気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

MF文庫J

カルネアデス2 孤高の吸血姫と孤独な迷い猫

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「泣かないで、エルさんの力になります。運命を共にします。絶対に逃げません。ふたりで『借り』を返して……ううん、それだけじゃない。今回の闇も暴きましょう! そして、私たちの求める信じるに、近づいてみせるんです!」

 

天使警察エルと悪魔のイヴはバディを組んでの活動を継続。

まぁイヴ用の予算は下りず、相変わらず同じベッドで寝る生活のようですけど……エルがそれを受け入れているのが、良いですねぇ。

そんなある日、協力して犯人を捕縛したところ……その手持ちに吸血鬼の家から奪っただろう宝物が混じっていて。

 

調査しに赴いてみれば、そこでは最強の種族であるはずの吸血鬼が死んでいた。さらによくよく調べれば、吸血鬼の被害は一件だけではなく……連続殺害事件となっているとか。

この世界の人間は他種族に比べて弱いけれど……他種族によって種族の危機に瀕した時、その状況を打破する存在が現れるとか。

かつての悪魔に対しては英雄が、そして吸血鬼に対しては狩人が。古き時代に活躍していた「最後の狩人」が蘇り、吸血鬼たちを殺して回っているという話まで出てきて。

 

吸血姫ノアは以前の『借り』を持ち出して、エルとイヴに自分の大切にしているペットことハツネを託すことに。

ただハツネはハツネでノアが居ないとダメな少女であり……改めてノアの様子を見に行こうとしたタイミングで、ノアの屋敷が襲撃されたりして。

エルとイヴ、ノアやハツネといったそれぞれの絆は尊くて良かったですけれど。裏で暗躍している人物に踊らされてしまっている、というか。相手の目的だけが達成されている状況なのは厳しいですねぇ。あとがきによれば次回で掘り下げられることになりそうですし、続きに期待。


カルネアデス1 天使警察エルと気弱な悪魔

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「えっ、アンタ、戦闘中にアタシの心配までしてたの?」

(略)

「おかしい、です、か?」

「ううん――おかしいって言えばおかしいんだけど、でも、嬉しい。ありがとう」

 

複数の種族が暮らす世界。

人の恐怖心を喰らう種族・悪魔であるイヴは、しかし気弱だった。分かりやすい悪行を働く覚悟もない彼女は、人間たちをちょっと脅かして、少しだけ生気を分けてもらうようにしていた。

 

元気すぎる人間を選んでいたので、事件後はむしろ落ち着いていたようですが。とは言え分類としては「軽犯罪」にあたるわけで……。

イヴは天使によって組織された天使警察に追い回されることに。ただイヴの逃げ足は巧みで、捕まっても脱出しまくっていたことから「逃げ羽根のイヴ」なんで二つ名を貰うほどだった。

 

そんなイヴを捕まえる任務を与えられたのが、天使警察のエリート・エルという少女で……。

なにもかもが違う二人が追いかけっこをしたり、大きな事件に巻き込まれる過程でバディを組むことになったりしていく、ドタバタテイストを盛り込んだファンタジー作品。

エル以外の天使、わりと堕落していて事件解決に乗り気じゃなかったり、内部でいじめなどが横行していたり、分かりやすい「天使」って枠に収まらないこの作品の味が出てましたね。いじめっ子共も痛い目見てたのでまぁ。

 

イヴ、弱気なのはありますけど、気が緩みがちな部分も多いというか。

バディを組むことになってエルの部屋で寝泊まりするときも、気ままに寝てたし。獣人のルナと会った時、「尻尾もふもふして良いですか」とか言ってる挿絵まであったし。

良いバディとして事件に対応していたけれど、警察署長からバディ解散を通達されたり、別の思惑に巻き込まれたりしつつも、2人が乗り越えてくれたのは良かったですね。

とは言え、イヴが特異な存在であることが示されていたり、実行犯は捕まえられたけど暗躍していた黒幕は健在だから、またぞろ騒動に巻き込まれていきそうですねぇ……。



神は遊戯に飢えている。7

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「俺は、遊戯には嘘をつかない」

 

1冊丸ごとニーヴェルン回! より正確には彼女の仕掛けてきた遊戯『マーダーミステリー「全てが赤になる」』回なんですが、実質同じですよね。

プレイヤーそれぞれが役割と目的を与えられ、情報を時に伏せ時には明かし、それぞれの目的達成を目指すという遊戯。

今回はとある村で村長が殺されたため、フェイ達は村民となって犯人探しをすることになるのですが。

 

