気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

講談社タイガ

小説の神様

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「俺は、お前が屑だとは思わない。退屈だとも、空っぽだとも、日陰だとも思わない。お前は凄い奴だよ、一也。お前は、それを当たり前のようにできるから、気付けないんだろう。けれどお前は、俺達では決してできないことが、できてしまえる人間なんだ」

 

学生で小説家デビューしたものの、鳴かず飛ばずな千谷一也。

物語を書く意味を忘れ、どうすれば売れるか、という部分ばかり気にするようになって。

悩める後輩から相談されても、割とばっさりと切り捨てるというか……

「小説が人の心なんて動かすもんか」と正面から行ってしまう辺り、かなり余裕がなくなっている感じはありますね。

そんな彼が、同い年の人気作家小余綾詩凪と出会い、二人で合作を作成する事に。

 

一也が、小説家であっても先が見えず絶望の渦中にいるので、終始暗いんですよね。

後半ようやく多少巻き返してくるんですが……そこに至るまでが合わない、って人が出てしまうんじゃないかとはちょっと思いました。

一也の友人でる九ノ里がいい性格していて、彼が居なかったら、一也は詩凪と会う前に心折れて筆をおいていたかもしれない。詩凪の方が抱えている問題にも気づけなかったかもしれない。

いい友人を持ってますねぇ、ホント。巡り合わせってこういう事だと思いますが。

支え合いながら、一つの作品を書き上げた彼らは止まることなく、次なる目標へ進んでいく。

 

書店員として、一読者として、辛い部分はありましたねぇ。

部数の話とか、売り上げ見込みから打ち切りになる話とか。よくある話なんですよ。よくあるからって、慣れるかってそんな筈はない。

作者が、どれだけ熱を上げていても、2巻の原稿が既に編集者の手に渡っていたとしてもそれが形になる保証はない。

 

最近は打ち切りになるまでの速度も、早くなってきてる感じがしますし、ネットがあるからすぐに情報が拡散していく。

良い評価が広まって、売り上げ伸びて重版につながるなんて流れなら歓迎ですが。酷評されてもそれが広まってしまう。

言葉によって傷付けられることだって、ままあるのです。それでも負けずに、何かを書き続けている二人の事は尊敬します。

 

小説の神様 (講談社タイガ)
相沢 沙呼
講談社
2016-06-21
 

大正箱娘 見習い記者と謎解き姫

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「――命を絶つのは、なりません。ならないんですよ。若いみそらで、女だからと、死んでしまうことはならないと思うんです」

(略)

「だって、こんなに。残されるものはこんなにも、悲しいのだから……」

 

時は大正。

主人公の英田紺は、新米の新聞記者。

「魑魅魍魎や怪異、そういった話をまことしやかに、あるいはそんなことなどなかったと証明するために」記事を書いている部署に所属していて。

最も上司と紺くらいしかいない零細部署で、新人の紺があちこち派遣されて、調べて……と行動している部署なんですが。

 

ある日、「呪いの箱が倉から見つかったので処分してほしい」という依頼が舞い込んで。

上司から「箱娘」なる、一風変わった存在の話を聞き、会いに行くことに。

箱にまつわる厄介ごとに相談に乗る娘、うらら。

紺は厄介事ばかり持ち込まれる部署で、走り回りながらうららとの交流も増えていき。

 

閉ざされた箱の話……と言う訳ではなく、様々なものに振り回される女性たちを描いたお話でありました。

旧家に嫁いだ女、舞台女優、妹を亡くした姉など。彼女たちにはどこか諦観が付きまとって。

もう取り戻せぬ物に思いを馳せたり、叶わなかった願いを胸に抱いていたり、喪失を嘆いたり。

そんな彼女たちと向き合う紺は、未だ癒えぬ傷を胸の内に負いながら止まらず、進み続けている強い人で。

 

「だってあなた、これだけ傷ついても」

(略)

「救いたいとは言っても、救われないとは、一度も言わないんだもの」

 

と作中で評されていましたが、まさにその通りで。

若く、無謀で無鉄砲で。見ていてハラハラしますけどね……。

紺が交流を続けている箱娘にも、並々ならぬ事情がありそうですが、その辺りの事情に触れる続編が出てほしいものですが……未だ出てない所を見るとどうだろうか。

 

晴追町には、ひまりさんがいる。 はじまりの春は犬を連れた人妻と

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「他人にお節介をやいたり親切にしたりする人間は、自分も淋しいんだって。だから淋しさに共感して、放っておけなくなってしまうんだって……他人の受け売りだけど」

 

心に傷を抱えた大学生の春近。

片道2時間ちかくかけて実家から大学まで通っていたが、ある事情から一人暮らしを始めて。

それは心機一転してのものではなく、傷から逃げ出すためのもので。

 

「なにをやっているんだろうか」と自分でも思うのに、変わることはできず。

悩んでいる時に、犬を連れて散歩している人妻、ひまりさんに出会い。

彼女に相談することで、憂鬱な気持ちが少しマシになった彼は、少しずつ変わってく。

 

通学時間が短縮されたため、サークルに入ろうかと動き出し、交流する範囲を広げてみたり。

おせっかいな性分がでて、いろんな問題に巻き込まれたり、解決のために動き回ったり。

まだまだ不慣れな部分もあり、振り回されるばかりだったり、動いて失敗したりなんかもしているんですが。

 

でも、周囲には優しい人がいて、相談に乗ってくれる相手もいて。鬱屈していたものを上手く昇華して、いい方向に変わることができたんじゃないですかね。

とりあえず、当初抱えていた問題はマシにはなりましたが。彼自身がもうちょっと報われてほしいかなぁ、とも少し思いました。

 
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