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「私、嘘って好きですよ」

 

幼少期から疑問を抱いていた「魔物」。その一角である人狼と相対したアッシュ。

死にかけた彼は、療養のためという名目で故郷のノスキュラ村に帰還して。

まぁ、怪我から目覚めた直後も懲りてなかったし、動き回れるようになったならなおさらですよね……。

昼ご飯を持って行ったら脱走していて、村中探し回るユイカ夫人の視点からスタートしていて正直笑いました。

 

3巻では大きなイベントが2つおきます。

1つは、軍子会のメンバーであるヘルメスの夢である「飛行機」作りに手を出したこと。

もっとも、様々な技術が失伝している中でいきなり人が乗れるような大きさのものを作ることが出来るはずもなく。手に持って運べるような小さな模型を作ることに。

豪商が秘蔵してた石鹸作ったよ、とか。人狼討伐の第一功貰っちゃった、とか。アッシュ君の齎すイベントに殴られまくってるイツキが、また心おられかけてましたけど。

「経験が活きている!」とか思ってる場面が中々愉快でした。

 

本の知識や、再現に向けた情熱があるとはいえ試行錯誤の連続ではあったようですけど。夢に向かって突き進む、アッシュ君の同類ではありますよねヘルメス。

夢物語だと馬鹿にされても、諦めず足掻き続けた彼が、味方を得て夢の片鱗を掴み取るのは本当に熱い。

そんな彼の勢いに惹かれる子もいるようですし。レイナ視点で、関心が向く様子が描かれましたし、挿絵もちょうどいいタイミングで入ってて、書籍化最高だなって思ってました。

 

そして、もう一つの大きなイベント。

それはアーサーの秘密に関して。聡いアッシュは、初対面の時から気が付いていましたが。

イツキの弟とされている同室の友人は、実は女の子で。性別などを偽るだけの事情を抱えている証明でもある。

 

そんな秘密を探る動きを察知したアッシュはイツキに報告して、「詳細を聞かない」という選択をしたうえで、協力しているのが良いですね。イツキ視点の「弟には、なんと兄貴と友達がいるんだぞ」という、当たり前の一文がとても尊く見えてよい。

 

結果として、密偵と荒事をする羽目になってましたが。今回は地形を利用できた事などもあって、危な気なく勝利。

その後のアッシュの「嘘」についてのアーサーとの会話とかも好きです。アッシュ、夢に向かって進む熱量も凄いんですけど、彼の中にある哲学がかなり好感が持てるので、シリーズの魅力が増してる。

 

身内は大事にするけど、敵には容赦しない割り切りも出来ますし。捕えた密偵相手の演技も中々堂に入ってましたし。……あれ、口を割らなかったら本気でやったんだろうなぁというのも分かるので、こう、怖がられるのも分かりますけど。