そうしながら、僕は友を待っていた。
図書委員をしている僕と、皮肉屋の友人松倉詩門。
二人のもとにはなぜかいくつもの謎が舞い込んできて。
同じ図書委員の先輩からの相談、割引目当てで連れ立って行った美容室での変事などなど。
思考や行動のスタンスに違いがある二人が、つるんでる様子がなんか好きです。
帯には「爽やかでビターな図書室ミステリ」と書かれていましたが。
謎を解いてスッキリ! って形ではなく、目の前にある謎を解き明かしても、明らかにならない情報もあって、どこか不気味な余韻を残している。
確かに苦くて、世知辛い。
「どんなに立派なお題目でも、いつか守れなくなるんだ。だったら守れるうちは守りたいじゃないですか」と口にできる高校生がどれほどいるだろう。
その発想に至るまでの経緯を思うと胸が痛む。
けれど、その苦さを飲み込んでなお、変わらずに進む彼らの様子には脱帽する。
だってそうでしょう。謎解きをして、人の身勝手さに振り回されていたのかも知れない、と思って。
それでなお次の頼み事を受けているのは、性分といえばそれまでかもしれませんが、凄いことだと思いますよ。
願わくば、二人がこのまま変わらず居てくれますように。