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電子専売の尊い話、第2弾!

個人的には1巻の方に好きな話が集まってたんですが、こちらもまた尊くて良かったです。


各話ごとの感想は下記。

『01:総統閣下の塔』

「――ヘロー ヘロー 少年達、少女達、今日も悪いおじさんが抵抗の曲を聴かせよう。

あの馬鹿をもう一度起こすために――」

 

国の各地に、つい通信塔として自分を模した像を造らせた総統閣下がいる国。

その後、戦争が起きて通信の要として活用されたらしいですけど。

戦前からレジスタンスが活動しているような国ではあったらしいです。

総統の友人だったと言われる男が、「あの馬鹿をもう一度起こすために」と、ゲリラ放送を行ったりしていた、とか。

 

その放送に憧れる若者なんかもいて、ゲリラ放送ごっこをしたりもしていたとか。

そんな男子の一人だった主人公は、戦争において通信兵として駆り出されて、戦後になって故郷に戻ってきた。

総統閣下の像が解体される、なんて噂を聞いて。彼曰く「詰まらない事」をしようと決めた。

いざ像のとこまで行って見たら懐かしい顔に出会ったり、総統閣下の事情を察したりするエピソードが挟まるわけですが。

総統とレジスタンス代表の、不器用な友情が感じられるのがとても好き。

 

EX:ライブ“黒死無双”』

(前略)俺、ちゃんとやっていくしかねえじゃねえか」

 

1巻のコガレと同じく、扉絵だとボーナストラックになってますね。短いエピソードです。

病で故郷の村が全滅して。たまたま外にいたため無事だった一人の男の話。

村の住人は死んだはずなのに、変わらず起き上がってきて。

死にたいのは俺の方なのに、なんで皆が死んでるんだ、と。愚痴をこぼしながらも、死んでるのに死なない皆を治そうと、外にでて勉強をすることを決めて。

有言実行する彼と、彼を思っていた村人たちの絆が感じられる良作。

 

02:天使の解釈違い』

これからずっと、忘れたって、そうしてやるんだ。

 

人の世界より高い所で生きている、天使の夫婦の話。

妻が百十三歳で、夫は五十三歳。

結婚してしばらくたつが、微妙にすれ違い始めて。

そんなある日、夫が二週間の旅行に出かけたかと思ったら、なにやら雰囲気が変わっていて。示談で別れる準備かな、と思う当たりドライと言うか。

 

ただ、夫の変貌の理由を知りたくて。彼の旅行先を探って、自分でも訪問している辺りは行動力が凄い。

そこでまぁ予期せぬものを見せられるわけですが。

「幸せなものを観たら削られたが、そうではないもの観たら沈んだ」とか。妻の言葉選びが中々ツボでした。いや、笑う話ではないんだけど。

 

03:黄金周環』

「僕がアンタを救けたのは、アンタと妻が幸いになるからだ。でも、ここで過去にかんしょうしたら、僕もアンタも消えてしまう。それでいいのか」

 

妻に、朝声をかけられないようになってから10年が経って。

ゴールデンウィークの仕事帰りに古びたタクシーに乗る話。

遠回りするルートの道中、運転手から界隈に伝わるとても不思議な話を聞かされることに。

古来、時間の流れと色は黄金の色と言われていた、と。だから、この日の夜に、時間が狂うことがあるとか。

 

タイムリープと言うほど長時間の滞在は出来ないけど、ちょっとした干渉位は出来る。SF要素の在る作品ですね。

川上作品あるある、幸いの為に足掻ける人々が私は大好きです。

 

04:幸いの人』

「ここまでの全てが、嘘だったらどうする?」

 

(多分)書き下ろし枠。

閉ざされた街で暮らす、不幸な女と言われた女性の話。

彼女には逆に幸いだと言われる姉が居て……街の中央の管理小屋で暮らす彼女の下に、定期的に訪問していた。

役所の人間もまた管理小屋に死亡届とかの書類を持ってきていたようですけれど。有る時、訪問がぱったりと止んで。

 

そんな彼女の下に「神の元に導く」という、白い服の男が現れて。

彼女を外の世界へと連れていくことに。神様は、街から離れた所に居て、数日の旅をすることに。

独特な距離感の二人の旅と、不幸と言われた彼女の秘めていたものが明かされる場面が熱くてよかった。

 

05:禁書区画で待ってる』

「憧れこそが間違った争いを生み、しかし正しい平和を生むと、代々の国主がそう述べられております」

 

東西で分断されたとある国。

かつては行き来が出来ていたものの、いきなり東西に分けられることになって。

西側で暮らし、東側の大図書館で働いていた司書。

新聞記者をやっていた幼馴染の彼が、家に帰っていたタイミングで二人は分断されてしまって。

 

バリケード越しにやり取りをしていたけれど、最終的には壁が作られて。通信も術式で封じられて。やり取りは断たれた。

最後の台詞は「手紙を送る! ――そして、必ず会おう!」と言うもので。

東側に残った彼女は、変わらず東側の図書館の、禁書区画で司書をしていた。

しかしある時、事件で命を落とし……幽霊としてこの世に残り、仕事を続けていた。

東西の対立の為、大図書館の禁書区画には国主の管理の元多くのものが運び込まれたからだ。

 

そして時は流れ……東西の対立に区切りが付くことになり、西側の代表が、東側の禁書区画に危険なあるものを確認する事になって。

確認したあと「なんだこの骨董品は!」と叫んでいましたけど。

その骨董品に込められた想いが良いし……幽霊な司書さんの下に届けられた手紙がまた尊いんですよ。

これを結びに盛ってくる構成が最高ですね。2巻だと一番好きなエピソードです。