気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

感想(文芸)

『Unnamed Memory 試し読み用書き下ろし短編』を読もう

※(19年2月16日追記)
無料の期間が終了したため、配信終了したそうです。
ややこしいのでリンクは解除しましたが、推しを推す為に記事は残しておきます。

『Unnamed Memory』が好きなんですよ。
えぇ、『Unnamed MemoryⅠ 青き月の魔女と呪われし王』の感想書いた時にも、好きだとは言ってましたが。
発売以降ツイッターでふと思い出すと『Unnamed Memory』の話をしてたりするくらいには、思い入れのある作品です。

そんな『Unnamed Memory』の試し読み用描き下ろし短編が今ならkindleで無料!
というアピールの為だけに記事を書くくらいには、推してます。
なんか設定の問題で、kindle版公開から少しの間は99円設定になってたんですが。
無料まで待ちきれなくて課金してました。
友人に倣って軽率に推しに課金してしまう軽率の民を名乗ろうかしら……

「そろそろ結婚する気になったか」と王子が聞いて「何寝ぼけてるんですか」と魔女が返答する。
二人のやり取りが、読んでいて楽しいです。
でも、この軽い部分は彼らの一面でしかなくて。
この短編で言うと「そうか……分かった」とオスカーが言った後に見せた強者としての姿が、その隣に並んで色あせない魔女の笑みが、美しいと思うんですよね……

短編は短編で面白かったんですけど、あくまで試し読みの断片でしかないので。
気になったらぜひ、書籍の方も手に取ってほしい。
ACT1とACT2、それから続くSideStoryがWEBでは展開されていますが……現状ACT1までしか書籍化されないとか言う話で、悲鳴を上げてるので。

Unnamed Memory 試し読み用書き下ろし短編
Unnamed Memory 試し読み用書き下ろし短編 [Kindle版]
古宮 九時
2019-02-08





つれづれ、北野坂探偵舎 物語に祝福された怪物

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だから、雨坂続が完成したとき、編集者としての佐々波蓮司は必要なくなるだろう。

それは悲しいことではない。

むしろ、夢のような。奇跡のような、喜ばしい未来だ。

 

シリーズ完結巻。

作家と編集者の業が描かれているように感じられて、好きな作品です。

それが一番濃く感じられる4巻の「感情を売る非情な職業」が一番のお気に入りではあるんですが。

完結となる今回も作家の我がままな面、人間味のある面など多くの顔が見られて楽しかったです。

 

二年の時が流れたところから始まる本編。

佐々波は喫茶店店主から編集者に戻ったし、北野坂の店は、パスティーシュが運営する形になった。

ユキは女子大生になって、ノゾミは幽霊の身で色々と状況を動かそうと手を打って。

雨坂続は病院のベッドで寝たきりで、指先の世界で、文章を書き続けていた。

 

好きな場面がたくさんあります。

冒頭の天才についての佐々波と作家のやり取り。小暮井ユキが「落書き」をした所。

佐々波のプロッフェショナルについての言葉遊び。

ユキがノゾミの依頼に躊躇わなかったところ。彼女が、答えを考え続けていたこと。

聡一郎が語る「人間には書けない本物の小説」の話。

「錯覚でも、わかると答えたいことだって、あるじゃないですか」というユキの言葉。

佐々波の「天才は、祝福されていなきゃいけないんだ」という願い。

 

2年の間で変わった事があって、もっと超然としてるかと思った作家が迷ったり、パスティーシュさん好きだったので、出番少なくて悲しかったりしましたが。

やっぱり河野さんの文章が好きだなぁ、と実感しました。

凄く雑にまとめてしまうと、書けない作家がもがいてる、って話なんですが。葛藤している様子ですら、美しいと思う。思えることが、とても幸せで。

これだから読書は止められないし、出版不況の中で書店員続けられるんだよなぁ。



本と鍵の季節

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そうしながら、僕は友を待っていた。

 

図書委員をしている僕と、皮肉屋の友人松倉詩門。

二人のもとにはなぜかいくつもの謎が舞い込んできて。

同じ図書委員の先輩からの相談、割引目当てで連れ立って行った美容室での変事などなど。

思考や行動のスタンスに違いがある二人が、つるんでる様子がなんか好きです。

 