フェイにレーシェ、パールにネルだと人数が足りないということで、特別参加のゲストが招かれることになって。使徒ならざる事務長ミランダ、何も事情を知らない理事長の秘書アリッサ、さらには『聖座』のコーチであるケイオスを加えた7人が参加者となって。

ゲームを仕掛けてきた相手と通じているケイオスのスタンスがどちらなのか、と最初にネルが確認してたの良かったですねぇ。そして、その時に告げたことを違えなかったケイオスの評価が上がりました。

 

読者目線だと、パン屋という役職を与えられたフェイの視点メインで進行していくので、彼の持っている情報がどう真相に結びついていくのかを辿っていくわけです。

いやはや、しかしそれぞれが持つ役割と与えられたアイテムが面白いくらいに噛み合って、誰も彼もが怪しい事この上なくて笑う。

遊戯に不慣れなミランダやアリッサもしっかり自分の役割はまっとうしてましたし、パールのノリの良さも良い感じに作用していたと思います。

 

さて、見事勝利を収めたことで最前線に立ったフェイ達ですが……どれだけ勝とうと、10勝の前3敗してしまえば終わりなわけで。これ以上1勝も与えない、というヘレネイアはどうにかそのルートを模索するのだろうか。

『聖座』は4人すべてが神、という特殊なチームで今回ニーヴェルンの遊戯をしたわけじゃないですか。この後、他2人と戦って2敗、最後ヘレネイアに勝利してフェイ達が9勝に到達して……最後の10勝利目を、フェイの記憶にある女性との遊戯で締めると綺麗な気がしますけど、そうやすやすとは決まらないだろうなぁとも思います。

なんか勝ち星得た時点でフェイがなにかしらの気付きを得てる意味深な地の文がありましたしねぇ。なんか別ルート見つけそう。

Vのガワの裏ガワ2

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「謝るんじゃなくて、ありがとうって言って。そっちの方が、嬉しいから」

「桐紗ちゃんの言うとおり。それに、私も仁愛ちゃんも、できることがあればするから」

「……ありがとう。お前らには、感謝しかないよ」

 

果澪の抱えていた問題故に、好調すぎるスタートを切った後に裏でトラブルが発生していたVTuber「雫凪ミオ」。

それを乗り超えて活動を継続できるようになったのは本当に良かったんですが……それはそれで問題があった。

あくまで個人VTuberでしかない「雫凪ミオ」ですが、急激にリスナーが増えて人気コンテンツになりすぎてしまったわけです。

これがじわじわ伸ばしていった結果だったら、その過程で学んでいくことも出来たでしょうけど、駆け抜けてしまった彼女にそれは難しい。

 

そこで果澪が考えたのは、自分にマネージャーをつけるか、そうでなければどこかの事務所に所属する、ということだった。

「雫凪ミオ」名義のまま来てくれて構わない、という複数の企業から連絡をもらったりもしていたようですしね。

そこでミオの製作チームの友人たちに相談を持ち掛けたわけですが。

果澪も今の自分に必要なのは専門的な大人のアドバイスだし、主人公には絵師としての活動もあるから、と彼にマネージャーを頼むみたいな安易な選択を取らなかったのは好印象。

主人公も、自分にも彼女にもそれそれのライフプランがあるから、友人として相談には乗るけれど、一方が一方のためにやりたいことを我慢するようではいけないと思ってるところも好感が持てる。

 

主人公も全く何もしないつもりではなくて、小ぶりながらVTuber事務所を経営している知人に相談してみたりしてたわけですが。

……その知人から、逆に所属しているVTuberのマネージャー業務を頼まれてしまって、引き受けることになるんだから、どうしたものやらって感じですが。

その子の魂が同年代である上、またしても同じ学校に通っているという点で、人材の宝庫過ぎるな……。

 

1巻のチームのまとまりが良かったと思っているので、そこの掘り下げをもっとしていって欲しかった気持ちもあり、新キャラ登場からの展開も悪くはないながら前回ほどは刺さらなかったかなぁ。

今回のVの子にも抱えている事情や悩みがあり、揺れ動いていた中で踏みとどまったのは良かった。

神は遊戯に飢えている。6

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「たくさんの意見や考えがあっていい。だけど俺には、彼女の実現しようとしている世界が……」

