気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

感想(ノベルス)

ヴァリアント・エクスペリメント

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「自分と違う誰かが自分と同じように思うと考えるのはオススメしない、という話を悠里に判りやすく説明できない。どういえばいい?」

(略)

「いろんな考えのやつがいるってことだよ。何と何を引き換えにしてもいいかは人によって違う」

 

前作の「夜を歩けば」と同じ世界観です。

作中に柊っていう研究者が名前だけ出てきてるけど、多分あの人ですよねぇ。

夜を歩けばでは「異能者(アウター)」という、異能を持ち、線の向こう側にいる人々の話が描かれていました。

その能力のほとんどは、例えば死角に潜めるとか、認識を焼くとか、思考を読めるとか、五感やらに影響を与えるものが多かったように思います。

 

今回登場するのは「異能者(ヴァリアント)」という、前作の彼らとは違う能力者。

最初に登場する異能者からして、右腕を鉄のように硬化させるというものですし。

そもそもの身体能力も相当なものがあるようですから、アウターとヴァリアントはまた別の存在だという印象。

共通しているのは、《上》の指示によって研究をしているという点と、最終的な目的くらいでしょうか。

 

異能者を集めて、殺し合わせる。

なんともまぁ、頭の悪そうな実験ですが、それを真面目に研究している人がいるって言うんだから世も末。

それに出資している人々もいるって言うんだから、アレです。

 

何でも屋を営む女、式条丹。

ある日喋る猫に「助けてくれ」と請われて実験に参加した彼女。

いやぁ、自分の流儀を持っていて、それを貫き通してくれるから、判りやすくていいですね。

実験の内容を知って参加したり、勝ち残ることで得られる賞金目当てのクズばっかりが集まったりしているので、敵が戦いの後あっさり死んでも心が痛まない。

大体の場合、敵の方がマコトたちを殺しに来るんだから正当防衛な気もしますが。

……過剰防衛になってないかとか、それを楽しんでいるあたりマコトも言い逃れは出来ないという説も。

 

カバーと扉にしかイラストがないのが残念。

続編出て、アウターとヴァリアントの差とかに言及が入ると個人的にすごく楽しいんですけど、どうだろうなぁ……

最初から最後まで異能バトルしていて、中々面白かったです。

 

 

夜を歩けば3 ミルキーウェイ

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「私は貴方が嫌いです。最初から独りで立っていたから。縋ったときに拒まないから。拒まなかったのに受け入れなかったから。独りで汚れて、独りで格好をつけて、独りで罪を背負うから」


現代異能ファンタジー、完結。
・・・帯に書いてあったので異能ファンタジーと呼称しますが、二巻では異能バトルと書いてなかったか。
異能を売りにしたいのはわかるけれど、決してバトルはしてないと思うがなー。せめて煽りの文句は統一したほうがよかったんじゃないだろうか。

閑話休題。
隔月刊行のあおりを受けたのか知りませんが、挿絵がありませんでしたね。
2巻読んだときはさっぱり気づいてなかったですけど、2巻にもなかったか。
まぁ絵師さん調子悪いのか知りませんがなんか、微妙なテイストになっている感じもあるので、ない方がよかったのかなぁ。物足りないですけど。

今回の事件は「目撃者がいない刺殺事件」。
「上」の方から派遣されてきたなんか偉そうなよそ者の指示に従ってあちこち調査に回ったりしています。
七枷市における異能者の数と、東京における異能者の比率。
異能を研究する研究者。
新しい情報をいくつも出しながらもしっかりと話が進んでいて、あっさりと事件が解決していっているのはいつもの感じですねー。

1巻、2巻にあった伏線というか物語ならそんなこともあるのか程度の認識だった「偶然」。
それが誰かの行動の結果導かれていたものだとは。
異能者の呼び方としてアウター、外側の者ってつけた人は偉大だと思います。
なるほど、容赦ないというか、ためらいがないっていうんだろうな。

真冬が理不尽を許せないように。所長が異能者を嫌うように。
異能があることも影響はしているでしょうが……「許せないと思ったものを許さない。その道を選んでしまったから」。真冬の行動を見ながら一野が思っていたことですが。
行動の分岐なんてない。既に選択はなされているから。だから、彼らは揺るがない。
そういう意味では、早坂刑事も安定していたよなぁ……すげーわあのシスコン。
王道に話を展開しようっていうんだったら、真冬とか早坂刑事をメインに据えたほうがよっぽど安定しただろうに。

