気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

感想(文芸)

鬼人幻燈抄 江戸編残雪酔夢

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「名は聞かん。鬼を討つのは、私の役目だ」

 

あぁ、表紙がなんて寂しく美しいのだろう。

今回もまた、カバーをとるとまた違った様相を見せてくれるのですが。

あまりにもネタバレなのでくれぐれも読了後にご確認ください。

 

江戸編が終わる、第三巻。この次の章は、幕末編と言いまして。

時代が移り変わろうとしている、激動の序章でもあるのです。

2巻で培った縁は今も続き、蕎麦屋でいつもの顔ぶれと出会う日々。平和でいいですねぇ。

甚夜の下には変わらず鬼退治の依頼が来て、闇は変わらずにあり続けるんですけど。

 

夜桜の下で夜鷹と出会い、夕暮れの中陰陽師と相対する。

新しく出会った二人はどちらも食わせ物と言いますか。飄々としていて、甚夜を上手くあしらってる感じが好きです。

夜鷹の方は「あの人」の幻に取り乱したりもするし、秘密も抱えてるし、等身大の人間っぽくていいんですよねぇ。

 

三代目も好きですけど、あの人は抱えているもの多すぎて、こう一言では表し難い。

鬼を討つ技を継いだ陰陽師としての顔や、商売人の顔があって。昏く静かに「忘れたらあかん」と忠告するし、甚夜に対して手札を隠す。

けど予想外の事があると口を開けて魅入ったりもするんですよね。見ていて飽きない人だと思います。

 

甚夜も、時に斬りたくないものを斬りながら、色々な問題に対峙して。

名を聞く習慣を身に着けた彼が、名を聞かずに立ち向かった場面が、とても痛くて悲しい。

積み上げたものが壊れて、守りたいものは守れなくて。別れを突き付けてくる。

心をグサグサ刺されるような、辛くて、それでも読んでよかったと思える不思議な読後感があります。


巴里マカロンの謎

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「わかった。わたしがあなたを、助けてあげる」

 

ついに出た、小市民シリーズの最新刊!

実に11年ぶりだそうです。え、11年。そんなに……? でも秋期限定はリアルタイムで買ったから、そんなもんか……

今回は短編集で、公式Twitterによれば『冬季限定』は別に出す予定とのこと。ここにきて新刊が出たので、まだ待てる。

 

二人がまだ1年生だったころの秋から冬にかけてのエピソード。

小さな事件が4つ、収録されています。『巴里マカロンの謎』、『紐育チーズケーキの謎』、『伯林あげぱんの謎』、『花府シュークリームの謎』。

前三篇はミステリーズに掲載されていたもの、最後一つは書き下ろし。

待ちきれなくて、雑誌購入していましたが。『巴里マカロン』が初回2016年だからやはり4年ほどはかかる訳ですね……

『伯林あげぱんの謎』と『花府シュークリームの謎』が好きですね。特に後者の最後で、小佐内が珍しい姿を披露していて、可愛かったです。良かったね……

 

新規オープンした店舗を訪れて、マカロンを3種類選べるセットを注文した筈なのに……気付いたら更に4つ目が乗っていたり。

他校の文化祭で、小佐内さんが生徒に連行されて。手がかりを求めて、小鳩くんが消えたCDを探す羽目になっていたり。

相変わらずの日常で起きた謎に、筋道をつけて辿り着くのがお上手というか。二人のやり取りが楽しい。

巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)
米澤 穂信
東京創元社
2020-01-30

活版印刷三日月堂 小さな折り紙

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「自分の知らない世界を見たいんだよ」

 

前巻『空色の冊子』では、三日月堂にまつわる過去が描かれました。

シリーズ6弾となる今回は、三日月堂から広がっていく未来の話が収録されていました。

「マドンナの憂鬱」、「南十字星の下で」、「二巡目のワンダーランド」、「庭の昼食」、「水の中の雲」、「小さな折り紙」の6編が収録。

 