「間違っている?」

「もったいないと思う」

 

巨神タイタンからチーム名を授かったフェイ達。

ちなみに神の遊戯に勝利したものの、『神々の遊び』の参加者じゃなかったからか、巨神像のダイブ機能を使っていなかったからか、勝利数のカウントは増えなかった模様。

そしてウロボロスから話を聞いたタイタンが、精神体を降ろして人間界の観光をしていくことを決意して。

 

どこ行ったらいいかを聞かれたときに、聖泉都市マル=ラを勧めてダークスに押し付けようとしてたフェイが面白いし、地図読めなくて全く違う所行っちゃうタイタンも面白すぎるな……。

そうやって放浪したタイタンが、少ない人類の生存圏の最前線にたどり着いているのも見せ方は上手い。

 

フェイ達は、かつてのリーダーケイオスの足取りを追うのを一時止め、最強チームのヘレネイアの真意を確認するために、神秘法院の本部を目指すことに。

神をハッキリ見抜けるウロボロスをうまく乗せて連れて行こうとしてましたが、別の目的を得て飛び出してしまうあたり、気ままな神様だなぁ……。

 

一方のヘレネイア達はフェイ達をやり過ごす方向で考えていたようですが、かくれんぼは失敗。

神としての性質を持っていることをほぼほぼ見抜かれることとなったわけですが、その上で対話を拒む姿勢を取って……指南役になっているケイオスが、フェイ達の前に立つことになるわけです。

 

思わせぶりな態度でかつてフェイの属していたチームを解散させて、ヘレネイア達の指南役になっているから、もっと彼女の思想に共感しているものかと思ったんですが。

フェイとゲームをして、色々と情報を与えてくれたりしたのは意外でしたね。現状が笑えない話だからこそ、という思いもあるみたいでしたが。

その事情を聞いたフェイにも思う所があるみたいで、さて、ヘレネイアと対峙したとき彼がどういう反応を見せてくれるのかが楽しみですね。

……新しいゲームに巻き込まれたので、到達するまでが大変そうですけど。

Vのガワの裏ガワ

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「自分を大切に思ってくれる人たちの言葉は――才座さんにも大切にしてほしいな」

 

MF文庫J18回新人賞受賞作品。

高校生ながらイラストレーターとして活動している男子、亜鳥千景。

近頃の彼は、学校の女性陣にスケッチを頼み込みイラストの元ネタにする活動を行っていおり、女子をナンパしてるって噂が流れるほど。

一応これまでは許可を取り、アレンジを入れてイラストにしてたようですが。

接点の薄いクラスの美少女、果澪をもとにしたイラストを描いたときだけは、許可を取らずに公にしてしまった。

 

それを直接本人から指摘されたかと思えば、さらに仕事の依頼までされることになるっていうんだから驚きです。

彼女はしっかり代金も用意したうえで、「VTuberになりたいから、ママになってほしい」とお願いしてきます。

千景、わりと変態でヤバい部分もありますけど、ネームバリューのあるイラストレーターとして対価はしっかりもらわないといけないとか、ある程度の線引き出来てるのは偉い。

……それ出来てなかったらヤバい要素ばっかりになっちゃうので、ちょっと安心しました。

 

いきなり弱みをついて交渉の場を用意して、それはそれとして対価をアレコレ用意して話を進める果澪も食わせ物な感じはしますけど。

リアルでもイラストレーターとしても親しくしている女子を巻き込んで、果澪のVTuber計画を進めていくことになります。

現役VTuberの知人の協力も得たことや、果澪の資質も合わさって個人勢としてデビューして注目を集めることには成功したわけですが。

……計画がしっかりしていて、成果が出たからこそ見落としていた問題があって、そこに向き合っていくという後半の流れは青春していてよかったと思います。299Pの挿絵演出も良かったですし。そう上手くいくかなぁとか、ついついツッコミたくなる部分もありますが、総じて面白いと言える作品でしたね。

 

 

恋は暗黒。

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「僕と友達になってもらえませんか」

 

暗殺者としての仕事をしつつ、高校に通っている主人公の想星。

何らかの組織に所属し姉の指示に従って現場で動く担当で……彼は「人を殺すと、自分の命の残機が増える」異能の持ち主で。

敵陣に飛び込んで何度も殺されながらも、最終的に目標を倒せばヨシみたいなやり方は、かなりごり押し感ありますよね。

 