ま、この話の主人公は宮村一野なわけですけど。
花梨とのやりとりとか結構好きだったので、完結してしまうのは残念ですねー。
伏線をちゃんと回収したのは評価できますが、ちょっと駆け足だった感じは否めないといいますか。他のシリーズみたいに四巻構成じゃダメだったのだろうか。そこは少し残念です。
まー、なんだかんだで楽しんで読みましたけどね。
次回作は内容未定ながら刊行予定はあるようでそれ楽しみに待ちます。


翼の帰る処 上/下

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「失われたものは、いつも美しいのです」
そして、この世のありとあらゆるものはすべて、いつか失われる運命なのだ。


帝国の尚書官、ヤエト。
過去視の能力を持ち、病弱な彼は新しい任地で隠居生活を送ることを夢見ていた。
しかし、実際にいってみたら、現地の官吏は名ばかりで仕事がろくにできず。
それだけでも手間なのに、皇女が太守として赴任されてくることとなり大わらわ。
ヤエト、なんだかんだで有能だし、ズバズバ言うけどフォローもしているし、優秀な管理ですね。
時たま倒れるのが問題ですが。

帝国と皇帝。皇帝の意志を支える伝達官。
中々面白い世界観だと思います。
辺境、僻地と思われていた北域。
けれど、そこでヤエトは、帝国の根幹にかかわるような情報を知って。
上巻最後のシーンまで、皇女のことがあまり好きになれませんでしたが・・・
彼女は彼女なりに必死なんだなぁ、というのが描かれていてよかったです。
どうにか頑張っていってほしいものですが。

下巻では、皇女から療養を命じられ、ヤエトが都に戻ります。
皇女と親しくしていたという実の兄の元へと身を寄せるが、そこで彼は、皇位継承権をめぐる政争に巻き込まれる。
皇女のお気に入りで、なにやら動いているようだともなるといろいろ敵側の思惑があるようで。
どうにか網を逃れて、陰謀に巻き込まれつつある皇女の求めと手を尽くして帰らんとするヤエトが格好良くていいですねー。
北域を襲っていた問題をなんとか解決しましたが、解決したことによって注目されてしまうんじゃないだろうかとか思ったり。
病弱で毎度倒れているのにヤエト、しぶとく生きていてなんか一周廻って笑えて来ます。
中々面白い作品でした。



八百万の神に問う4 冬

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「だからこそ、生きていることは素晴らしい」
それが答えだった。
自由を失い、未来を失い、奈落に突き落とされた彼女が、幾夜も続く絶望と、魂を引き裂く後悔を乗り越えた先に、辿り着いた答えだった。


序章で、シンがイーオンの抱えている問題に気がつきます。
イーオンがいつも飲んでいる酒、特別だというそれの正体。
以前ロクノ里で振舞っていたこともありますし、普通の常世ノ酒も飲んでいるんでしょうが・・・
サヨが持ってきてくれている酒。それは、薬酒だった、と。
シンもイーオンの元で、音導士らしく言葉を選んで会話するようになってきたなぁ、と成長が見えているだけに、此処で気がつくのか、と。
まぁ、そういう成長があったからこそ、受け入れられる下地が出来ていたともいえるわけですが。

イーオンが、前回ミサキと『楽土は必要かどうか』という音討議をしてから。
抱え込んでいた悩み、友の死を忘れられない自分の生き様を叫んでから。
ナナノ里の住人達は、イーオンの元に、相談に訪れるようになったとか。
真の楽土を求めるだけの辛く悲しい身の上話を聞かせに来た、というのが正しいんですが。
少しずつ、変化してきている。でも、それら全てを見届けられる程の時間はなく、イーオンは戦いのために、イチノ里へと下りる。

死んだと思っていた友、ヤコウ。ザイオン音導士。
それが、楽土の存在意義を問う、イーオンの最後の音討議の相手だった。
いつか外に行こうと約束していた3人。一人は死に、一人は楽土に縛られ、一人は外へ、敵対する隣国へと渡っていた。
まぁ、それにも色々な巡り合わせというか、事情があったわけですが。

