気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

講談社ラノベ文庫

グリモアコートの乙女たち

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「……なにを選んだって、後悔が残るときってあるんだなぁ」

 

魔法やそれを扱う魔女がいる世界。

日本で誕生したのはグリモアコートという道具を扱う、大和魔女という在り方で。

女性のみにしか使えないけれど、魔法の道具としての完成度が高いグリモアコートの秘密を欲しがる外の組織なんていうのもいるようで。

 

主人公の織音は、ある目的の為に大和魔女を育成する学校に潜入した男子で。

生来の容姿もあって、女装して潜入した彼を疑う者は全くいない状況。

なぜ男子なのにグリモアコートを使えるのか等の疑問を彼も抱いているようですが……それは二の次。

この学院に潜入した理由は、彼にとって敵である人物を探すことで。

 

学院は特殊な空間におかれていて、色々と制限はありますが。

学生の中にも外の様子を知る人はいて。学長にしても一筋縄ではいかない感じがしますが。

学長は、組織の長として覚悟決めてる感じしますけどね。

下手に外の魔女に指示を出して方針を固めてしまうと、戦争の発端になるかもしれないわけですし。大の為に小を諦めている感じ。

 

最もそれで切り捨てられた小の側からするとたまったものではないんでしょうけど。

織音の目的を果たすことは出来るのか。最も彼は彼で復讐にとらわれ過ぎているきらいがありますので、もうちょっと学友たちにほだされてくれればいいんですが。


二線級ラブストーリー

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「ええ、だから私は言ったじゃないですか。秋ちゃんは変態だと」

いやたしかに言ってたけど……まさかこのベクトルの変態とは思わなかった。

 

平凡な男子高校生松尾家之助は、親友で生徒会長の秋、憧れのクラスメイトの紗姫とともに生徒会に所属し、平凡ながら楽しい日々を過ごしていた。

家之助は紗姫が好きで。紗姫は秋が好きという状況。

ある日彼は、秋の秘密を知ってしまって……そこからドタバタのコメディが始まるわけですが。

 

まぁ、あらすじと表紙の感じから大凡「秋の秘密」には予想ついてましたが。

……だからって口絵であっさり明かされるとは。

二線級ラブストーリーと題されるのも納得の内容ではありました。

秋の秘密が明かされたと思ったら、さらに業が深い秘密を抱えているんだものな……

アレを見た上でなおちゃんと友人づきあいできる家之助はタフだなぁ。

 

そして秋の秘密が家之助にバレたことで、秋は遠慮しなくなりましたし。

紗姫も覚醒してしまって、この生徒会はいろいろヤバい。というか、最終的にしれっと学園に受け入れられてる辺り、この学校自体が恐ろしく思えてくる。

「謎の順応性を誇る我が一二三高校生徒たち。俺にはただただ不可解だった」と地の文にありますが、これが全てと言ってもいいような気が……

 

ひと悶着ありましたが、生徒会メンバーはひとまず落ち着いて。……噛み合ってるようで見事にすれ違っているアレがゴールでいいのかという気もしますが。

思い思いに行動している三人は、ひとまず満足してるでしょうし、一件落着と言っていいんじゃないでしょうか。

失楽ノア

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「今、はっきりとわかった。お前は素晴らしいくそ野郎だ。少しもためらわずに殴れる」


何がしかの代償を支払うことで、力を得る「契約者」がいる世界。
その中でも『神の弾丸』と呼ばれるエリートを育成するための学校があって。
主人公のノアは、妹の治療費を稼ぐために、この学校に出稼ぎにやってきた。
そこで、男嫌いの契約者、ユーナと出会って。

王道といえば王道な設定ではありますなー。
代償に羞恥心とかがあるあたりは面白かったと思うんですけど。
激痛っていう代償を払わないといけないから、裏工作で戦闘回数減らそうとした敵がいたりとか、その辺りは分かりやすくて嫌いじゃないです。

主人公の妹が患っている病気。
その背後にはなんかあやしい実験があるようですし。
居なくなった少女は、その実験行った誰かが回収してる上に、彼らも監察対象になっているとか、不穏な要素しかないですな。

一方でヒロインの方にも男嫌いとなった原因があって。
外面はいい家族による暴行。
それを知ったノアが、巻き込まれて決闘する羽目になってましたが。
展開が割と読めたからか、なんか、盛り上がり切れなかった。

ただまぁ、なんか煮え切らないといいますか。
スラスラ読めたんですけど、するーっと同じように抜けていったような感じがします。
主人公サイドの過去設定と、ヒロインの設定とネタが多かったから、全体的に物足りなさがあった。
ヒロイン候補か知りませんが、女キャラが多い割には、活躍も少ないといいますか。
王道になり切れず、テンプレと化してしまったような印象。


生徒会探偵キリカ6

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どんな戦いでも、後に残るのは傷だけだ。その傷痕を僕らは様々な名前で呼んでいるに過ぎないのだろう。たとえば教訓とか、罪とか、勝利とか敗北とか。地上は狭すぎて、僕らのいのちも短すぎて、すぐに新しい傷が重なり忘れ去られてしまうのだけれど。


