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「良い師匠という者は、とかく語りたがらないものです。なぜなら真の言葉というものは、真心が発する音だから。耳ではなく心で感じるものだからです。人から教えられた知識は、所詮受け売りにすぎません。どんなに素晴らしい訓示も教訓も、それを受け取る側に準備がなければ寝言と同じです」


実りの秋。
楽土に手を伸ばさんとする出散渡。
トウロウが実は・・・と前巻の最後で明らかにされていましたが、結構根深いというか、本気のようで。
全てを平らにしないと気が済まないという、出散渡の王。
彼の者に対峙するために、イーオンは行動を起こす。
とはいってもまぁ、相変わらず自堕落なのはそのままなんですが。
シンを弟子にして少しは変わるかと想いきや。
まぁ、そう簡単に変わるようなひねくれ方はしていませんか。

ゴノ里で暮らしていた、ミサキ音導士が、自らの死期を悟り、ナナノ里へと登る覚悟を決めた。
トウロウはそれに便乗する形で、ナナノ里へと登ってきます。
今回は、出散渡のライアン・ハートが中心にいたエピソードだったなぁ、と。
ライアンとその友人であったファルケ。
2人は、出散渡という国の中で必死に行動を起こしていたわけです。
とかく貴族だの権力だのは面倒くさいものです。
和平の使者を攻撃する命令を出した王はちょっと好きになれませんし、それを受けて起きた事件がイーオンの悩みに繋がっていると思うと、何とも言えないものがあります。

でも、ライアンたちも悩んでいたんだよなぁ、というのがわかると、もどかしい思いを抱きますね。
トウロウとイーオンの会話が多かったように思いますが。
イーオンの抱えていた秘密は相当重いものでしたね。
ミサキが彼女と同じ荷物を持ったら背骨が折れるとか言っていましたが・・・ミサキはミサキで相当な重荷背負っていると思うんですがね。
似たもの師弟め。

楽土は存在するべきか。
イーオンの叫びが、ミサキの答えがたまらなく切なく、絶望し楽土に至った彼らも、生きているんだなぁ、というのがひしひしと感じられました。
サヨが1巻のときからはだいぶ落ち着いてきたなぁ、という印象で。
シンとの「音討議ごっこ」は中々見物だったと思いますよ。

あ、画像は紙の書籍の方で画像がなかったので、Kindle版を掲載してます。