気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

オーバーラップ文庫

異世界魔法は遅れてる!10

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「誰も彼も、十字架を背負っているものだ。水明くんだってそうだよ。風光くんという十字架を背負っているから、だからああして、夢へ夢へと向かって進んでいけるんだ。だから君も、いつかそうなるっといい。そうすれば、キミも限りない夢(そこのないよくぼう)へと向かって、走り続けられる」

 

水明たちが地球へ帰還している間、レイジ達もぼーっとしているばかりではなく。

ハドリアス公爵が普遍の使徒と繋がっていたという事実を、国王に伝えなくてはならないとティータニア王女が言ったため、一時帰国することになって。

剣士としての姿を知っているティータニアから見て、剣に陰りが見えたことはないから裏切ってはいないだろう、ってことでしたけど。暗躍してるのは間違いないのが面倒というか、なぁ……

 

レイジがサクラメントを持った影響か、変な囁きを聞くようになったり、制御できてないけれど未来を垣間見たりだとか、変な挙動を見せるようになっているのが心配ですねぇ。

魔族側、勇者に与えられている恩恵を偏重させようと工作していて、その対象がレイジになりそうな気配がありますし、どうなるやら。

 

魔族側も大きな動きを見せていないそうですが、それは水明の考察通り新しく強い魔族を作り為に、弱いコマを削っているから。

その中で、魔軍の将であるムーラが魔王ナクシャトラから命じられた人間の国への侵攻を命じられていたところ、リシャバームが魔王からの許可をもらったと言ってちょっと介入してきたりもして、敵側もピリピリしてる感じがしますねぇ。

そしてレイジ達が国へ帰還していたタイミングで、魔族の襲撃があって……転移によって国境を越えて直接王都を叩きに来る辺りは本気でしたけど、いくつかの思惑がまじりあった結果、完全包囲したりはしない温さも交じっていて。

敵の温さによって、王国側にも気のゆるみが生じかけていましたが。

そのタイミングで水明たちが帰還したのは、引きが強いというか。持ってるよなぁ。

 

初美が帰還した際に開祖から新たな技を授けられていたり、ハイデマリーが実力を見せるシーンがあったりしたのは良かったですね。

ハイデマリーは自分自身が魔術の基盤だから、異世界でも調整してしまえば問題なく魔法が使える、というの考察が正しかったのはありがたかったか。

水明も盟主からアドバイスをもらっていましたけど、また回答を見出せてない状況で。そこで魔軍の将と戦って痛手を負わされたというか、切り札一つ切らされたのは痛いか。

あの世界の魔術師の底知れなさがまた一つ描かれたとも言えますが……ボチボチ水明に異世界でも本気を出してほしさはあるんですけども。こっちはこっちでどうなるやら。



凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ3

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「……味山さま、なぜアレタ・アシュフィールドや、貴崎凛。綺羅星のように輝く彼女達が貴方に執着し、時に魔道のか、お分かりですか?」

(略)

「貴方が、他人を必要としない人間だからです」

 

プロローグが、探索者組合がダンジョンでの配信を解禁したことを受けて、アルファチームも配信を行うことにして。

怪物種の中では珍しい食事を怪物種のみに絞っている蛇・マザーグースを、別の怪物種オウサマガエルから守る、という一風変わった任務で。

 

味山がカメラ役なこともあって、アレタが普段と違う表情を見せることにコメントで愉快な反応がついていたのは笑えた。怪物種に飲み込まれて腹の中で暴れて脱出できる探索者がどれくらいいるというのか。

後のシーンでとある人物が、遺物を使って味山の情報を抜き出そうとしてましたが、そこでも「凡人」認定されていましたが。凡人とは……?