金子さんが朗読会をしたちょうちょうの一人と交際を始めたとか、ワークショップをした高校生たちのその後の話だとか。

当然なんですけど、これまで多くの人が三日月堂を訪れて、色々な経験をしていましたが。

たまたま多くの人々の歩く道が、三日月堂を通っただけで、彼ら彼女らには三日月堂の視点からは見えないこれまでとこれからがあるんですよね……

世界が広がった様で、とても楽しかったです。

 

直近の時間軸のエピソードが紡がれるのかと思ったら、「小さな折り紙」では子供たちの話になっていて、驚きました。

弓子さんが、三日月堂の店主としても立派になっているのが感じられましたし、家族を亡くした彼女が幸せそうな過程を築けている事にほっとしました。

読んでよかったと思えるシリーズで、とても素敵な番外編でした。


さよならの言い方なんて知らない。3

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「もっと気楽に、受け入れてもいいだろう? 生きてるのは幸せで、死ぬのは不幸だ。こんなことにどうして、理由がいるんだ。当たり前に信じていいだろう?」

 

ついに刊行された、架見崎シリーズの新章、書き下ろしの第3巻。

架見崎で最強と目される月生に対して、「平穏な国」と「PORT」が行動を開始。

2チームで共同して、月生を倒すという作戦。

さすがに以前、香屋が言っていた「登録名:月生のプレイヤーを倒す能力」ではありませんでしたが。

 

最大のポイントを持つ月生に、真っ向からは敵わない。そして、協力するとは言っても、ただ一人にポイントを集めて無効化するのも現実的ではない。

そこで、それぞれが能力を取得し組み合わせることで発動する、と。

平穏の前ナンバー2が進めていた交渉で、新しくその座に就いたトーマも、作戦実行に向けて動いて。香屋は人質のまま、できる範囲で情報を集めた。

小規模なチーム同士の争いはあったが、大手は準備に励み1ループが終わった。

そして、切り替え時にそれぞれが能力を取得しついに幕が上がる。新能力が一気に羅列されてちょっとびっくりしたと言いますか、読みこむのに時間かかった。

 

月生が刺客を最初のうちは軽くあしらっていて、さすが最強と目されたプレイヤーだなと感心してしまった。

平穏もPORTも、状況を動かしている幹部クラスの面々がそれぞれに思惑をもって、出し抜こうとして。そんな中に、まったく無力な香屋が指し手として介入するって言うんだから、いやはや全く大したものだ。

ポイントは無い。戦闘能力も。勇気もカリスマも。香屋には何もかもがなくて、どこまでも臆病で……だからこそ、怖いし強い。

限られた情報しか持たず、それでも事態を動かせる彼は、活用できれば最強のカードにもなりそう。

 

ゼロ番目のイドラのこと。PORTの新キャラ達や、ユーリィ回りの話。

ユーリィの能力の活用方法は独特で面白かったですし、タリホーの思惑はなんなのかよくわからなかった。あとは、新キャラであるパンか。色々抱えてそうな気配がしました。今後の活躍に期待。

明らかになった情報がいくつかあって、増えた謎もある。

 

月生戦が3巻の見所なのは間違いないですけど、一番衝撃を受けたのはやはりトーマの秘密でしたね。

香屋も、秋穂も。そうとわかっていて、招待に応じたのか。架見崎に足を踏み入れたのか。

そしてそれを、今まで黙っていたのか。どうして、そんな事が出来るんだ。

秋穂に怪物と称されるのにも頷ける。そんな彼が架見崎で何を為すのか。続きを期待したいですねー。


活版印刷三日月堂 空色の冊子

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「届かない手紙でも、書いていいんだよ」

 

三日月堂の新作。

5巻目にして、三日月堂の過去を描く短編集です。

『ヒーローたちの記念写真』。本編でも登場した「我らの西部劇」を執筆していた片山さん達の話。三日月堂で印刷しようと話を進めるまで。

フリーライターだったが、担当が入れ替わったりする中で、刷新についていけなかった。原稿を改変されたり、トラブルもあったみたいですが、揉めた事で敬遠されて仕事が減った。失敗した部分も丁寧に描いてるので、ダメージがデカい……

そして片山さんが急逝してしまい、未完の本となってしまったものが、未来で印刷されるんだから、縁だよなぁ。

 

