気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

新潮文庫nex

凶器は壊れた黒の叫び

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「現実の君たちなら諦められたことを、君たちは諦められないんだ。誰にだって大切だとわかる感情よりも、自分たちにとって純粋な感情の方を選んでしまえるんだ。僕は現実の君たちが、嫌いじゃない。彼らはいろんなものを諦めて、変化して、満点ではないけれど幸せになっていくんだと思う。ハッピーエンドのひとつの形だ。でも君たちは、あっけなくその結末を否定してしまう」

 

魔女について何かを知るらしい安達がこの島に現れた事で、島の状況は静かに、けれど確かに変化していって。

この島の歴史と、魔女の事情が紐解かれていって、引き込まれました。

想った以上に階段島がファンタジー要素強かったというか、あらすじの青春ミステリって文句とはどんどん離れているような気がしてきますが。

 

階段島の住人達は、「捨てられた」彼らは、その当時のまま変わらずにいて。

島にいる七草は、島にいる真辺はどこまでも彼らの理想を貫いている。

何かを変えるって事は大変だろうけど、同じくらい変わらずにいつづけるって言うのも困難な事だと思います。

 

一人で生きていけるわけじゃないのだから。他人との交流を、誰かからの干渉を、完全に排除しきることは出来ない。

或いは魔女が望めばそんなこともできるかもしれませんが、けれど階段島は基本的にそんな束縛をする場所でもない。

まぁ、今回は堀が彼女のルールを超えて動いた部分もあったりしましたが。

 

揺らがない彼らは、安達の行動の結果、魔女の仕組みについて知っても変わることなく、それぞれの道を行く。

階段島を嫌いだと叫び続けてきた真辺は、変わることなく魔女の過ちを指摘するし。

七草は、この島を綺麗だと思っているから、何とか守ろうと動く。

お互いを嫌ってるわけではないけれど、会話だってできるけれど、本当に大事なところを譲る気はない。

現実の彼らとはまた違う形で並び合う二人の結末がどうなるのか、気になります。

 

100万回生きた猫の哲学が嫌いじゃないですねー。

彼と七草が話していた「愛」についての話は楽しく読みました。

……あとは安達が引っ掻き回していてどうなるのかと冷や冷やし通しだったからなぁ……

 

 

汚れた赤を恋と呼ぶんだ

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泣き顔を笑顔にできなくても、コートで涙を拭けるなら、それを僕は幸せと呼ぶんだ。
愛する少女が傷ついたなら、臆病に傷痕をなでで、それを僕は恋と呼ぶんだ。

階段島シリーズ、第三巻。帯にて4作の刊行予定も出てますが、2016年秋だそうで……長いよ……今から待ち遠しい。
「引き算の魔女」。自分に必要のない人格を消し去ってくれる魔女がいる、という都市伝説。
あるきっかけから魔女の噂を追う七草。
……今回は階段島の外にいる彼らの話です。階段島にいる「捨てられた彼ら」の原典。けれど、捨ててしまってもやはり七草は七草で、真辺は真辺という気がしましたね。

前回のクリスマスの話で、ヒーロー志望の少年が必死に動き、泣きそうな顔になりながら弦を見つけた時。
答えを知りながらも、それでも探し物を届けた彼を見た時に、読んでいて泣きそうになったのを思い出しました。
「傷付いた顔をして、それでもここにきた彼を笑う事なんて出来ない」と真辺はそんなことを言っていましたが。
確かにその通りだと思いました。けど同時に彼は「捨てられてしまった」からここにいるという、階段島の真実を思うと、胸が痛んだ。
だって、あれだけ誰かの為に必死になれる自分を、彼は捨ててしまったというのだから。

けど、今回階段島の外にいる七草や真辺を見たことで、少し印象が変わりましたね。
結局彼らは不器用なんだ。引き算の魔女なんて都市伝説に出くわして、思わず捨ててしまったけれど、それを悔やむ人だっている。
喪失を上手く埋められずに、違和感を抱くこともある。捨てる前と後では変わったという実感もある。
でも、追い詰められた時に真辺が迷わず七草に電話をしたように。
七草が、多くの言葉を思考に費やし、真辺の涙を拭きとりたいと感じたように。
変化していくものが確かにあるというのなら。変わらないものだって、あるのでしょう。

