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「でも、辞めたじゃん」
「他にやることができた」突き放すように言う。「おまえみたいに、歌わなきゃ死ぬような人種では、俺はない。死ぬほど許せないことがあった。目の前にそれがあったら、楽しいことをするより、死ぬほど許せないことを許さない方を俺は選ぶ」


ある人気バンドの周辺で、集団暴行事件が起こる。
《異能》が絡んでいるのではないか、とサイトウリサーチに仕事として持ち込まれた。
元々は、都内を拠点としているバンドなので、そっちを管轄にしているサイトウリサーチと同類の会社が調査していたものの、結果は芳しくない。
地方でライブをやることになり、そっちでも調査してくれと持ちかけられて、仕事に臨むことに。
ただの事件ではなく、それは真冬の友人や、宮村たちがサイトウリサーチに属する原因となった「2年前の事件」に状況が酷似していて。

他人の雰囲気や空気が見える、ザクロビジョンの宮村一野。
他人の思考が読める、プチプランスの石本花梨。
2人は、互いの能力が干渉するため、空気も見えず、思考も読めない。
だから、前回の最後花梨は一野の家を避難所に受験勉強に励んでいるわけですが。
なんか一野、花梨に食事作ってもらったりしているんですが。
どうしようもなく外側にいる癖に、日々充実しているなぁ、という感じが。
花梨もなんだかんだと、入り浸っているようですし。

2年前の事件。真冬が一野を殺したいと思うような、事件ですが。
これもバンドの周辺で集団暴行事件が起こる者だった。
真冬と一野が出会い、それに対処しようと行動するわけですが、一野が最後に出した解決方法がとんでもないよなぁ、というか、ろくでもないというべきか。
流石、外側にいる奴はやることが違う。断片として描かれていた過去。
一野と所長はだいぶ似た者同士なところがあるようで。
異能を、異能者を、踏み外してしまった存在を、何より自分自身を許せない。
歪んでいるなぁ、と思いますが。

2年前の事件で、千手院との縁もできていたんだなぁ、っていうのが少し意外な気もしましたが。
あの時点で彼女は被害者で、前回も今回も傍観者なんですよねぇ。
死角に入り込むウィルギニス。まぁ、調査向きではあるでしょうけど、荒事向きではないですし。
あとは、未だに所長の異能がなんなのか描かれていないんですよねぇ、次回タイトルは「ミルキーウェイ」とのことですし、一野に『靄』として見える所長の異能が絡んでくるんでしょうか。

一番驚いただったのは、千手院と一野の関係か。
それを知ってなお花梨が離れていかないのが意外でしたが。
一野の分析によれば、彼自身は外側にいる人間で、真冬と千手院は内側に戻れる人間。
そして、花凛は外には居ないけれど、内側には戻れない。外と内との境界線上にいる状態。
時間が進み、最後四月となり春。
石本花梨は大学生となっていましたが、もう一つしれっとトンデモなこと書かれていたような。
次回でラスト、という事ですし、少し早めですかねー。
個人的には、この歪み具合が好きなんで、もうちょっと続いてくれてもいいんですけど。

夜を歩けば 2 (C・NOVELS Fantasia あ4-9)[本/雑誌] / あやめゆう/著
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