『星と暗闇』は弓子の父親の話。『届かない手紙』は弓子の祖母の話。『空色の冊子』は弓子の祖父の話。と三篇弓子の家族のエピソードがあったのは嬉しかったですねぇ。

いや、弓子の父が結婚して妻を亡くした下りだったり、祖父視点は祖母が亡くなった後の話だったりと、要所で弓子の過去の重さが解像度増してって、痛いんですけどね……

それでも、みんなで一緒に食卓を囲んだ場面があったりして、温かさもあったから乗り切れた……

 

『ひこうき雲』は弓子の母カナコの大学時代の友人、裕美の話。

『最後のカレンダー』は三日月堂がまだ営業していた時に依頼を受けていた笠原紙店の話。タイトル通り、三日月堂を締める前に受けた仕事の話。「三日月堂の仕事を、お客さんにも覚えていてもらいたい。なんだかそんな気がしたんだ」という店主の言葉が、しっかり届いているのが見えてよかった。

最後の『引越しの日』は、弓子が三日月堂に引っ越す時の話。大学の時の先輩が出て来て、彼女と弓子がお互いにいい影響を与えていたようで、ちょっとほっとしましたね。

いや、久しぶりの新刊でしたが満喫しました。たしか6巻も出てるはずなので買ってこなくては。


さよならの言い方なんて知らない2

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「ほんの幼い少年で、実力は未知数です。でもなぜだが、彼の言葉を無視する気にはなれないな」

「それは予想屋というより、詐欺師に向いた才能だね」

 

架見崎でついにトーマと再会した香屋。

かつての親友は、2年余りをこのループする街で過ごし、最大の領土を持つ「平穏な国」に所属して、それなりの立場を獲得していた。

香屋と秋穂が一緒に架見崎に来たけれど、この二人、かなり別行動してるんですよね。

それでも相手の事を分かっている感じが好きです。

 

戦闘力が無い香屋が、トーマの手も借りながら情報を集めて、架見崎で勃発した争いに介入するのが楽しい。

闘う力がないから、事前に準備したり交渉したりして。手札が足りないと嘆きながらも、どうにか成果を上げている辺りが凄いな。

良い予想屋と言われたり、詐欺師呼ばわりされたりしてますが。どの評価も納得できる部分がある。

 

そんな彼の本質が臆病者で、だからこそ行動するという姿が、どうしてか眩しい。それはトーマが、彼がいることで未来に少し希望を持てると思っていたのと同じような気持ちなんだろうなぁ。

結構あちこちに変化がでて、これからどうなるのかが気になります。秋穂とコゲが気づいた、架見崎の秘密、というか彼らの違いとかもありますし。3巻が楽しみ。


十二国記 白銀の墟 玄の月 四

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「……奇蹟的な存在だから真実だと見做される……」

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「台輔自身がそう言っていたんだそうだ。天啓が真実として通用するのは、麒麟という存在が奇蹟的だからだ、と」

 

「耐え忍ぶに不屈、行動するに果敢」。それが戴の気質だと思っている。

幼少期の泰麒は、それと真逆だと言われていたが……驍宗様は、それと異なる評価を下していたという。

うん、彼の目が正しかった。三巻最後で描かれていましたが、王である驍宗自身が、それを体現しているのがまたいいですねぇ。

 

閉じ込められ、それでも道を探し続けた。命を繋いだ。可能な範囲で祀を欠かさなかった。

……そして、ついに彼のありかに目星をつけた配下が、助けに駆け付けるより先に、自分で脱出して来るんだから、傑物と言うほかない。

魔窟で少ない味方と戦い続けた泰麒と、良い主従ですよ本当に。

李斎たちの念願かなって、王との合流が叶い、これで全てが収まる……と安堵した隙を突くように、苛烈な展開に引きずりこんでくるのだから、作者様は容赦ない。

 

いやはや、阿選も思った以上にしぶとかったというか。

反抗勢力が、耐え忍びついに反撃をという場面で的確に叩いてくるんだものなぁ。

恵棟が結構好きなキャラだったので、容赦なく切り捨てられ、病に囚われてしまったのが辛くて辛くて仕方ない。

 