因縁の対決。
一方で、イーオンは友人との別れを済ませたり、覚悟と準備をすませています。
シンに音導士としての字名を与えたりと、着実に話が進んでいっている。
楽土の是非。
イーオンはやっぱり伝説の音導士だなぁ、という感じで。
普段はだいぶ皮肉屋といいますか。堕落した日々送っていますが。
音討議をしているときのイーオンは格好いいなぁ、と思います。


夜を歩けば2 ガテラルデイズ

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「でも、辞めたじゃん」
「他にやることができた」突き放すように言う。「おまえみたいに、歌わなきゃ死ぬような人種では、俺はない。死ぬほど許せないことがあった。目の前にそれがあったら、楽しいことをするより、死ぬほど許せないことを許さない方を俺は選ぶ」


ある人気バンドの周辺で、集団暴行事件が起こる。
《異能》が絡んでいるのではないか、とサイトウリサーチに仕事として持ち込まれた。
元々は、都内を拠点としているバンドなので、そっちを管轄にしているサイトウリサーチと同類の会社が調査していたものの、結果は芳しくない。
地方でライブをやることになり、そっちでも調査してくれと持ちかけられて、仕事に臨むことに。
ただの事件ではなく、それは真冬の友人や、宮村たちがサイトウリサーチに属する原因となった「2年前の事件」に状況が酷似していて。

他人の雰囲気や空気が見える、ザクロビジョンの宮村一野。
他人の思考が読める、プチプランスの石本花梨。
2人は、互いの能力が干渉するため、空気も見えず、思考も読めない。
だから、前回の最後花梨は一野の家を避難所に受験勉強に励んでいるわけですが。
なんか一野、花梨に食事作ってもらったりしているんですが。
どうしようもなく外側にいる癖に、日々充実しているなぁ、という感じが。
花梨もなんだかんだと、入り浸っているようですし。

2年前の事件。真冬が一野を殺したいと思うような、事件ですが。
これもバンドの周辺で集団暴行事件が起こる者だった。
真冬と一野が出会い、それに対処しようと行動するわけですが、一野が最後に出した解決方法がとんでもないよなぁ、というか、ろくでもないというべきか。
流石、外側にいる奴はやることが違う。断片として描かれていた過去。
一野と所長はだいぶ似た者同士なところがあるようで。
異能を、異能者を、踏み外してしまった存在を、何より自分自身を許せない。
歪んでいるなぁ、と思いますが。

2年前の事件で、千手院との縁もできていたんだなぁ、っていうのが少し意外な気もしましたが。
あの時点で彼女は被害者で、前回も今回も傍観者なんですよねぇ。
死角に入り込むウィルギニス。まぁ、調査向きではあるでしょうけど、荒事向きではないですし。
あとは、未だに所長の異能がなんなのか描かれていないんですよねぇ、次回タイトルは「ミルキーウェイ」とのことですし、一野に『靄』として見える所長の異能が絡んでくるんでしょうか。

一番驚いただったのは、千手院と一野の関係か。
それを知ってなお花梨が離れていかないのが意外でしたが。
一野の分析によれば、彼自身は外側にいる人間で、真冬と千手院は内側に戻れる人間。
そして、花凛は外には居ないけれど、内側には戻れない。外と内との境界線上にいる状態。
時間が進み、最後四月となり春。
石本花梨は大学生となっていましたが、もう一つしれっとトンデモなこと書かれていたような。
次回でラスト、という事ですし、少し早めですかねー。
個人的には、この歪み具合が好きなんで、もうちょっと続いてくれてもいいんですけど。

夜を歩けば 2 (C・NOVELS Fantasia あ4-9)[本/雑誌] / あやめゆう/著
夜を歩けば 2 (C・NOVELS Fantasia あ4-9)[本/雑誌] / あやめゆう/著

八百万の神に問う3 秋

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「良い師匠という者は、とかく語りたがらないものです。なぜなら真の言葉というものは、真心が発する音だから。耳ではなく心で感じるものだからです。人から教えられた知識は、所詮受け売りにすぎません。どんなに素晴らしい訓示も教訓も、それを受け取る側に準備がなければ寝言と同じです」