帯には「爽やかでビターな図書室ミステリ」と書かれていましたが。

謎を解いてスッキリ! って形ではなく、目の前にある謎を解き明かしても、明らかにならない情報もあって、どこか不気味な余韻を残している。

 

確かに苦くて、世知辛い。

「どんなに立派なお題目でも、いつか守れなくなるんだ。だったら守れるうちは守りたいじゃないですか」と口にできる高校生がどれほどいるだろう。

その発想に至るまでの経緯を思うと胸が痛む。

 

けれど、その苦さを飲み込んでなお、変わらずに進む彼らの様子には脱帽する。

だってそうでしょう。謎解きをして、人の身勝手さに振り回されていたのかも知れない、と思って。

それでなお次の頼み事を受けているのは、性分といえばそれまでかもしれませんが、凄いことだと思いますよ。

願わくば、二人がこのまま変わらず居てくれますように。


本と鍵の季節 (単行本)
米澤 穂信
集英社
2018-12-14


活版印刷三日月堂 雲の日記帳

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「運命なんてものはないですよ。みんな自分で決めなければならない」

 

シリーズ完結巻。

これまでの仕事、これまでの縁。

それらがつながって、三日月堂の未来になるというのが良いなぁ。

「星をつなぐ線」、「街の木の地図」、「雲の日記帳」、「三日月堂の夢」の4話が収録。

プラネタリウムの星空館。開館時に作った星見盤の木口木版を使って、リメイク版を作る話。

色々と時期が良かった。弓子が平台を動かそうと決意した後でなければ、縁をつないだ後でなければ、三日月堂に辿り着かなかったでしょうし。

 

そこからまた縁がつながっていくわけですが。

星座館でバイトしている学生が、課題で作る雑誌を三日月堂で作ることになって。

それを販売するために借りた店舗の店主についての話が始まり……三日月堂で本を作ることに。

 

終わろうとしていた、継ぐ予定もなかった三日月堂が、ついにここまで来たのか、と感慨深かった。

何でも電子で出来る時代ですけど、やはり紙は紙でいいですよねぇ。書店員としては、やはり紙の本の良さを推したい。電子書籍の手軽さも良いものだと思いますけどねぇ。

本づくりの時も、全て昔のやり方にすることには拘らずDTPソフトとかも活用してましたし。
良い所どりして共存していければいいんですが……

 

視点が切り替わっていく流れが綺麗にまとまってて、読んでいて楽しい。言葉の選び方が、好みなんですよね。

作中の人物だと、「雲の日記帳」の水上さんの言葉が特に気に入ってる物が多いですねぇ。

「でも、思うんですよ。夢だけがその人の持ち物なんじゃないか、って」とか。

地の文では最後の方にあった、「本とは不思議なものだ。」から始まる6行が好きです。

願いを込めて言葉をつづっても、届かないかもしれない。けど、誰かに心に残るかもしれない。
何の気なしに紡がれた言葉に胸を打たれるかもしれない。

言葉には、物語には、そうした力があるのだと信じたくはありますね。
うん、希望が見えるいいシリーズでした。



きみのために青く光る

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 あるかどうかは分からないけど、まず「ある」と信じてしまう。その方がうまくいくから。

「……なんだか、いいかげんですね」

「人間の叡智ですよ」

 

青藍病という、心の不安に根付いた異能を発する病気。

原因も不明、能力の表れかたもそれぞれ異なって。

周囲の動物に攻撃される能力とか、相手の年収が分かる能力みたいな使い道どこよ、みたいな能力があれば、危険な能力もあって。

念じるだけで生き物を殺せる能力みたいな、ヤバさしかない能力もありましたねぇ。

 

別々の能力者について語られた短編がまとまっている形ですね。

「犬が光る」、「この世界に二人だけ」、「年収の魔法使い」、「嘘をつく。そして決して離さない」の4章から構成されています。

元々が心の不安に根ざしているため、思わぬ事態になって慌てふためく、何て場面もあったりしましたが。

概ね能力と向き合って着実に前進したのは良きことでしょう。

 

青藍病を研究している静先生がいいキャラで好きです。

動物が好きで、相談相手がペットを連れてきていると途中で撫でまわしたりしていて、何というか和む。

あと、発症者達が静先生と話をして、他の発症事例を聞いて感想を零してるところが個人的にはツボです。「おかしな人もいるらしい」とか「とんでもないのもいるそう」とか短い言葉で他の話とのつながりが見える、こういう演出が好きなんですよねぇ。

