

覚悟が極まってるので、かなり危ない手でも取れる辺りハラハラし通しで、先が読めない作品。