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「セバスチャンは私にレグルスくんを追い出す手伝いをさせようとした。あの野郎は、そうすれば母が目をかけるかもと、ちらつかせて! 自分より弱い者を虐めなければ、私は愛される価値もないと!? ……侮るなよ、私にだって意地くらいはあるんだ!」

 

WEB既読。BOOKWALKER読み放題にて読了。

この世に生を受けたものの、父からも母からも愛を注がれず孤立していた少年、菊乃井鳳蝶。

我儘放題な子供ではあったが流行り病に倒れ……その際に前世の記憶を獲得した。今世の放蕩ぶりや、父親が外で作った弟にいずれ殺される未来まで垣間見て。

白豚と呼ばれるような肥満体質だったのも含めて、生活全てを見直そうと奮起する話です。

 

前世と今世とで上手く融合しているみたいですけど、今世は教育も十分に受けられていなかった関係で、前世に寄ってるように感じられる。一人称とか口調は今世寄りみたいですけど。

跡取り息子ではあるものの、歌唱とか刺繍方面の芸術関連に趣味が偏ってて、スキルの発言もそっちばっかりなのは笑う。

そちらに情熱を注いだ結果として、神様に目を掛けられるボーナスもついてましたけど。

 

変わったことを受け入れてくれる使用人や、家庭教師に恵まれて両親に注がれなかった分の愛を得ているのは良かったですけど。

……彼の器はどうしようもなく歪んでいて、それらを真っ直ぐに受け取ることが出来ないでいるのは、ちょっと不安材料ですかね。

 

巻末には風の神イゴール視点の話とか、レグルスと主人公がピクニックに行こうと料理を作る話とか入ってましたね。
地の文が基本的に主人公視点で、結構癖があるのでそこを飲み込めれば楽しめる作品かと。