再び王を迎え反撃しようとした。しかし、王は捕えられてしまった。

もはや打つ手はないかもしれない。それでも、と。驍宗様を処刑しようとする場所へ、駆けつけた人々が居たから、何とか窮地を脱する事が出来た。

 

いやはや正直、あそこまで状況を整えたところからひっくり返されたので、残りページを見てバッドエンドにはならないよね?! と不安になりながら読みました……

泰麒が、王の下へ馳せ参じようとした無茶には震えた。元より怪我をした身でどこまで、無理をするんだ……

多くを取りこぼした結末。ハッピーエンドと呼ぶには、失われたモノが多すぎる。けれど、それでも。王旗と麒麟旗が掲げられた場面には、感じ入るものがありました。

 

読み終えて、記事を書く前に他の方の感想とかもつらつら見ていたのですが。最後の挿絵。

戴の史書の厚みが、この王朝が長く続くことが約束されたものだという解釈があって、それが素敵だと思いましたねぇ。

来年刊行予定の短編集で、戴の落ち穂拾いをされる予定だそうで、泰麒と王のやり取りとか、色々描かれると嬉しいです。恵棟のように病んだ人々、麒麟の奇蹟でどうにかなりませんかね……無理かな……


十二国記 白銀の墟 玄の月 三

ico_grade6_4                                                              

(前略)けれども、結果を得たいと思うその気持ちこそが、結果から身を遠ざけるのだと――これは修行者の心得なのですが」

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「修行に成果を求めてはならない、と何度も師に言われました。それは修行をなまくらにする、と」

 

魔の宮廷で、泰麒の行いに迷いを得た項梁。

話し合い、その真意を知る序盤の会話が好きです。

慈悲の生き物である麒麟ではあるが、泰麒は角を失い病んだ果てに、策を練り疑う強さを得た。

それは、確かに強さと表現するべきものだと思います。ただ、泰麒に向いているかと言うと、どうしても過去の幼い姿がよぎって、少し泣きたくなる。

P277の「もう子供ではないんですよ」、「たぶん、良くも悪くも強かになりました」という泰麒に「惜しくもあるが、心強い」と返す場面がありますが、まさしく同じ思いです。

 

一・二巻でかなり丁寧に、戴国の現状を描いていて、ここからどう展開するものかと思っていたのですが。

三巻は結構情勢が動いたというか、明らかになったことが多かった印象です。

国や朝廷にはびこっていた「病」の正体、泰麒の補佐であった正頼の現状と抱えていた事。

阿選の来歴や思考。琅燦と阿選の会話や、天を試そうとする行動原理の一部も語られました。琅燦の方は、まだまだ腹に抱えてる物がありそうですけど。

そして、終盤ついに明かされた、驍宗様の行方。

 

王を殺せば次の王が立つ。だから、初めから殺す気はなかった、とは書かれていましたが。

それにしたって大胆な封じ方ですね。それで生き延びている驍宗様も凄いですけど。

P99で語られた、「中日までご無事で」と言われたあとの驍宗様と麾下の会話が良かったなぁ。自分の分を、性格を分かっていて、戴を出ようとしていた下りは驚いた。

 

泰麒が、阿選の支配する宮廷で、少しずつ味方を増やしているのが、前へ進んでいると思えて楽しかったです。

潤達がいっていた「けれども知らずにいて受け容れることと、知っていて受け容れることの間には天と地ほどの違いがございます」言葉が、全てなんだよなぁ。阿選と麾下の間に、どんどんと壁が生じていたようですし。

王を遠ざけておいて、距離を取った阿選は、やはり王の器ではなかったというところか。

驍宗様と縁があった轍囲の民の在り様が、戴の現状にあって、とても眩しかった。


十二国記 白銀の墟 玄の月 二

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「なにがどうなっているのかは分からないし、たかだか将軍の俺には分かる必要もないことだ。俺は阿選様の麾下で、それは変わらない」

行ってから、友尚は寂しげに笑んだ。

「けれども、いまの事態は間違っている」

 

