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「あの人は、私のヒーローなの」

 
積読消化。

学園都市第五位。最強の精神系統能力者『心理掌握』の食蜂操祈。

御坂美琴と同じく、常盤台中学に通うお嬢様。

彼女の秘めていた上条当麻との接点が明かされる、過去エピソードを収録した1冊。

いや、ばったり出くわして、なんだかんだと接点が出来て。

交流を続けている様子は中々良い青春模様だったんじゃないですかね。

 

自分の抱えていた当面の問題がおおよそ片付いて、かるく燃え尽きていた彼女にとって、楽しくて幸せな、忘れ難い記憶。

それを垣間見ることが出来たのは、こちらとしても喜ばしいというか。

上条当麻は、いつでも上条当麻だよなぁ、と言いますか。『今にも泣き出しそうな女の子を守る側に立てりゃあ、こっちはそれで本望なんだよ』と、窮地に叫べる人がどれだけいるだろう。

 

だからこそ、その思い出を汚すような相手を見逃すことは出来なかった。

精神系最強の能力者を相手に、記憶操作が疑われる状況を作りだし、その為に膨大な準備をしている辺り敵もさるものというか。

レベル5を相手取るのに、妥協はしないという意思を感じてよかった。

敵にも相応の格や覚悟が欲しいですしね。ただ敵対した彼女は、レベル5の事を理解しきれていなかった。相手の予想を上回ってくれた、食蜂陣営がカッコよかったです。

 

……それで終わってれば、ハッピーエンドだったかもしれないのに。

上条当麻は無印1巻で記憶を失ったし……それ以外にも爆弾を抱えているなんて、無情すぎる。

小さな奇跡くらい起こってもいいじゃないか、と思えてしまう。感情が、引っ張られてる。

この世界で「奇跡」なんて、そう起こるもんじゃないとも分かってしまうのが痛い。かねてより噂は聞いていたのですが、なるほど話題になるのも頷ける展開だった。