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「くだらなくなんてない」

「……そうかよ」

「…………ハルゲントとの勝負なんだ……」

 

ついに、六合上覧が開始する第三巻。

関東に用語解説とか、黄都二十九官の名前一覧とか乗っていて楽しかった。

こういう設定部分が見れるのは個人的に好きなんですよね。

まぁ、私の嗜好を抜きにしても、修羅を擁立している面々の情報が整理されてるのは良いことだと思います。いくつか空席あるんですねー。

                                                                                                      

サイアノプみたいに、離れた地域で産声を上げた修羅なんかも居ますけど。

黄都からも警戒されている、最大の傭兵ギルドが作った国家、オカフ自由都市。

本物の魔王。そして魔王軍が居た場所に続く、最後の地。

前半は、この二か所の描写が多かったですねぇ。特に最後の地周りでは、過去編として本物の魔王に挑んだ「最初の一行」の描写もあり、本物の魔王の名前なんかも明らかになっていて情報量が多い。

 

名を広く知られた修羅達であろうとも震える、本物の魔王の在り方はただただ恐ろしかった。己の在り方を貫く、修羅達の様子を3巻まで読んでいたからこそ、怖さが増すんですよね……。

魔王の正体が明らかになっても。本当に、だれがこんな魔王を倒せたんだ、という謎が出てくる。物語の構成が巧みで、読んでいて引き込まれる。

 

今回当登場した修羅だと、黒き音色のカヅキが好きですねー。

「英雄として、世界への責任を果たさないとね」という客人の少女。

オカフ自由都市に対抗するため、黄都が派遣した銃使い。実際に腕利きを何人も仕留めてて、活躍っぷりが見事。彼女の名を冠した章の、終盤で出てくる修羅紹介文の演出含めて好き。

 

これまで裏で動いていた灰色髪の少年なんかも出て来てましたが。

自らは戦闘力がないものの、誰もが無視できない状況を整えるのが上手い、彼なりの戦い方があるのは結構好みですねー。修羅にも多様性の時代……

 

アルスを擁立したヒドウのポリシーも分かるし、名誉に執着するハルゲントのこだわりも嫌いじゃないんだよなぁ。

冬のルクノカという伝説を引っ張り出してきて、アルスと戦う舞台を整えて。それでも、彼は。ただアルスの輝きを信じ続けていた。


アルスはアルスで、冬のルクノカを通じてハルゲントの存在を見ていますし、なんなんだこの二人は……いや、好きですけどね、こういう関係。

ハルゲントは全くもって不器用で、時代遅れの官僚とされているのも無理はない感じですが。最後のあの慟哭は、中々刺さる。嫌いな人はヒドウみたいにとことん嫌いそうですが。
これだけ迫力ある戦いやって、まだ第二試合までしか終わってないとかどうなってるんでしょうね……