気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

メディアワークス文庫

すべての愛が許される島

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「だって、存在証明の失敗は不在証明にならないんでしょ」

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「そうだよ。ほんの一ミリグラムの望みは、絶望の千倍つらい」

 

BOOKWALKERでわりと前にやってたセールに合わせて購入。

昔図書館で借りて読んだんですが、手元に確保しそびれていたので。

……まぁ、セールとっくに終わってるんですけどね! どうせなら期間中に感想書きなさいよ(自戒)。

 

大西洋赤道直下に浮かぶ、名前もない小さな島。

そこには教会があり、神父とわずかばかりの住人が暮らしていた。

その教会では、あらゆる愛がゆるされ、近親だろうと不倫だろうと結婚式を挙げる事ができる。

ただし本当に愛し合い、教会の扉を開くことができるのならば。

 

愛を証明するために、島を訪れた人の話です。

メインとなるのは4人で、胸中の思いはそれぞれに異なるようですけど。

「すべての愛が許される」島にわざわざ来るという事は、「許されない愛」を育んでいるという事で、どうしたってドロドロしているというか。

重たく暗い情念のようなものが織り交ぜられている感じ。

 

「いいですか、小説家はほんとうに大事なことは書かない」

「書かないのは、それがなにより大事だと、知っているからですね」

迷いの中で自分自答して、無駄に彩った言葉を使うキャラが多いです。作中でも、「言葉遊びの巧い神父だった」なんて評を下してる場面ありましたし。

個人的にはその言葉遊びが気に入ってるんですけどねー。いい機会だからと購入して、再読するくらいには。

15歳のテロリスト

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「いつか語り合えたらいいよね。どこかで区切りがついたら、二人でゆっくり」

 

ネットに挙げられた、犯行予告の動画。

それは新宿駅に爆弾をしかけたというもので。イタズラかと思えば、実際に爆弾があり警察に負傷者も出た。

たった15歳の少年・渡辺篤人の行動によって、多くの人が振り回される話です。

 

事件を追うのは、少年犯罪を追う記者の安藤。

少年犯罪被害者の会で、篤人とあったこともあった彼は、伝手を頼りに情報を集め少しずつ彼に近づいていく。

どうして、彼があんな動画を上げるに至ったのかそれを調べるパートと、篤人のこれまでの行動とが交互に描かれていきます。

 

事件には加害者と被害者がいて、それぞれに家族が居るんですよね。

罪と償いとに押しつぶされそうになることも、ままあるのでしょう。

難しい題材を、少ないページでしっかり描いていたと思います。作中の雰囲気は嫌いじゃないですね。まぁ、黒幕のこととかちょっと都合がいいと言いますか、詰めが甘いと思う部分もありましたが、迫力ある作品でした。




答えが運ばれてくるまでに~A Book without Answers~

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人はそこにあると信じているものを見つける。

 

再読。

絵本シリーズ3弾。今回は20編収録。

幸せにしてくれるあるどうぐの話。

置かれ状況で感じ方がかわる「みえるものとみたいもの」の話などが収録されています。

 

「ふたつのこと」が好きな人に望む事としてはシンプルに美しいと思います。

皮肉成分満載の「じぶんにはないもの」は、笑い事じゃないけど笑ってしまう。

さて、結局返事はどうしたんでしょうねぇ。

「ともだち」のドラゴンの話はちょっと寂しい。

「じたばた」は、水難救助の話というと嘘になりますが。夏場海とか行く事が多いので、そうだよね…って思う部分があった。オチも綺麗で好き。


夜が運ばれてくるまでに~A Book in A Bed~

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貴方は貴方の作品を書けばいい。

 

再読。

絵本シリーズ第二弾。今回は25編を収録。

たとえば、小さな村にすむ少年少女が、隣に住むおばあさんの家に遊びに行く話。

たとえば、人生を乗り物の運転に例えた話。

短くも素敵な話が今回もたくさん記されています。

 

「えごとえこ」みたいに皮肉交じりのエピソードも健在です。

「さくひん」・「てきとみかた」・「まんぞく」辺りが背中を推してくれる感じがして好き。

「つらいこと」で描かれた大人が、格好いいと思います。戯れに聞かれた質問に、何かを思い出し涙する事ができる。そして、それでも怒らず質問に答えてくれる。積み上げて来た時間が、幸いだったのだと感じられて良いですよね……