戴国の寒さを肌で感じ、王宮へと戻った泰麒。

少しでも民を救うために手を尽くそうとしてますが……阿選によって簒奪された王宮は中々の魔窟と化していて。

国内に蔓延している、突然豹変してしまう「病」が宮廷にもはびこっていて。

そんな中で、冒頭から阿選が泰麒を呼び出して。顔を見せていないとのことだったので、ここにきて動いたのはちょっと意外。

 

驍宗様の麾下だった琅燦が、阿選の傍で色々とやってるのが、なんなんでしょうね。

琅燦の言い出した「確認する方法」が荒っぽくて、それに乗っかる阿選といい麒麟をなんだと思ってるんだ。

表に出てこないとはいえ、トップが阿選であることには間違いなく、彼に帰還を許されたことで、事態が少しは進むかと思えば。

 

冢宰が邪魔をしてきて、亀の歩み。かなり丁寧に、沈みゆく朝廷を描いていたので、鬱憤を覚えなかったというと嘘になります。

とはいえ、阿選麾下の中でも、それぞれに思う所があって。恵棟のように泰麒に仕えてくれる人員が残っていたのには、正直ほっとしましたね……

 

一方で、驍宗様を探している李斎たち。

こちらも遅々として進まず。まぁ、確かに片腕の将軍が伝手を頼りに少数で探して、速攻で見つかるくらいだったら、この六年の間に誰かが見つけていたって言うのは、あるでしょう。

それにしたって断片しか情報が集まらず、なかなかもどかしかった。

 

P193辺りで琅燦たちが話していた、王と天命の話は興味深かったですけど。

王を封じて、実質的に位を奪った状況じゃなかったら、もっと楽しかっただろうなぁ。

こういう設定掘り下げるトークは好きです。ただ、天命を疑うような話が、真っ当な王のもとで出るはずもなく、今だから出来る会話なのが悩ましい。

しかしまぁ、二巻の終わりは凄まじかったですね。これで1か月待たされた人々は、どれだけ打ち震えた事でしょう。


十二国記 白銀の墟 玄の月 一

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「心からお帰りをお待ちしておりました……!」

 

18年ぶりとなる、十二国記の書き下ろし長編。

私が十二国記を読み始めたの、結構刊行が進んでからなので、そんなには待ってない……と言いかけて『丕緒の鳥』は初版で買ったので6年は待ってたのかと驚きましたね……

 

遂に描かれる事となった、戴のエピソード。

王と麒麟が消えた六年の間に、荒れたという国。

これまでは、ほとんどが伝聞でしたが、泰麒と李斎が帰還して、そこに暮らしている人々の様子が描かれると、想像以上で心に来ますねー。

驍宗様の行方が知れず、偽王が立ったときに反発はあったが……粛清と、心変わりの病によって頭を押さえつけられていた。

 

希望の光が見えず、ここに至るまでも既に多くの命が喪われた。

それでも、戴の人々は完全に屈してはいなかった。生きながらえて、各々が戦っていた。

特に、真っ先に偽王を批判し、壊滅させられた瑞雲観の道士たちには感服します。

少しでも多くの知識を残そうと奔走し、辛くも生き延びた面々は薬の知識を活用し、民を助けていた。

これだけ荒れた国にあっても、心までけだものに堕する事がなかった。戴の民の強さを見れた気がして、序盤から引き込まれました。

 

角を失った泰麒は王気を探すこともできない。

「喪失したからこそ、奇蹟ではない現実的な何かで、戴を救うために貢献しなければなりません」という、泰麒は本当に強くなった。

彼の場合は、強くならざるを得なかった部分もありますが。

あの幼い泰麒が、ここまで成長したのかという感動と、もうあのあどけない泰麒はいないんだなという喪失感とが同時に来て、情緒が大変なことになった。

項梁という味方を得て、驍宗様を探している中で、泰麒が突然李斎と別行動をとって……

向かった先に驚かされました。いや、妙手ではあるでしょう。

敵の胸中に飛び込めばそれだけ情報は得られますが、同時に危険なわけで。それは相談できませんよね……泰麒なりの戦いが実ってほしいものですが。


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