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「そうだね、それはありがたいことかもしれない。治療法の分からない病気に手立てがあるのなら喜ぶ人も多いだろう。ただ線引きが難しいとは思うけれど……単に便利になるだけのものなら、僕は欲しくない。もし本当に必要とされるものならば、それはいずれこの世界の中から生まれるだろう。だから、どれ程世界の現状が不自由なものであっても―――― 僕は混入された便利さより、あるべき不自由を望むよ」

大学1年生の水瀬雫は、大学の帰り道、おかしな「穴」に出会い異世界へと吸い込まれる。
そして穴を抜けた先は、魔法のある世界。
なぜか言葉が通じることに安堵しつつも、帰還する方法はわからない。
魔法が当たり前に存在するといっても、まぁ、異世界にわたる方法なんてそうそう確立されているわけありませんし。
まぁ、違う作者の作品とかで「異世界から人が来るのが珍しくない」世界とか描かれていて、そこでは理論上ではありましたが成立してたりしましたが。

閑話休題。
雫が異世界へと降り立って最初にいたのは・・・砂漠だった。
大学からの帰りなので、持っているものは電波のつかないケータイに、レポート提出間近だったので辞書各種。
無理ゲー。知らない世界に飛んだと思ったらいきなり砂漠とか。
幸い通りがかった親切な人に保護されて近くの街までは行けるんですけど。

そこで彼女は、魔法文字を専攻している魔法師、エリクに出会う。
彼は、雫の持っている異世界の文字の知識に惹かれて彼女の帰還する方法を探す旅路を手伝うことに。
魔法大国であるファルサス。
過去に起きた事件の情報を求めて、彼らはその国を目指すことになる。
陸路をまっとうに進めば数か月かかるような長い旅路ですが。
エリクが決して親切心だけで他国にわたるような長距離の旅路に同行するんじゃなくて、自分の好奇心を満たすためっていうのはわかりやすくていいんじゃないのかなぁ。

「world -memoriae-」シリーズなので、ファルサスとか見覚えのある名前が出てきたりと、つながりが見えてくるのが中々楽しい。

ACT1.では雫とエリクが交流して仲良くなっていく流れ、そして、少しずつ雫がこの世界の事を知って行ったり、エリクが雫の特異性をもうちょっと自覚したほうがいいとたしなめたりイベントを順調にこていくんですが。
途中で立ち寄った国で、事件に見舞われる。
見舞われるというか、渦中に飛び込んでいった人もいるわけですが。
怪しげな宗教と怪しげな魔法。
国家絡みでそんなものに手を出そうとしては、ろくなことにならないわけですな・・・
結果として、目的としていなかったところに飛ばされてますが、転移と相性悪いんじゃないのか雫、と思える。