技能認定が能力の上限が定まっている、と記されていてそういう分け方であれば確かに彼は「超人」ならざる「凡人」なんでしょうけど。

 

雨霧さんの分析のように、味山の非凡なところな単純なスペックに現れない精神性だとかに現れていますよね……。

神秘を食べる度に夢の世界で元となった神秘の残滓と会話したりすることになってますが。初対面なら初対面なりの挨拶がある、と仕切り直し入れたりしてるの彼なりの哲学何でしょうけど、切り替えがハッキリしすぎてていっそ怖い。

 

味山、男連中とバカ騒ぎしたり綺麗な女性に鼻の下伸ばしたり、割と年頃の男っぽい顔もありますけど。戦闘時とか覚悟決まった時の彼は、また違う顔みせてくれるんですよねぇ。そういう所が良いと思っていますが、とは言え最後の挿絵はちょっと予想外の顔すぎるんだよなぁ。

耳の部位保持者である彼に目を付けた別の部位保持者が動き始めて。途中、衝撃的なページが挟まって、非日常へと踏み出すことになりましたが……それにしたって、大騒ぎ過ぎてこの後の展開が読めません。4巻の発売も決定したようですし、続きを楽しみにしてます。


魔王と勇者の戦いの裏で4~ゲーム世界に転生したけど友人の勇者が魔王討伐に旅立ったあとの国内お留守番(内政と防衛戦)が俺のお仕事です~

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「今やっておくと後で楽になるんだよなぁ」

半分は本当。ただ、後で楽になるかどうかは実はわからない。それでもやっておかないと後で手遅れになる可能性が無いとは言えない。

「それにリリーにもずいぶん助けられているから楽になっているんだよ。ありがとう」

 

フィノイ大神殿の戦いを経て異常に気付いたヴェルナーは、それを王国上層部へ報告。

「人に変身できる魔族」が王都に潜り込んでいる可能性を示唆された上層部が、速やかに対処に動いてくれたのはありがたかったですねぇ。

ヴェルナー、若手の注目株で色々と無茶ぶりされることもありますが、治安維持は流石に別領域。王太子の差配によって貴族や衛兵が動いていくことになって。

脳筋世界で武勲を挙げる機会だから、と奮起している人が多かったのはヴェルナーじゃないけど「本当にこの世界はもう……」みたいな気分になりました。

若手で家系的には文官のヴェルナーが名を挙げていることもあって、一部で暴走する相手も出てきたみたいですしね……。

 

でも、それすらも利用して次につなげているあたり、王太子殿下は本当に優秀ですよね。彼がスタンピードで失われるようなことにならなくて本用に良かった。これだけでもヴェルナーの功績は大きいですよ。

とは言え王太子殿下を救うことになったスタンピードの時のヴェルナーはまだ狭い世界で何とか生き延びようとしていたんですよね。ただ、彼の行動によって家族が救われたとお礼を言われたことで、より視界が開けるようになったわけで。

だから、という訳でもないですけど。今回もまたヴェルナーは地味に評価を挙げる行動を積み重ねていくことになったわけです。

 

王都内部の魔族討伐の時も本命の戦力は別だけれど、ツェアフェルト家の関係者を守るのは貴族の務めとして自家の戦力配置とかの指示をしっかりしていたの、好きなポイントですね。

時折ヴェルナー、「まだ学生なんですけど」とこぼすんですが、転生者というプラスがあるとはいえ学生と思えない実績を挙げてきたからなぁ……。

 

貴族らしい駆け引きにはまだまだ疎くて、グリュンティング公爵とか相手には良い感じに動かされちゃう場面もありますが……公爵はまぁ味方だからな。目をかけている若者にちょっと課題を出したりしてくるだけで……。

駆け引きで言うと、ツェアフェルトで預かることになった勇者の家族、特にメイドとして働くことになっていたリリーとの接点が増えて、他の貴族からの介入があった時に珍しく感情を出していたのは彼の性格が伺えてよかったですねぇ。

まぁ父親から怒りは武器にもなるけど扱いには気をつけろ、と指導されちゃう場面もあったわけですが。伯爵家嫡子である以上、必要な指導だけどこれまでの態度からすれば良い変化ともとられているから、ますます期待のハードル上がっていってる感はありますけども。

 

リリー絡みのイベントが増えてきてるんですが、市井の出で宿屋の娘であったことから、市民からも情報を集めているヴェルナーのサポート出来てたのは良かった。

あと、美術的な才能もあって、思った以上に拾い物というとアレですが。なかなか得難い人材をメイドとして確保できたのは、かなりの幸運なのでは。

 

