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イカサマだけではない。どうやったら相手に多額の金を賭けさせることができるか、乗るか退くか、やったことのないはずの賭け事のコツが身に染み付いている。

あれぇ……? おっかしいなぁ……?

楽しいなぁ……。

 

聖剣を抜き勇者と認められた青年と共に旅した剣士・聖女・魔法使いの少女たち。

彼らはついに魔王の前に立ち、戦闘に突入。幻術を巧みに操り戦況をコントロールしている魔法使いを危険視した魔王は、捨て身で彼女を排しにかかり……反撃を貰う事に。

それによって魔王を一時的に追い払うことに成功したものの、魔法使いの少女の受けた傷は深く……自らの魔力や記憶すらも治癒の力に変換する事で、辛くも生き延びて。

 

記憶も戦い方も忘れてしまうということはつまり、勇者たちの旅にはついていけない、ということで。

道が分かたれた少女の前に、別れの日以降も戦い続けていた勇者たちが故あって現れて、交流が始まる、そんな物語です。

いやぁ、感動的ですね。魔法使いの少女リズの記憶も、消失したわけではなく彼女の中に残っているような雰囲気もありますし、交流を通じて元通りになったらそれはとても綺麗な美談になることでしょう。

 

……まぁ、問題があるとすれば。少女リズは魔族の、それもよりによってサキュバスの先祖返りで。

精気を食らってしまう性に素直に生きていた過去と、「サキュバスの先祖返り」ということすら忘れてしまった現在とのギャップの温度差に風邪ひきそうになりますね。

 

記憶を失っている今は、清楚可憐な貴族令嬢で有ろうと心がけていて、実際基本的にはそのように振る舞えていたようですけど。

勇者にあうなり「パンツください」とか言うし、勇者一行の夜の情事の相談に乗ったりするし、もうめちゃくちゃですよ。かなりコミカルに進むので楽しい作品でした。