……まぁ標的になった中にも、銃弾でも掴み取れる強靭な腕力ってチートを使って、真正面からぶちのめしに行く輩いたし、異能持ちは割と力押し派が多いのかなぁ。

かなり短期間に仕事を何件もこなしてるみたいですけど、異能で復活するとは言え死亡前提の作戦遂行しといて、休みも与えないってブラックにも程があるんだよなぁ。

ヤバイ仕事を任せるからには、福利厚生と言うかサポートもしっかりしておかないと反旗を翻されてもおかしくない気もするんですが。

 

……姉に強く出れない想星の性格と、異能とはいえ「殺した分命がストックできる」っていう能力は、火力面での脅威はないから反乱されても対処は容易いって部分で、駒として酷使してる感じはある。

姉としては普通に高校に通わせてやってるのが福利厚生みたいな考えみたいなんですが……うーん。全方位に火種が眠ってて、序章だから爆発してないだけみたいな感じがありますねぇ。今後どうなるのやら。

ラブコメ・イン・ザ・ダーク2

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「言ってくれよユミリ。何かやらなきゃいけないんだろ? いくら僕がヘタレの陰キャでも、さすがにここは何かやるよ。やらんとあかんだろ。たぶん僕には何かができるだろうし、何かをやらなきゃとも思ってるんだ」

 

夢の世界を操り、その影響を現実に及ぼすことの出来る少年ジロー。

そんな彼を世界の病気として治療のために恋人になったユミリでしたが、相変わらず学校でイチャイチャして注目されてばかりのようです。

そこに1巻ヒロインだったところの、ヤンキー少女トオルも加わって騒がしさも倍。

しかし、トオルとの関係が深まったとしてもユミリがジローに要求したのは、彼が夢の世界で干渉していた「4人の美少女を口説く」ことで……。

 

トオルとは幼馴染という接点があったけれど、他の3人との距離は遠い。

さてどうしたものかと思ったら、委員長の氷川アオイの方から接触してきて。いわく、問題児たちを更生させるべく活動する事になったとかで、メインキャラではトオル以外全員が所属する事になって。

それで交流できるキッカケが出来たのは良かったですけど。陰キャを自認しているジローに対してギャルのヨリコと文芸部員のミウからもやたら毛嫌いされてるようで、前途多難ですね……。

 

2巻のメイン攻略対象になるのは委員長氷川アオイ。

自身を「氷川」と呼び、合理性を追求する少し変わった少女でありましたが。彼女の抱えていたものはあまりにも重く、よく今まで壊れなかったなと変な関心をしてしまった。

ただついに限界を迎える時が来てしまって……ジローが出来ることを模索して、彼女の事を知ろうと足掻いてくれたのは良かったですね。

なんかドッキリ仕掛けてくるキャラが増えたというか、最後の挿絵の前後のやりとりでアオイのことかなり好きになってきたな……強かな子いいですよね。

それはそれとして今回も最後に怪しいメッセージが届いたり、それ以外にも気になる点が増えて来ましたね。
ヒロインの攻略が順調ではあるんですけど、それユミリから提示された目先の目標なんですよね。
ユミリの掘り下げがされてない状態でジロー自身にも謎が残っていますし、意味深なメッセージの真相が明らかになるくらいは続いてほしいものですが。

神は遊戯に飢えている。5

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「古代魔法文明の時代から、今だって、人と神は遊戯を楽しんでる。いつの時代も遊戯は遊戯。お前たちも心ゆくまで楽しむがよい」

 

人類の使徒が神々のゲームに挑む世界で起きた、「クリアできないゲーム」への強制連行。

主人公のフェイ達がそれを解決し、メンテナンスとして新しいゲームが出来るか試そうとしたわけですが……ウロボロスは弾かれて。

神四人の干渉がある、と分析に入る辺りは無敗の神としての矜持もあるんだろうなぁ。普段の振る舞いがアレなので忘れがちですが。レーシェとも違う現役の神様何だよなぁ……。

 

それがどこからの干渉だったのかのと、そもそもどうして大量の使徒が同一のゲームに集められるなんで自体が起きたのか、っていう問題の答えを出してくれたのは有り難かった。