あとは「だいびんぐ」の最後の一行が、そりゃそうだ、って感じであっけらかんとしてて笑った。


お茶が運ばれてくるまでに~A Book At Cafe~

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そう思ったことを、今からやりましょう。

 

再読。

『キノの旅』のタッグでおくる、18の掌編を収録した絵本。

元々キノでも風刺とかも上手く描かれていましたし、あのテイストが好きなら読んで損はない一冊。

 

「らぶれたー」の少しずつ長くなっていく文章が、最後短くなるのとか。

文章のレイアウトも工夫されていて、本当に絵本的というか。視覚情報が増えていて楽しい。

皮肉が効いてるのでいえば「はな」とか「あなたのいるばしょ」の登山家の部分とかか。

 

一番好きなのは「やりたいこと」ですかね。勇気をくれる。

「さくせす」とか「けいけん」なんかも、今見ても刺さるというか痛いので、頑張りたいですね……

あとは「りゆう」も短いながら、胸に来るので気に入ってます。

 


時槻風乃と黒い童話の夜 第3集

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「多くの人は、愛してやまない人間の死には、何かの形で折り合いをつけなければ、そのまま生きてゆく事が出来ないわ」

 

積読消化―。いやぁ、懐かしいこの感じ。

甲田学人流「いばら姫」。怖い。

何が起きたのかわからない恐怖もあるし、風乃が語った真実を聴いても「理解できない」という怖さが残った。

 

生まれ育った町へ4年ぶりに帰って来た少女、繭。

かつての友人たちも歓迎してくれたが……彼女は、この地に、嫌な思い出があって。

仲良し6人組だった内の中心であった少女、小姫の死。

禁じられていた話題が、繭の帰還を期に話題に上がり……その後は、転げ落ちるように、結末へと至った。

 

風乃は、祖母の家があったためにこの地に来ていただけ。そして彼女たちの話を聞いただけ。実行したのは、少女たちではありますが。

同時に、彼女と出会わなければ、最後の一歩を踏み出すことはなかったのではないでしょうかね……いずれ別の形で崩壊していたかもしれませんが。

母が彼女を扱い兼ねて、祖母の家に療養の名目で封じようとしたらしいですけど。

まぁ、正直手元に置いておきたくないのわかるな……と言うエピソードでありました。

時槻風乃と黒い童話の夜 第3集 (メディアワークス文庫)
甲田学人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-12-25


そして、君のいない九月がくる

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「ケイタも、そう言うと思ったんだろうね。彼から、伝言を預かってるんだ」

 

同じ高校で、いつも一緒にいたグループ5人。

部活も、付き合いの長さも違ったけれど、確かに友情を育んでいたのだ。

けれど、メンバーの一人である恵太が死に……4人の前には、彼とうり二つの幽霊が現れる。

彼は、死んだ恵太の最後の願いを、叶えて欲しいという。

 

全てを信じたわけではないけれど、4人は彼が歩いた道のりを辿っていくことに

死んでしまった友が何を考えていたのか。

自分達の事を、どう思っていたのか。

どうしたってそんなことを考えてしまうわけで。

 

5人は確かに良く一緒にいたけれど、相手の事をすべて知っているわけでもない。

それぞれに見えていなかった想いや、抱えていた後悔が表出して。

いやぁ、痛い。死んでしまった友にはもう謝れないし、一度口に出した言葉は戻せない。

 

でもこの道を歩くことが出来たのは、4人にとって救いだと思うんですよね。

だって彼らが抱えていた悩みは、死者である恵太へのもので。本来はもう行き場のないものです。重たすぎる荷物を抱えた状態では、いずれ破たんしてしまっていたでしょう。

それを吐き出すことが出来て、ちょっとほっとしました。そうでなければ、治しようのない傷として残ったでしょうし。

この経験があったからこそ、絆が未来につながったとも思える。苦味を含んだ、良質な青春モノでした。

そして、君のいない九月がくる (メディアワークス文庫)
天沢夏月
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2015-10-24

あやかし飴屋の神隠し

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「行く手を阻まれても、背中をどれほど押されても。ゆらいだりしない、フラットな気持ちが……一番強いんじゃないかとは、思います」

 