ヴェルナーはゲーム情報を含む前世の知識で対策を練ってきていましたが……彼の記憶にない情報も増えてきて。彼も知らない敵幹部まで現れて、状況がどんどん変わっていく中で、彼が次にどう動くのかが楽しみですねぇ。

書籍加筆キャラのミーネと彼女の実家であるフュルスト伯爵家のエピソードも細々挿入されていましたが……あっちはあっちで厄介ごと抱えることになってそうですしねー。次も楽しみです。

凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ2

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TIPS€ お前は耳と同じだ。お前の人生にも、お前の命にも、なんの価値もない。お前は空っぽで、乾いていて、他人と本当の意味で心を交わす事もない。お前は1人きりで生きて、1人で死ぬ

 

「やかましい。――それでも続けるのが人生だ」

 

あめりやでの縁もあって、雨霧さんとの付き合い続いているのいいですねー。

……他国の工作員っぽくて情報収集って側面もあるんでしょうけど。彼女、個人的にも気になっているところも多分にありそうですし。アレタも相変わらずバチバチしてるし。

他人事だから微笑ましいなぁって気分になるけど、絶対に近づきたくない。なんなら女将さんの「こいつら趣味悪ゥ」って方が共感できる。

味山さん己を貫き通すタイプで、相手の善悪や力関係とかで態度変えないから、孤高になりがちな強者たちに特効入るんでしょうねぇ。

 

休暇を満喫していた味山はアレタに呼び出され、チームでとある仕事を受けることに。

それは、未登録の遺物所持疑惑のあった上級探索者トオヤマナルヒトの探索任務。

いやぁダンワルからしば犬部隊先生の作品に触れた身なので、ここで繋がりがハッキリ見えるの良いですねー。

ダンワルコミカライズ1巻でも調査報告書あげてる描き下ろしあったしな……。

彼らのアルファチームが本来なら受けるはずだった依頼があって、けれど1巻の騒動があったために仕事を減らした時期があった。トオヤマナルヒトは、それを代わりに振られた人物であり、そこで消息不明となった。

 

それに責任を感じてアレタが一人で依頼を受けようとしていたのは、英雄思考っぽかったけど、チームメンバーが彼女を一人にしない選択をしたの良かったですね。

昨今ダンジョン内で異変が生じがちなことと、場合によってはトオヤマナルヒトの遺物を回収できるかもしれないということで、各国が戦力を派遣する争奪戦のような形式になっていました。

味山のことを良く思っていない軍人だったり他の探索者たちからの横槍が入ってきたりもしてましたが。アルファチームは味山の事を信用していくれていたり、耳の力も駆使して実際に有用な情報提供をして、少しずつ評価を挙げていたのは良かったですね。

 

耳の異能を得た味山は、ヒントを得るその力を駆使して「神秘」を取り込んでいったりしていたわけですが。

水中活動技能を得られるキュウセンボウは1巻で得てましたが。今回の対象となったのが「鬼裂」という存在で……それは現代では名を変えて貴崎となっていた。つまりは、味山が以前所属していたチームであり、今も彼に関心がある後輩の少女の実家だったわけで。

そんな彼女と交流することで、確かな取っ掛かりを得ていましたけど。キュウセンボウほど素直じゃないというか。向こうから逆に試されていたの、怖すぎるな。

「お前が本当に味山只人であるかを試している」って、だって鬼裂側が「味山」という存在を把握して、その物差しを持っていないと測れないじゃん……。

 

4話の終盤に流れていたヤバいニュースだったり。1巻のプロローグみたいに、間に挟まっていた不穏さを感じる、推定:未来の味山の戦闘シーンといい、味山だけでも厄ネタの宝庫っぽいんだよなぁ。どうなっていくんだろう。