七草と真辺は、理想が高いというか高潔すぎるんじゃないですかね。
理想的だと思うのがあって、それが変わってほしくないと思って。けれど変化を成長と呼ぶことも分かっていて。だからこそ、変わってほしくないという気持ちを、ある種の信仰を捨てた、なんてそう言えるもんじゃない。
「(前略)。それでも。汚れた赤を恋と呼ぶんだ。きっとそうだと信じるんだ。だって、ほら、こんなにも、彼女の涙を拭き取りたい」

七草と真辺は、二人でいれば上手いことバランスとれて失敗が減る気がしますけど。下手に離れようとするから自分のアンバランスさを自覚してしまうんじゃないのかなぁ。
大地とかとも現実で接点があるのは意外でしたが。
今回の謎はやはり、魔女を名乗りつつ「引き算の魔女」を探していた安達という少女でしょうか。最後には、階段島に辿り着いていたようですし、今度はまた島側で騒動が起きる感じですかね。

その白さえ嘘だとしても

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「あれが、悪ふざけだっていうんですか?」
「だってそうでしょう。貴女もよ。イヴのパーティーだからといって、なんでも笑って許されると思ったら大間違いよ」
「笑うわけがないじゃないですか」
(略)
「あんなにも傷付いた顔で、それでもここに来た彼を見て、いったい誰が笑えるっていうんですか」


捨てられた人々の住まう街、階段島。
この街でも時間は普通に流れていて。
だから、冬が来るし、雪だって振るし、当然クリスマスだってやってくるわけです。
外界との交流の手段を持たないこの島では、なぜか届く通販だけが、生命線となってます。
けど、クリスマスを前に、その通販がなぜか届かなくなって、不機嫌になる人とかも出てきて。
歪で楽園のようなこの島で、流通が途絶えるというのはかなりの問題です。

最低限必要なものは入ってくるものの、個人あての荷物がどうしてか来ない。
食料品はあるから生活は出来るけれど、それだけ。
そんな、突如として沸き起こった問題に接して、階段島の住人は何をしていたか。
ヒーロー志願の少年は、たった一人の演奏家のために、あるかも分からない弦を探す約束をした。
生真面目な委員長は、溶け込めないクラスメイトのためにプレゼントを探していた。
単純で純粋な少女は、この事態を引き起こした犯人を捜すために行動を起こした。
人付き合いのいい少年は、それぞれの友人の探し物を手伝いながら、階段島の謎に迫っていた。

まったくバラバラの探し物をしていたはずなのに、最後にはパーティーを行っている場所にキャラが集まるんだから、中々愉快といいますか。
違う話だったはずなのに、つながっていく流れは割といい感じだったと思います。
文章とか言葉回しとかは、やっぱりこの作者流の味があって好みでしたが、個人的に言えば1巻の方が面白かったかなぁ、という印象。
ちょっと前巻から間空いたから、その印象が薄れていたので読み始めはちょっとつっかえましたが、思い出し始めてからはするする読めました。
七草が派手に動いていないのに、どんどん階段島の深部に切り込んでいってる感があるので、結末がどうなるのかが楽しみです。


この部屋で君と

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「誰かに傷つけられた怒りや恨みを、その相手に似た誰かにぶつけるのって、簡単で楽な方法なんだよね。感情の処理の仕方として」
(中略)
「だから、そういう方法を取る人が、早く違う方法を見つけるといいなって願うばかりだけど。高畑君もさ、そういう人たちを見て絶望するんじゃなくて、自分に希望を感じさせてくれるものに目を向けて、それを大事にしたり、誇りに思ってみたらどうかなぁ」


一つ屋根の下で暮らす人々のアンソロジー。
読書メーターで他の方の感想を見ると、なんかスピンオフな短編を乗せている人もいるとかなんとか。
正直三上さん目当てで買ったからなぁ。
その内手を広げていきたい、と思わないではないですけど。
正直現時点で部屋に積読の山があるので、あれを消化しないことには、手を広げたら死ぬ。財布的にも、積読の消化率的にも。

流石にプロの作品。
同じテーマで手を変え品を変え魅せてくるというか。
それぞれの作家さんごとに個性が出てて、面白いは面白い。

掲載作の中できにいったのは、徳永圭『鳥かごの中身』、三上延『月の砂漠を』。
その次に飛鳥井千砂『隣の空も青い』ってところでしょうか。

『隣の空も青い』は、まとめると仕事と私どっちが大事なの、みたいな話といいますか。
すれ違いを感じ始めていたところに、出張の話が急にはいってきて、同僚と同室で過ごしながら、色々と考えていく話。冒頭に引用したセリフはこの作品からですねー。
ストーリーより、キャラの会話っていう要素がいい感じではないかと。