もっともその後の会議での証言は断られたので、暗躍してる人々の計画を壊す所まではいかなかったみたいですけど。

 

人類最高と称される本部チームの4人が神様側で、オマケにフェイが以前に所属していたチームのリーダーまで協力しているとか。

この長く続いた神々の遊戯を破壊するべく動いているようで、彼女達の主張としては「神々の遊戯は続けてはならない」とのことで、目的は遊戯の破壊だそうで。

「超人化」の礎となった神呪を授けた神まで協力しているとなると、一概に間違ってるとも良い切れない気もしてきましたが。

 

遊戯を行う側だったレーシェにさっぱり心当たりがないのが気になるところ。

「遊戯はあくまで遊戯」と言う立場の神様もいるみたいですし……あとは、古の記録が残る神話都市の大図書館が全く利用者が居ないというあたりも鍵ですかね。

三千年前に忽然と時代から消えた古代魔法文明。それが消えたのが例えば神々の遊戯で十勝したプレイヤーが実は存在していたが、その時にゲームの電源を切るみたいに世界がリセットされた、とか。テキトーなことならいくらでも言えますけど。

 

ウロボロスの導きで、新たな神ポセイドンとミノタウロスに遭遇しゲームに挑むことになって。そこでもしっかり勝利を掴んでる辺り、フェイは流石ですね。

チームの絆もより深まった上で、黒幕の本拠地と言っていい本部に向かう決意をしたようですし、これから来るだろう答え合わせ回を楽しみに待ちたい。


ネームレス・レコード Hey ウル、世界の救い方を教えて

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「ああ。ウルの力を貸してくれ――お前と一緒なら、俺は初めて英雄を目指せる」

「……まったく、世話の焼けるご主人様です」

 

科学も魔術も発展していた旧文明。

しかし今では見る影もなく……生きた機械によって追いやられ、人類は滅びる一歩手前だった。

それでも諦めず人類文明圏外域に踏み込む探索者も居て、過去には今の最前線となっている街一つを解放した英雄だって現れたが……彼もまた圏外域で倒れた。

今の人類は明確な先導役もなく停滞しているような状態のようですが、そんな彼らの希望となるのが『予言の英雄』。教会が公布する「絶対に当たる予言」に紡がれた、世界を救うに足る5人。

 

主人公のレリンは、幼少期からそれに選ばれるための努力を重ね、救道院というこの世界の学校において主席を取るまでになった。

――そして、彼は『予言の英雄』には選ばれなかった。

レリンの幼馴染や友人から4人も選出されていて、彼女達もレリンの夢を知っていたからか、傷に触れないように気を使ってあえていつも通りに振る舞ってくれたりもするわけですよ。

でも、その気遣いに気付けるからこそ、余計に痛いんですよね。

 

だからグレるって宣言して、一人で圏外へと踏み込むような自暴自棄とも取れる行動に出てしまうわけですが。

「――賭け金が俺の命だけなら、全てのハードルはクリアされている」とか言って、実際行動に移せてしまう辺り、覚悟決まりすぎてる涼暮作品の主人公味を感じましたね……。

目的が全くない訳では無くて、10年以上前に父が辿り着き「もし同じ仕事を選んだなら言ってみろ」と残した記録を相手にした、自分はまだ出来ると証明するための儀式みたいなものでしたけど。緩慢な自殺でもあったわけで。

 

それでもレリンは死ななかった。悪運強いなぁ。辿り着いた先でレリンを主と仰ぐ、美少女型で会話も成立する、特殊な機械生命体ウルと遭遇。

ウルはレリンに、このままでは人類は滅亡する未来を知っている。防ぐために必要な予言書のデータを持っている、という気になるが怪しい話を持ち掛けます。

それでも、親しい人々の命もかかっているからとレリンはウルと一緒に活動を開始して、「予言の英雄」にはばれないようにこっそりと戦い始めることになるわけです。

 

結構気になる情報も散りばめられているんですが、総じて1巻は世界観とキャラ説明が中心だった上、予言の英雄はまだ全員登場できてないって状態。

これからが面白くなりそうな作品ですから是非とも続きを読みたい……!

ちなみに電子版の巻末に特典SSが収録されているんですが、涼暮皐先生曰く「1巻だとほぼ出番がない《もうひとりの英雄候補》と一生コントする話」で、あながち間違ってなかったので、電子版もオススメですよー。フィリア、結構好きな予感がする。


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