彼はあくまで「耳の耳糞を与えられた」……つまりは、耳そのものというか、その一部だけを持っている人間に過ぎないんですよね。

多くの被害を出したという耳の怪物が今回ついに登場したわけですが、いや本当に厄介過ぎましたね。耳の怪物単体でもおっかなくて、指定探索者であろうと犠牲になりえる強さだって言うのに、それを恐れた怪物種が常ならぬ行動をとったせいでより被害が甚大になっていて、白旗上げたくなるくらいでしたね……。

 

ヒントを聞ける味山は、他のメンバーよりも少しだけ適した行動をとりやすい状態になっていましたが。追い詰められた状況下で彼に与えられた2つの選択肢は、仲間の誰を殺して誰を救うのかの選択を強いるものだった。

その上で、別の可能性を模索してより危険な戦いに身を投じた味山、凡人と言いつつ光るものも持っていて、格好いい主人公だと思いましたね。ヤバさもマシマシでしたけど。



凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ1

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「――これは、予感よ、ソフィ。彼はそのうちすごい探索者になる。誰もが凡人ってさげすむ彼はそのうちきっと、星すらも超える探索者に。痛快でしょ?」

 

ダンジョン「バベルの大穴」が現れた現代世界。

そこで探索者として活動している味山只人は、指定探索者の中でも52番目の星と呼ばれる女性アレタの補佐役についているものの、当人には才能の輝きがない……タイトルにある「凡人探索者」であった。

 

最も、彼は少し前の探索で「耳の怪物」と戦って生き残った折に、特異な力を得たことで国の組織から注目を集める対象になっていた。

アレタの補佐であり、彼女から期待されている上に彼女自身も惹かれてる気配がなければ、即座に実験対象にされていた可能性がある危険な立ち位置でもありましたが。

でも味山が特異体質を得たの、「全世界同時に起きた記憶障害」の時期みたいで、それって1か月前なんですよね。味山、それ以前から探索者していたみたいですし……。

なんならその力を得たタイミングであろう「耳の怪物」との戦闘中ですら、アレタに対して「これは俺の探索だ」と言ってしまえる、尖ったメンタルを保持してる人物だったわけですが。

 

味山が得たのは耳の力。「ヒントを聞くことのできる」結構便利な能力ですけど、「それはお前の10倍は強い」とかそれじゃねーんだよ! みたいな情報もチラホラ出てくる、ユーザーフレンドリーではない設計ではありますが。

結局は扱い方次第で、重要なヒントくれることもあるので、そういう意味では味山はかなり上手く「耳」と付き合ってる感じはしましたね。

ちょっと耳が良くて、制限付きながらブーストも出来るけれど、あくまで素のスペックとしては凡人探索者に過ぎない。それでも、やりたいことがハッキリしているタイプというか、追い込まれたときに我を通そうとする在り方は見ていて楽しいので好きです。

あとルーチンなのか、戦闘時に端末に対して「味山只人の戦闘記録~」って定型の宣言をしてから戦いに望むの、地味ながら好きな描写ですね。

 

アレタが味山のこと結構気に入っていて、同じように粉かけようとする女性陣相手に毎回威嚇しに来てるの、飼い主を取られまいと威嚇するペットみたいな味があって可愛いと思います。

そこまでするなら早く付き合えば? とか思いますけど。あと、味山に惹かれてる女性陣誰も彼も個性が強いので、そのうち彼刺されると思います。刺されてもなんだかんだ生き延びそうだけど。

そもそもその威嚇しに来てるペット、国相手に脅しをかけて相手の譲歩を引き出せるくらいの爆弾を抱えた指定探索者という、この世界におけるトップランカー、なんなら怪物寄りの存在なんだけど。

 

この作者さんの作品、ダンワルこと『現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!』から読んでいて、繋がりを感じる部分もありましたね。

ダンジョンと探索者という設定とか、人知竜っていう単語が登場したりだとか。

この作品の気になるポイントとしては、プロローグがめっっちゃ不穏な気配しか感じないところですかねぇ。

現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!2

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「当たり前だろ。お前と一緒だよ、ドラ子。約束や契約は放り出さねえ。ロクなことになんねえからな」