 


夜空の呪いに色はない

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「朝は夜の向こうにあるものです。正しく大人になるには、ひとつひとつ、誠実に夜を超える必要があります」

「夜?」

「暗く、静かな、貴女だけの時間です。夜がくるたび悩みなさい。夜がくるたび、決断しなさい。振り返って、後悔して、以前決めたことが間違いならそれを認めて。誠実な夜を繰り返すと、いずれ、まともな大人になれます」

 

階段島サイドと現実サイド、それぞれの思惑が入り乱れた状況。

捨てた方と捨てられた方、どちらにも言い分はあって、既に捨てた後であるため、判り合う事がない。

二人の七草による噛み合ってないというか、温度差の違う主張の場面とかは、いつも以上に青臭い感じがしましたねぇ。

 

それが悪いって言うんじゃなくて、七草という人間が、これまでより少し身近に感じられた気分。

理想と、妥協。全く持って不器用この上ない。でもそんな彼が嫌いにはなれない。

安達からは「歪んだ完璧主義者」と評されてましたね。「弱虫で、歪んでいる、痛ましい完璧主義者」とも。

彼の弱さが好きですけどねぇ。真辺みたいに直截的にはなれませんし。

 

今回は七草たち以外にも大人達の行動も結構多かった感じですねぇ。

トクメ先生が言った大人になるには夜を超えなくてはならない、という表現が今回一番気に入ってます。

物語的に見逃せないのは、かつて魔女だった時任さんが過去に一体何をしたのか、という事ですね。

全てはつながっているんだよなぁ、と。現実の方もかなり歪んだ形で状況が形作られているみたいですけど、ここからどういう答えを出すのか。

一歩を踏み出した彼らに幸いあれかしと祈っております。



蓮見律子の推理交響楽 比翼のバルカローレ

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「きみの詩が、たしかに聞こえた」

 

大学を留年しブログで小銭を稼ぐ引きこもりの葉山。

何の因果か、天才作曲家蓮見律子に興味を持たれ引きずり出されることに。

普段は色々と足りないけれど最終的に帳尻を合わせる男子と、多くの事を見通せてスペックは高いけれどどこかズレている女子のコンビ、というあたりいつもの杉井節な感じ。

久しぶりにこの作者の作品読んだのですが、安定している、って印象ですねぇ。

 

律子は、天才作曲家で演奏のセンスもあるけれど……作詞のセンスはなかった。

曲のイメージが固まるとどこだろうと楽譜を描き始めてしまう悪癖もあるようですけどね……

自室で発露するならともかく、公共の施設や歩道で始めたら駄目でしょう……

いや常識的に見て警察呼ばれたりするだろ、って以外のもありますが。実際少なくとも一度は呼ばれたみたいだし。

今のご時世だったら、なんか変な事してるって動画取られて、公開前の楽譜の情報がネット流出……とかもありえそうで怖い、とか思ってしまった。

 

詩情が分からない律子が拾ってきたのが葉山で。

もっとも、素人がいきなりいい詩をかけるはずもなく、ボロクソに言われながら、流されるまま、律子の近くで時間を過ごしていますが。

そうすると「天才作曲家・蓮見律子の知り合い」という情報を得た演奏家と知己を得たりとか、色々と葉山の周りにも変化が起きて……ある事件に遭遇する事に。

 

しかし、何とも物悲しいというか世知辛いというか、ここまで破綻する前に踏みとどまれなかったのか、と考えてしまいますが。

無理だったから、あぁなってしまったんだよなぁ。不幸な出来事が重なって、命が喪われることになってましたが。

もし偶然が重ならなくても、別のものが失われるのは避けられなかったわけですし。

生き残った人が少し前向きになれたのだけが、救いでしょうか。きっといつか、あの楽譜を世に広めてくれることでしょう。



米澤穂信と古典部

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タイトル通り古典部シリーズと作者の米澤穂信さんに焦点を当てた公式のまとめ本。

『氷菓』の発売が2001年でもう15年を超えてるんですね……長いなぁ。

最新作の『いまさら翼といわれても』で、結構千反田が揺れてましたので、その後どういう決断を下すのか、というあたりはとても気になっています。

どうか、結末まで見届けられればいいんですが。気長に、待ちたい……

 