かつて神隠しにあり、妖怪などが見えるようになった青年、叶義。

彼の相棒は、つくれないものはないという美貌の青年、牡丹。

二人で飴屋を営む彼らの下には、通常の飴を求めるお客の他に……妖怪を象った「妖怪飴」を必要とするお客が訪れる。

 

それは別に噂を聞いて足を運ぶとかではなくて、運命のように彼らの前に、問題を抱えた人が転がり込んでくるんですが。

叶義の友人、道理だったら彼がお人よしだからというかも知れません。

多くの人には見えずとも、人の世界の傍には妖怪たちが居て。時に幸いを、時には不幸を与えてきますが……

 

飴屋の二人、とくに叶義の方が真摯に対応しているのが、何と言いますか嬉しかったですね。

人と妖怪の境で、上手く生きている。幼少期に境を区別できず、踏み込み、神隠しにあった叶義ならではの距離感や葛藤が読んでいて楽しかったです。

あやかし飴屋の神隠し (メディアワークス文庫)
紅玉 いづき
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-07-25

純真を歌え、トラヴィアータ

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「だからお前は――お前の答えを探してくるんだ」

 

幼少期にみたオペラに撃ち抜かれ、声楽の道へ進んだ椿。

しかしあるコンクールで倒れ、トラウマに寄り歌えなくなって。

音楽大学を辞め、別の学校へ進学し……そこで、オペラの自主公演を行うサークルに出会う。

 

ずっと打ち込んできた音楽を捨てたとこに、苦さや虚しさを感じながらも、音楽が好きな気持ちは変わらず彼女の中にあって。

多少錆びついているとは言え、ピアノが弾けるという事で伴奏として参加する事に。

新しい環境、新しい出会い。

それらに良い刺激を受けて、今までの自分に無かった視点なんかも得て。

……それでも、彼女は歌えなかった。

 

合宿に参加して買い出しに出た先で、一緒に音楽の道を選んだ幼馴染とばったり会って。

道を違えた事を責められ、軽く言い合いになってました。

幸い同行していた椿の先輩がその場はとりなしてくれましたが……

苦しいままならば、答えを探さなくてはいけないと彼女の背を押して。突き放したわけじゃないですよね。

自分の限界をどう推し量るか、どの道を進むのか。それを選ぶのは、自分でなければならないでしょう。

 

誰かに言われたから、では言い訳になる。

勿論、簡単な話じゃないです。打ち込んできて、才能というものに打ち負かされて。そういった絶望を、改めて見ろと言う話なんですから。

苦しくない筈がない。悲しくない筈がない。打ち込んできた時間が、努力が、夢見た場所に届かないなんてひどい話で……そして、珍しくもない、話です。

 

でも、気付いてしまったからには、それを飲み込まないことには、立ち止まったままなんですよね。

椿は、そして黒田は。絶望を超えた先へ、一歩足を進めたのだと。満足と愛。それは、十分な理由でしょう。

才能がないからって歌ってはいけないなんて法律があるわけでは無し。挫折を知ってなお進んだその姿を、私は尊敬します。

作中ではオペラサークルが舞台ですが、オペラの知識がなくとも読める、良い作品でした。




死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録

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『助けたかったんだ……それだけだった……なのに』

 

やがて死を迎える人の幻影が見える『僕』。

それは普段は薄い影のようだが、死が近づくにつれてどんどんと濃くなっていく。

『僕』は何度か、幻影を見て死を食い止めようとしたものの、失敗し、折れてしまった。

 

不登校になり、フラフラと日々を過ごす中で、ある幻影に救われた。

溜め込んでいた感情を吐き出すことで、心の安定を得て――その幻影の『君』に恩を返したいと、彼女の下へ足を運んでいた。

幻影が濃くなったら、彼女の死が近づいた、という事だから。警告ぐらいは出来るだろう、と。

 

近いうちに死ぬよ、と言われて信じてもらえることはほとんどないけれど。

いざ、彼女と出会った時。危険を知らされた彼女は――ちゃんと話を聞いてくれた。

幻影に訪れる死を遠ざける為に協力もしてくれた。

 

いくつかの幻影は実際に死をもたらす事件とかを阻止する事が出来てました。

命を救えたことは素直に喜ばしいですけど。

多分、それ以上に『僕』が救われてるんですよね。

あまり語りすぎるとネタバレになってしまうので難しいな……少し前の作品ですが、オススメです。




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