欲望のままに生きることと、ルールを守ることは矛盾しない。遠山の中でそれは全く相反せずにある決まり事だ。

 

蒐集竜アリスとの縁を結びドラ子なんてあだ名で呼ぶ中になった上で、自分らしく行動することを決めた遠山鳴人。

彼は自分と似た夢を持つリザドニアンのラザールとの再会を目指し、スラムへと足を向けましたが……そこで財布を掏られてしまう失態を演じることになって。

 

まぁ、容易く逃がしてやるほど甘くはないわけですけど。スリの少年ルカは逃げた先で、カラスと呼ばれる組織の末端に絡まれて、それを遠山に助けられることになったりして。

そこからスラムの少年少女との縁が出来て、彼らの助けを得たことで遠山はラザールとの再会を果たしたわけです。

ただ、遠山と別れた後の孤児たちがカラスに目を付けられる羽目になって。逃げおおせた一人が遠山に助けを求めてきたりもしました。

 

最初こそ『賢い選択』として、助けない選択をしかけていました。矢印の導きもまた、カラスという組織は強大な組織であり、ラザールと一緒に逃げおおせたいのなら敵に回すべきではないと度々警告を発してきていたわけですが。

見捨てるという選択が出来なかった遠山、結構好きです。その決断によってルートが消失して「もうめちゃくちゃだよ、これ」と自我出してきたりするの正直笑っちゃった。……でも、これ超常の存在関係者の自我なわけで、意識あるのは怖くもある。

 

スラム付近で活動していたカラス一派を皆殺しにしたけれど、子どもたちの内リダが致命傷を負っていて。

どうしようもないか、と思われたところで蒐集竜との一件で姿を見た、聖女が接触してきて。注目の対象である遠山を監視し、あわよくば恩を売ろうと考えていたみたいですが。

聖女の上役である大司教としても予想以上の大事を起こしてきたの、読者目線だと正直笑える。それに振り回される人々からすると、笑いごとじゃないですけど。

 

そうやって仲間を増やしていたわけですが、リダを救うための契約で早急に金を稼ぐ必要が生じて。冒険者になって成り上がるという手法を選んだわけですが。

教会が「発酵」とかの知識を秘匿していたり、正義を執行するために敵対勢力を殺すことにためらいが無い人物が騎士の第一位にいるのとか、爆弾多すぎて怖いなぁ、というかなんというか。

 

遠山も敵対者には容赦しないタイプの人材ではありますけど、そんな彼が登録しようと冒険者ギルドに行った時に、「彼との出会いを覚えていないウェンフィルバーナ」と遭遇して敵対することになったり、うっかり地雷踏んだりしてたのは因果応報感。

それでも蒐集竜との縁があったり、自前の口車とかもあって生き延びていましたけど。

いざ仕事をしようとしたら門番の教会関係者ともめたり、遠山たちの利益を横取りしようとした先輩冒険者と敵対したり、教会の騎士第一位とバチバチになったりするの、遠山の引きが強すぎて笑うしかないな。

異世界に遠山を送り込んだ超常の存在が「『難しい』から『すごく難しい』になるくらい」と感傷によって生じた難易度の世界観だなぁ……って感じですが、そんな中でもなんだかんだ命を繋いでるタフさが素晴らしい。



現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!1

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「やることがたくさんある。めんどくせえ、だがその全てがたのしみだ。その全てが俺の欲望に繋がる道だ。道中の苦労、困難、試練、それを達成した時の悦び。ああ、そうだ、その全ては俺のもんだ」

夢を叶えるために超えるべき試練、それらすべては挑む者にのみ与えられる報酬でもあるのだ。

 

魔物が蔓延るダンジョン「バベルの大穴」が観測された現代。

そこではダンジョンに挑む探索者という職業が生まれており、主人公の遠山鳴人もまたその一人だった。

上級探索者になりベテランと呼ばれてもおかしくない位置にいたが……仲間を逃がすために残り、致命傷を負ってしまって。

さらには沈殿現象と呼ばれるダンジョンの異常にも巻き込まれ、死ぬことになったわけですが。彼の在り方を超常の存在が面白がって、異世界に放り込むことに。

 