古典部の新作短編「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」が収録されています。

ほぼコレ目当てで買ったといっても過言ではない。

掲載から本にまとまるまでが長いからなぁ……我慢できないので、掲載に気付いたら買う事にしてます。

 

時間軸としては、少し前ですね。

まだ一年生の大日向が部活に顔を出していた時期なので『二人の距離の概算』よりも前ですねぇ。

ある人物が描いた読書感想文について盛り上がる、というエピソードですが。

折木、省エネ主義の割に、色々と過去から飛び出てくる男だな……

「鏡には映らない」や「長い休日」などでも彼の過去の一部は描かれていましたけど。

昔から変わっていない部分があるんだなぁ、という感じもしてなんかほっとしました。

……黒歴史、とまでは言わないまでも何年も経ってから掘り起こされた折木自身はたまったもんじゃないでしょうけどね……

 

古典部メンバーの本棚の一部を作者が考えた、って言う企画とかも中々面白かったです。気になった作品に手を伸ばしてみたいような気はしますが。

既に積読が山になっているので、あれをもっと削ってからだな……

米澤穂信と古典部
米澤 穂信
KADOKAWA
2017-10-13


ジンカン 宮内庁神祇鑑定人・九鬼隗一郎

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「でも、ひとつ分かりました。なんにせよ人は死ぬんです。だったら、僕は自分が綺麗だと思うものにこだわりたい。自分がやりたいだけのわがままをしてから、笑って前のめりに倒れたい」

 

呪い緒を招く特殊文化財。

それを専門と知る神祇鑑定人九鬼と、就職に失敗し彼に拾われた夏目。

夏目は拾われた恩から九鬼を慕っている部分があるようですけど……

「怪しいものを持ち込まれてはたまらないから脱げ」と言われて実際に脱いで見せる人を信じちゃあかんのでは……

いや「僕は脱ぎませんからね」とちゃんと自己主張は出来てるので、まだ大丈夫かな……?

 

初っ端から眼帯のみ着用した全裸の男という驚愕の要素がぶち込まれて、衝撃を受けましたが……内容は面白くて、流石としか言えない。

片方はベテランで、片方は拾われたばかりの訳ありの新人。

現代において、魔術だとか呪いの品だとかの総称――特殊文化財を扱う部署に所属している二人がメインとなって話が進んでいきます。

古くは権威を持っているところだったようですが、どんどん影響力は落ちている様子。部長がノルマ果たさないと査定が厳しい、とか零してて世知辛い。

 

魔術という、一般的ではない手法に手を出した人、特殊文化財に魅入られた異端の側に寄っている人々を上手く描いている、と言いますか。

一話の「イェイツの日本刀」、三話の「月の小面」で描かれた呪いに囚われた人々の、情念は凄まじく、それを端的に描き切っているので引き込まれます。

それぞれの事情についてもまだまだ深く追求できそうですし、刊行続いてほしいなぁ。

 



大正箱娘 怪人カシオペイヤ

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「明けない夜は、あると思うかい?」

 

副題にある通り、今回は怪人カシオペイヤ絡みの事件が多く収録されております。

後ろ暗い秘密を暴く義賊のような行いをしているかの怪人の目的はなんなのか。

そして、もう一点。近頃町ではやっている、万病に効くとされる「箱薬」なる怪しい薬の存在。

あらすじの「少女・うららと調査に乗り出す」って言うのは割と語弊があるのではないかと思いましたけど。

 

相変わらず紺が、突っ込んでいって、悩んで、うららや周囲の人に助けてもらうというようなお話でありました。

彼女が踏み込まなければ、状況が変わらなかったかもしれない、という面もないとは言いませんが……見ていてハラハラするんですよね、紺。

 

彼女自身、覚悟があるから色々と進めてしまうのは危ういと思います。

いつかしっぺ返しを食らいそうな気もしますけどねぇ。

怪人カシオペイヤの標的に「箱娘」の存在も入っているようですし。そもそも「箱娘」予想以上にヤバそうな機密の塊みたいですし。

怪人が秘密を暴き回れる程度には都の闇は深いようですが……紺がそれに呑まれてしまわないよう祈るのみです。



プロフィール

ちゃか

 友人に「活字中毒っていうか読書中毒」と評される程度には本が好き。適当に感想を書いていく予定。リンクはフリーでコメントはご自由に。悪質と判断したものについては削除する場合があります。

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