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「愚かしさもそこまでくると哀れだな。痛みは負けた奴が感じることだと? その前提がおかしいと気づかないことには、貴様は一生勝つことは出来んよ。(後略)」

 

WEB既読。BOOKWALKERでセールやってたので購入。

コミカライズも刊行されてるっぽいけど、発売1年前かー。続き出るのかしら。嫌いじゃないので、続いて欲しいんですがさて。

 

人の身体を乗っ取り、長き時を生きる魔術師が居た。

無条件で乗っ取れるわけではなく、強大な力を持つ魔術師の魂を受け入れられる相性や肉体の強靭さ等の条件があるようですけど。

今使っている体にガタが来たので、新しい身体を探していた所、魔獣と相討ちになって死にかけている男を見つけて、契約を交わし肉体を譲り受けて。

 

タイトルに外道魔術師とあるように、割と悪役の所業ですよね。

実際に口は悪いし、上から目線だし高慢だし、揉め事を頻繁に起こしそうな人物ではあるわけですが。

肉体を喰らい己の物とする。つまり、魔術師は相手から恩恵を受けるわけで、その分の対価は与えねばならない、と望みを聞いて可能な範囲でかなえようとする当たりは真面目と言うか。

 

肉体を譲り受けた青年ジグル・フリドーの最期の願いを受けて、彼と一緒に旅をしていた盲目の少女エレナを保護する事になったゲオル。

目が見えない代わりに感覚の鋭い彼女に、早々に正体を見破られている辺り詰めが甘い。

 

素直じゃないけど抜けてて憎めない部分があって、エゴ丸出しではあるけれど結果的に誰かを助ける事もある。なんだかんだで魔術師ゲオルの事、嫌いじゃないですねー。というか作中ではトップクラスに好きかも。

 

魔王が復活して人々が魔物に脅かされる世界で、対抗するための勇者一行も居るんですが……

裏で色々な思惑が蠢いている結果とはいえ、勇者の方がよっぽどゲスで外道なので、ゲオルが初対面から顔面ぶん殴ってくれたのには正直スカッとした。

 

勇者の彼も、異世界から召喚されて、視野の狭さを利用されている哀れな駒ではあるんですが、それにしたって小物過ぎて色々と酷いので、ほとんどの人が嫌いなんじゃなかろうか。

そんな彼を中心とした勇者一行の行動も褒められた物じゃないので、作品の好み分かれそうだなとは思いました。

 

巻末には書き下ろしの短編、『ミカ』と言う、ゲオルが得た五人目の身体について語られていますが……

少年が願ったもの。ゲオルが為したこと。途中で横やりが入ったのが癪ではありますが、良い旅をしたんだな、とちょっと感慨深かった。