遠山はゲームなどで切り札を出し惜しんだ結果、使わずにクリアしてしまうタイプの人間であり、自らが死に瀕した際にも切り札の使用を躊躇ってしまったこと。

死の間際に、叶えたかった欲望を思い返していたこと。異世界で覚醒した直後は、死の間際に夢を見ているようなものだと割り切っていたこと。

覚醒したタイミングの遠山が、異世界の冒険者たちに奴隷と扱われる境遇だったこと。精神は現代のもので、異種族への偏見がなくリザドニアンから上手い飯をもらったこと。

様々な要因が作用して、遠山は異世界で自由に強欲に戦うことを決めた。

 

一方でそんな遠山に多大な刺激を受けることになるのが、蒐集竜アリスだったわけですが。

異世界においてトップクラスの実力をもつ竜。異種である彼女は、その力ゆえに孤独を感じていた。

ちょっと興味本位で冒険者の狩りにちょっかいを掛けようかと思ったら、それが遠山が蹂躙した冒険者一派の作戦で……混乱に満ちた場所において彼女は、面白い行動をとっていた遠山と、彼と連れ立って逃げたリザドニアン・ラザールに試練を与えることにしたわけですが。

 

ラザールの決断も、遠山の決断も好きだし。その行動の結果、遠山がアリスに興味を抱かれることになって。

竜が殺されることは、すなわち竜の番が決まるということでもあって。異世界側の人物たちは戦々恐々する羽目になって……。遠山も逃げようとはしたものの、一度は捕まって。相手の強さを踏まえた態度を取っていたけれど、最後の譲れない一線を侵されそうになった時には、対抗も辞さない覚悟があるの好きですね。

自分の中にハッキリとした軸があって、自分の行いによって起きるデメリットにもある程度自覚的で(異世界の常識に疎くて騒動引き起こしもするけど)、戦い抜く姿勢を示す遠山は結構好きな主人公ですね。

超常の存在に与えられた矢印の導きに頼るときもあるけれど、自分の方針にそぐわない時は、「従うかよ」って抗ってくれるのも個人的にはポイント高い。

 

遠山を異世界に送り込んだ超常の存在、大分きな臭いというか。推定:彼女は、ダンジョンの事を「私の箱庭」と呼んでいるし。「貴方」と呼ぶ人物に執着しているっぽくて、遠山に『貴方』になりうる可能性とやらを見出してるし、いろんなナニカが干渉しているのを把握しているっぽいし。

遠山は異世界に放り込まれそこで様々なイベントに遭遇することになりますが、どこまでが掌の上なのかは気になるところ。

 

ダンジョン内部で発生したサブクエスト「あるいは懐かしき再会」で出会った人物も、遠山を知っているような素振りをしていたりしたし。

彼を興味深く見ている人々の台詞、読み返すといろんな含意があるんだろうなぁというの、創り込まれた世界観の気配を感じるので、書籍版読了後にはWEB版も見に行きたいですね。

王女殿下はお怒りのようです5 邂逅、そして

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「まぁ、好きに呼んでくれて構わないわ。これからもよろしくね、ジーク」

「こちらこそよろしくお願いします、ドロッセル様」

 

公爵家で起きた反乱の鎮圧には王家からの兵隊も派遣されていて……。

ドロッセルの妹であるクリスタは、自身の行いに関しては認めたものの両親はみっともなく足掻いていて、どうしようもないですねぇ。

レティシエル以外の公爵家の面々が大なり小なり関わっていたことで、爵位はく奪の上王都から追放されることに。

一方でレティシエルは問題の早期解決に貢献したこと、今後彼女の持っている知識が必要になるだろうことから、軽微な罰に留められることに。

まぁ、実質公爵家が取り潰しになる関係で爵位こそ喪ったものの、学園長が監視者と言う名の後見人になることで、学園には変わらず通えるようになったのは良し。

 