『鳥かごの中身』は、アパートの別の部屋で暮らしている少女。
母子家庭で母が帰ってこない。途方に暮れている彼女を青年は保護した。
少女を助けたつもりだったけレ度、交流を通して助けられていたのは彼の方だった。
まぁ、いい話だと思いますが。これ、一歩間違えると「少女を部屋に連れ込む事案発生」と警察直行コースだよな、ってツッコミ入れるのは野暮なんだろうなぁ。

『月の砂漠を』。
地震で妹を亡くしたのちに結婚した姉。
相手は妹の婚約者であった。亡くなったことを割り切れず悩んだり、とモヤモヤする部分はありますが。
色々と規約があって面倒な、住宅。どうしてそこを選んだのか。
ちゃんとキャラが立っていた感じがして好みではありました。

個人的には、作品ごとの色が違うので、評価上下して、平均するとなんかパッとしなかったかなぁ、みたいな結論になってしまうのがアレですけど。
まぁ、どれか1作くらいは気に入る作品あるのでは。
好きな作品と、そこまででもない作品が入り混じっていることがあるから、アンソロジーって難しいです。いや、気になって手に取っている以上、文句家立場じゃないと思いますがね。

この部屋で君と (新潮文庫)
朝井 リョウ
新潮社
2014-08-28

いなくなれ、群青

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どこにもいけないものがある。
さびついたブランコ、もういない犬の首輪、引き出しの奥の表彰状、博物館に飾られた骨格標本、臆病者の恋心、懐かしい夜空。
みんな、停滞している。未来につながることはなく、思い出の中で、寒さに震えるように身を縮こめている。それらは悲しいけれど、同時にささやかな安らぎも持ち合わせている。少なくとも彼らが、何かに傷つくことはもうない。


新創刊の新潮文庫nex。創刊ラインナップに気になる作家さんの名前が多すぎてかなり悩みました。
なんか一周廻って全巻買った自分は阿呆なんじゃないかと。
取り合えず創刊分はすべてそろえてあるので、その内感想は書きます。
紙質がなんか他の文庫とは結構違って、すべすべしていますね。いい紙だったりするんだろうか。中々手触りが好みです。

閑話休題。
階段島。この島には謎がある。
住人達は誰もが、この島に来た前後の記憶を失っている
島から出ることは叶わない。けれどなぜか荷物を注文すれば届いたりもする。
まー、メールとか電話とか外部に連絡は取れないという不思議空間なわけです。
そして最初にであった住人が彼らに告げる。
「ここは捨てられた人たちの島」だと。ここから出るには「失くしたものをみつけなければならない」と。
魔女という怪しげな存在と奇妙な事象が混ざっていたりはしますが、いい感じに青春モノとしてまとまっていたんではないかと。

捨てられた人々がいる島、ということですが別に厭世観に満ちているということもなく。
主人公たちは学生ですが、島にある学校に通ったりしてますし。
たとえば記憶を失っている事。魔女の異質さ。
メールは使えないのに、通販の荷物は届くこと。
随分とご都合な隔離された空間だなぁ、という印象がありますが。
決してそれをチープなものとして見せないのはさすが。

主人公は、悲観主義者を自称して島の秘密にうすうす気が付きながらそれを無視していた。
たた、かつてのクラスメイトが同じように島に来たことでその日常が変化していく。
この年でこんな思考、性格の奴がいてたまるか。もうちょと青臭さとか持てよ、と思わないではないですが。
その独特さが作品の面白さにつながっていると思うと中々。

ただ、今回のエピソードで、いくらかこの島に関する謎についても触れられていますしシリーズとしてどうやって続けていくのかが気になる感じ。
魔女についての話になるのか、主人公たちが別の問題を解決しようとするのか、別のキャラがメインになったりするのか。
あとは青春ミステリってあるけど、ミステリ要素そこまであったかなぁ、という印象。良質な青春モノであることは確かですけどね。
何や缶や言いましたが、やっぱり河野さんの文章は好きだなぁ、と思います。


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