実りの秋。
楽土に手を伸ばさんとする出散渡。
トウロウが実は・・・と前巻の最後で明らかにされていましたが、結構根深いというか、本気のようで。
全てを平らにしないと気が済まないという、出散渡の王。
彼の者に対峙するために、イーオンは行動を起こす。
とはいってもまぁ、相変わらず自堕落なのはそのままなんですが。
シンを弟子にして少しは変わるかと想いきや。
まぁ、そう簡単に変わるようなひねくれ方はしていませんか。

ゴノ里で暮らしていた、ミサキ音導士が、自らの死期を悟り、ナナノ里へと登る覚悟を決めた。
トウロウはそれに便乗する形で、ナナノ里へと登ってきます。
今回は、出散渡のライアン・ハートが中心にいたエピソードだったなぁ、と。
ライアンとその友人であったファルケ。
2人は、出散渡という国の中で必死に行動を起こしていたわけです。
とかく貴族だの権力だのは面倒くさいものです。
和平の使者を攻撃する命令を出した王はちょっと好きになれませんし、それを受けて起きた事件がイーオンの悩みに繋がっていると思うと、何とも言えないものがあります。

でも、ライアンたちも悩んでいたんだよなぁ、というのがわかると、もどかしい思いを抱きますね。
トウロウとイーオンの会話が多かったように思いますが。
イーオンの抱えていた秘密は相当重いものでしたね。
ミサキが彼女と同じ荷物を持ったら背骨が折れるとか言っていましたが・・・ミサキはミサキで相当な重荷背負っていると思うんですがね。
似たもの師弟め。

楽土は存在するべきか。
イーオンの叫びが、ミサキの答えがたまらなく切なく、絶望し楽土に至った彼らも、生きているんだなぁ、というのがひしひしと感じられました。
サヨが1巻のときからはだいぶ落ち着いてきたなぁ、という印象で。
シンとの「音討議ごっこ」は中々見物だったと思いますよ。

あ、画像は紙の書籍の方で画像がなかったので、Kindle版を掲載してます。


八百万の神に問う2 夏

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「私たちは生きている。生きているから道に迷い、生きているから嘆き悲しむ。だが案ずることはない。ここには絆がある。一人では立ち直れぬほどの傷を負った時、支えてくれる兄弟がいる。楽土を目指す必要はない。楽園はすでにここにある」

ナナノ里の専属音導師となったイーオン。
シンを傍において相変わらず、酒を飲み、だらだらと寝て過ごしていた。
前回自分の名前を告げてから、結構喋るようになったみたいですね。
ナナノ里の住人達とやかましくやり取りしていました。
わいわい寄ってくる老人たちに対して声を荒げているというのが正しいけど。
まぁ、反抗期の子供を見ている心地なのか、性分かチカヤたちは全く答えてないですが。

なんでシンはあんなにいろいろと言われてなおイーオンの傍にいるのかと思っていましたが。
彼には特殊な感覚があるようです。その場の雰囲気や相手の感情などを味で知覚する。
共感覚の一種ってことになるんですかね。
で、イーオンが音討議をして音叉を鳴らすとき。
彼には例えようのないほどの美味に感じられる。
だから、その場に居合わせるために世話をしている、と。
結構利己的。わかりやすくていいですね。

だらだらすごいしていたイーオンですが、夏季休暇とのたまって、ゴノ里で行われる祭りに足を運びます。
用事があったサヨと、例によって例のごとくシンを引き連れて。
真の楽土ではない、ゴノ里には出散渡人もいて、教会まで作られていた。
荒っぽい連中や、シンと因縁のある相手も出てきて、ずいぶんときな臭い状況のようです。
そういうアレコレがあるからこそ、イーオンが駆り出される事態になっているんでしょうが。

気になるのは、ゴノ里で見せたイーオンの不調。
シンには気付かれていないようですが、サヨは何かを知っている様子。
ハチノ里と呼ばれる墓場の周辺に済むインドウ様が傍についていること。常世の酒が必要であること。
そもそも、なにやら因縁があるようなのに、基本的に真の楽土に引きこもっていること。
怪しい雲行きですが、どうなるんですかね。