友人たちも登校を再開したレティシエルとの再会を喜んでくれてましたしね。

ただ、大問題が解決したわけではなくて……精霊たちからの接触があり、情報提供してもらえることになったりしたのは、ありがたかったですね。

白の結社側の中でも頭領に近いだろう、とレティシエルが推測した相手が、彼女と同じく1000年前からの転生者であり……レティシエル自身と因縁があり、彼女が転生することになったきっかけを作った人物だった、というのは因果だなぁというか。

 

レティシエル視点の情報を聞く分には逆恨みっぽくて、ここまでの事をしてかしてるんだから逆に大したものだというか。

一応「この世界から魔術を滅ぼす」という別の目的も掲げていて、そのために準備を進めていたっぽいのが厄介ですねぇ。

白の結社に加えて、イーリス帝国が同盟を破棄して動き始めてるあたり、火種が多くて頭痛いなぁ。どうなるやら。

王女殿下はお怒りのようです4 交錯する記憶

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「他人から見れば、それは愚かに見えるかもしれない。でもそれがあなたの望んだ結果なら、それはそれでハッピーエンドじゃないかしら?」

「……」

「正しいも間違いもない、私は私の正義、あなたはあなたの正義を貫いた。それだけのことよ」

 

レティシエルは、以前得た権利を使い王立図書館に赴いて黒い霧についての調査を始めましたが、はっきりとした答えは見つからず。

むしろ謎めいたメッセージを発見して、謎が深まった感じすらしますね。

そんなある日、彼女の実家フィリアレギス公爵家の領地で暴動が発生したという知らせを聞いて。

侍女ニコルが病床の母を心配して休みを与えたタイミングの事件だったため、レティシエルは領地に急行することに。

 

原因となった公爵家の圧政を終わらせるため、長男フリードと対峙する流れになっていくわけですが。

二か月くらい前に興った新規事業のためとして男手を集め、酒が甘くなるからと鉛を混ぜ込んでいるとか、領内に毒バラまいてるじゃん……。

そもそも公爵家領内では数年前から飢饉が起きてるっていうし、これは酷い。横暴を働く傭兵団とズブズブだし、現地で信仰されている教会のシンボルを身に着けて、混乱を助長させようとしてるし。

……まぁその聖レティシエル教会は、黒い霧関連で暗躍している白の結社にも隠れ蓑に使われていたのですが……。

 

領地で起きたトラブルのために、クリスタもまた現地入りしてドロッセルと対峙することになっていたり。

レティシエルではなく、ドロッセルの過去の記憶を垣間見る瞬間があったり。

過去の王女の転生者というだけではなく、ドロッセルとしての描写も今後重要になってくるんですかね。



王女殿下はお怒りのようです3 暗躍せし影

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「……あなたを信じて、良かった……」

 

精霊王の2人はレティシエルに懐いていましたけど、他の精霊たちからするととんでもないことで、叱られている場面もありました。

魔術使いのレティシエルに対して敵意を向けて来てましたが、黒い霧への対処に協力したことで、一時保留にはなったのかな?

実家と縁を切って、自由を謳歌していたレティシエルの前に姉のサリーニャがやってきて。

直接乗り込んできたうえで探るような言動をしてきたり、まぁいい気はしませんよねぇ。その裏側で妹のクリスタをけしかけて、レティシエルの友人であるジークに接触し、彼を支援するからレティシエルを裏切れと唆しに動いているんだから、公爵家の人材は本当にもう期待できないな……。

ジークが、これまでの交流があるドロッセルの方を信じて、クリスタの誘いをはねのけてくれたのは正直痛快でしたね。

 

王国内部で大胆に活動していた人身売買を目論む集団に、友人が攫われて戦う羽目になったものの、彼女の知識にない力を振るってきたりしていたので、ただの人さらいとも思えないのが不穏。

それを退けた後、開催された学園祭で姉妹が絡んできた時もなんだかんだ撃退には成功していたので、ある程度の問題対処能力があって味方してくれる人もいる状況は助かりはしますが……。

人さらい側の協力者とサリーニャが接触していたりするあたり、目の前の問題には対処できても根治出来てない状況は不安でもありますな。いつか爆発しそう。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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