「ねえ、養父様。首にまとわりつく真綿はハサミで一気に切ってしまった方がスッキリすると思いませんか?」
嫁盗りディッター後の貴族院。
プロローグのローゼマインの側近たちのエピソードが良かったですねぇ。
他の目が無い所だからこそ出せる、ブリュンヒルデの感情ですとか。
「主の望みを叶えるのが側近の務め」と言う基準を持つマティアスからすると、どうしてそこまで苦悩するのか、と最初は悩みを抱いていましたが。
かつて、その方針で動いた護衛騎士たちは、主を2年眠らせる結果を招いてしまった。
汎用的なものではなく、「ローゼマインという主に仕える心得」をしっかりと共有して、団結できているローゼマインの側近たちは意志も質も高いなぁと感心した。
それを踏まえてみると、巻末の「不信感とゲヴィンネン」におけるヴィルフリートとその側近の距離感にちぐはぐさを感じる、というか。
オズヴァルトは本当にもう……廃嫡云々の時に、遠ざけておくべきだったよ、やっぱり。
領地対抗戦における他領との社交。
ダンケルフェルガーはまだ、事情を汲もうとする心意気はありましたが。
圧力をかけてくる形になるんだから貴族怖いというか。ジークリンデ視点の「娘の意見と覚悟」で、利益をもたらすつもりがあったけれど、前提が間違ってたと気づいてくれただけ良いですよね。
その後やってきたアーレンスバッハとか、もっとひどい例もあるしな……
久しぶりのフェルディナンドとの対面と、夕食だったり。ほっとする一幕もあるにはあるんですが……
ディートリンデが奉納舞でトラブルを起こし、そこから王族にまで波及して。
全体的にもどかしいというかギクシャクしているというか。柵がどんどん増えていって、沈みがちな展開が続くんですよねぇ。
WEB読んでいて展開を知っている分、生じている行き違いだとかに、思わず天を仰ぎたくなる。長い冬だな……