今回は1巻のあとがきによれば「成長の夏」ということですが。
シンにまつわるエピソードが中心でしたね。
彼が抱えている絶望の理由。信じたのに、信じられない。
そんな境地に至ってしまった、過去の出来事。
楽土とその周囲ですらなにやらきな臭いのに、楽土の外が平穏であるはずもなく。
大分厄介な状況になっている感じがしますね、外の国。
イーオンとの会話によって、自分の行き先を決めたシン。最初で最後の弟子になった彼はこれからも苦労していくことでしょうが、苦労しただけの幸せを得られることを願わずにはいられない。
レイシャとの別れも、なかなか来るものがありましたが。
主役はイーオンというよりは、シンだったりするんですかね。

さて、ほかにもトウロウが案外重要な役回りというか、裏があるようですけど、彼もいったいどう動くのかが気になりますね。シンと料理の話しているのが似合っていると、想うんですがね。


八百万の神に問う1 春

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人の価値観は常にうつろう。絶対的な救いなどこの世にはない。救いを望まぬものに救いを強いれば、それはもう救いではない。それを強行すれば、楽土は楽土でなくなってしまう。
楽土は人の意志を曲げてはいけない。
楽土は万能であってはいけないのだ。


北の大地の果てにある。霊峰にある、楽土。
それは、傷つき疲れた人々の為に神が提供した、神々の庭。
『和を以て貴しと為す。忤(さから)うことなきを宗と為す』。
そのただ一つの掟を守れば、楽土の門をくぐれるという。
楽土に争いはない。もし、何かもめごとが起きる様だったら、『音導士』によって調停される。

漢字を用いた、『なんちゃって和風世界』。
たとえばガガというキャラは、『我』は『雅』とかいて『我雅』と読む。
だが、名前にどういう音を当てるのかは、あまり明かすものではなかった。
この辺は言霊信仰みたいなものですかね。
真の名前を知られると、魂を握られるのと同然みたいな事が書かれていました。
争いがない、といわれる場所だからこそ、こういった文化ができたのかなぁ。

まぁ、争いが全く持ってないというならば、『音導士』なんていらないわけで。
たとえば土地の活用方法。たとえば、村の発展について。
そういったことで意見の違いがあった場合、『音導士』が代理で、答弁をすると。
名前の設定と、音導士の設定とが噛み合って、言葉を大事にしている世界かなぁ、と感じました。

楽土は山にあるだけあって、上に行くほど幽世が近い。
まぁ、掟を守れている人ほど上に登れるという事で。
山の一番上にある人里ナナノ里、そこから下ったロクノ里では争いはほとんどないとか。
逆に境界となっている鳥居道の下、イチノ里からゴノ里はには、掟に従わない者もいて、暴力沙汰も起こる。
ただの楽土と「真の楽土」と区別されていましたが、このあたりも今後影響してくる要素ですかね。

主人公は伝説に謳われた『音導士』イーオン、ですかね。
表紙のキャラクターですが、青年かと思いきや、30過ぎの女性だとか。
楽土にいるけれど、楽土を好まない彼女の過去に何があったのかは少し気になります。
問題解決のための音討議など、魅力的な要素が多い作品。


夜を歩けば1 ザクロビジョン

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壊れてほしいのか。
壊れてほしくないのか。
壊れるところを見たいのか。
ひょっとしたら壊れないところを見せてほしいのかもしれないな、と思った
だとすれば、実に勝手で、実に僕らしい話だ。

あやめゆうさんの新作。
やっぱりこの作者さんの文章とか、キャラクターとかは好みにあってますね。
これまでの2作は異世界ファンタジーでしたけど、今回は現代ファンタジーという事で。

異能をもった人々の話。
超能力のようなものではあるけど、分かりやすいものではない。
瞬間移動や念動力とかそういった方向に発現していない。
例えば、雰囲気やその場の空気といったものを幻視する能力だったり、死角に入り込むものだったりします。
強くもないし、万能でもない、けれど確かに普通とはかけ離れた異質な力。
そうした相違をうまく描いていたんじゃないかと思います。

連続して発生する、飛び降り事件。
特殊な調査会社のバイトをしている主人公は、ビルの窓から人が落ちるのを目撃する。
目撃者の一人として、いろいろと事件について調べていくわけですが。
まともな解決をするわけじゃないんですよね。
彼らは決して探偵ではない。謎を解くのではなくて、事件を終わらせることが仕事。

異能を持つものは世間の外側にいる。
主人公は、人の雰囲気を視覚化するがゆえに、空気を読めすぎて、距離を取るようになった。
自分の異能と折り合いをつけるという事は、そうやって多くの事象の外側に立つことになるようで。
だから彼らは『外側の者』という意味を込めて『異能者(アウター)』を自称する。
そんな人たちがまともなはずがなくて、誰もかれもがアクが強い。
主人公がそんな人たちからもやたらと嫌われているのはなぜなのか、とか気になりますねー。
あとは、今回所長なにもしてないし、早坂刑事の妹の必要性とかも少し疑問ですが、次回以降活躍してくれることを祈りましょう。
隔月刊行らしいので、今から楽しみですね。

アマゾンで書影でなかったので、よそから持ってきました。
普段とサイズが違うのはそのせいです。
【新品】【本】【2500円以上購入で送料無料】夜を歩けば 1 あやめゆう/著

RINGADAWN 虚戦士と終わりの鐘

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敵を打ち倒すのに躊躇するなど、敵に対して失礼なのだ。絶対にやってはいけないことだ。殺す相手に同情するくらいなら殺さなければいい――敵対を選んだのなら、堂々と胸を張らねばならない。
(略)
遥か昔から延々と繰り返される死は、未来へ進むために積み重ねられるからだ。誰かを殺しておいてどこにも進まないなどということがあってはならない。絶対にあってはならないのだ。


面白かった。けど、個人的には前2冊の方が好きですねー。
御伽噺のような、ファンタジー小説、「RINGADAWN」の完結巻。

今回の御伽噺は、戦場に満ちる無念や呪怨から生まれるとされる怪物『虚戦士』。
前王の隠し子として軍に追われる少女ミルナを助けた少年は、その伝説さながらの力を持って追手を倒す。
しかし、戦闘から離れてみれば、屈託のない笑みを浮かべることもあって。
追われる少女と、たまたま縁が出来た少年との物語。

ミルナとかクロードとかは好きなんですけど、ミルナの周りのキャラは好きになれない。
まぁ、周りのキャラと言っても、厳密に言えば騒ぎを引き起こしたソフィアさんなんですけどね。
良いように利用されているじゃないですか。

前2作の主人公たちが、ある程度自分の考えを持って、不利な状況でも呑み込んで行動していく、ある種の信念があったのが好きなんですよね。
それに比べると今回の2人は、その辺りがちょっと物足りない。
否応なく巻き込まれたってこともあるでしょうけど、覚悟が決まっていないというか、前2作のキャラたちと比べて、年齢的にも、子どもに近いってところでしょうか。
どこか、幼い。でも、この二人だからこそ、御伽噺のようなこの世界の幕引きにはふさわしいコンビだったんじゃないかと。
それに、ミルナが覚悟を決めてからのやり取りは結構好きですよ。

『幽霊街~』の方にも『妖精姫~』のキャラが出てきていましたが。
今回は最終巻という事もあり、同じようにそれぞれから主要キャラが登場してきて、結構テンションあがりました。
カミナさんいったい何をやっているんですか、とか。
レイジは相変わらずで安心するなぁ、とか。
しかし、今回はカミナの扱いが衝撃的だったといいますか。
この作者はちょっとまじに容赦ないなぁ、と思いました。
御伽噺みたいな世界、と何度も行っていますが、ただ、優しいだけの世界を意味しない、厳しくともその中で生きていく強さの話なんじゃないかと。

個人的には、レイジとクロードのやり取りが好きですかね。
砦に侵入するときのやり方がどっちも阿呆みたいと言いますか。
助走をつけて、その勢いのまま飛びあがり、建物の出っ張りを足場に登り切るレイジ。
凹凸に手をかけするすると垂直に壁を登るクロード。
どっちもどっちと言いますか、冗談みたいな登り方をする奴らだよなぁ、と言いますか。 

ま、なんにせよ、良い物語でした。
気に入ったシーンも多いです。前2作の方が好みではありましたが、この話も十分に面白かったと思います。


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