今回は1冊まるまる、生徒会選挙。
絶対王者として君臨している、天王寺狐徹との対立を決意した初期のひかげ。
対立候補の朱鷺子と協力して、打倒を目指すもののいい方策は浮かばず。
この学校は相も変わらずこの手のイベントがお祭り騒ぎになるようで。
絶対勝てないとわかっていても出てくるお約束な泡沫候補とかもいて、それでいいのか、と少し思った。

後書きで作者も書いてますが、今回は誰が立候補するのか。
そして誰が当選するのかという二点に焦点が当たっているので、ちょーっと全体的に大人しかった。
探偵も詐欺師も、活躍している感じがあまりしなかったというのも惜しい。

ただ前任の広報や書記からみた「天王寺狐徹像」というのは中々面白かった。
相手の土俵に絶対に上がらない。自分から仕掛けて、速攻で相手を打ちのめす。
あの王者は、自分にないものを持っている相手を傍に置く。
敵こそ近くにおいて、刃を研がせ、反旗を翻す前に手放す。
結局今回の話は、選挙の話というよりは、王者である彼女の話だったという事じゃないですかねぇ。

発売が伸び伸びになって内容これだとやっぱりちょっと物足りないですねー。
いつも通りの雰囲気ではありましたが、いつも通り過ぎたといいますか。
もうちょっと刊行ペース上がらないものでしょうか。というか続き出るんだろうか……


アルティメット・アンチヒーロー2 妖精女王と百万の敵

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皆に讃えられる英雄になんてなれなくてもいい。
自分が受けた理不尽な略奪から、一人でも多くを救えるのなら――
それが叶うなら――
世界から拒絶されても構わない。

前回、五大長が英雄の扱いなっていないと思ったものですが。
今回は、教会勢力がクズだな、と思うエピソードでありました。
焔を「邪神使い」として悪役にすることで、自分たちの正当性を謳うその姿は、醜悪で。
特に今回の異端審問官がとった手っていうのがまた。
純華が守っている相手を襲う時に、純華の友人を連れて行って、それを囮に一撃見舞いするっていうんだから。

魔王の侵略に悩むこの世界ですが。
初めて、対話をしようとする勢力がやってきました。
妖精族の長、女王エルフィーナ。
彼女は、滅びかけている自らの種族の為、決して引かぬ覚悟を以て人類の前に立った。
それに比べると、五大長の器の小ささが際立ってしまうというか。
被害の規模からして、侵略してきた悪魔と思想こそ違えど、同郷の相手に心を許せないっていうのは納得出来ます。

でも、だからといって相手が優位な情報を持ってきたと思ったら、「じゃあ捕まえて解剖しようぜ」と言い出すとか。
それを女王の前で言ってしまうのが、悪手だろうに。
駆け引きで譲歩を引き出すとか、受け入れるふりをして、罠にかけるとかもうちょっと策を練ろうとは思わないのか。女王一人を捕えるよりも、妖精族を招き入れた上で利用したほうが価値高いと思うんですがね。
焔の「どこかの誰かが自分と同じような悲劇に合わないように」力を求める覚悟は立派だと思います。
けれども、そうして生き残った人類の暫定トップのする行いがこれかと思うと、言葉も出ない。
最後、インノケンティウスがまた行動を起こしたというか、作戦を進行させるピースをそろえてきてましたが。
……邪神使いの圧倒的強さを見ていると、今からでも遅くないから降伏しない? と言いたくなる。


アルティメット・アンチヒーロー 常勝無双の反逆者

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『私達は生きてるんです。だったら生きるために戦わなくてどうするんですかっ!』


異界からの悪魔の侵略をうけるようになった地球。
一世紀以上も戦い続けて、なお敵の侵攻は止まず。
常時脅かされているわけじゃなくて、たまに襲撃がある感じみたいですけどね。
そして、五年前。《魔王》と称される強力な個体の侵攻を受けた世界は、一度滅びかけた。
これは比喩ではなく、魔王の襲撃後生き残った国家はわずかに十を数えるのみ。
生き残った国は統一世界政府を作り、余力があった五か国がトップに立ち、五大長としていろいろと決議しているようですが。

神代焔。かつてたった一人で魔王を討ち滅ぼした英雄にして《邪神使い》と恐れられる少年。
いや、実際に邪神従えて攻撃させるんだから、恐ろしいのに間違いないですけどね!
世に俺TUEEE系統の作品とか、教官モノとかは大分数がありますが。
その中でも、群を抜いて主人公が強いというか。
封印処置された状態で、十人しかいないS級と同等以上とか。
人々が絶望を覚えた魔王を瞬殺したりとか。
もはやコイツがラスボスだろうって勢いで他のキャラクターたちとレベルが違う。

それこそ、首相が提案していた「神代焔の名のもとに世界統一する」なんてのが夢物語にならない程度には、現実味のある力があるといいますか。
焔にその意志があれば、割と容易く実行できそうな感じ。

一人の力持つ「英雄」に救ってもらっておきながら、扱い方がアレかと。
本人が、自分の力について自覚があって、受け入れているからこそ問題が起きてませんけど。
悪魔の襲撃という問題が解決できていないのに、封印処置したり、喧嘩を吹っ掛けたりと、「五大長」実は生き残る気ないんじゃないだろうかとすら思えてくる。
まぁ、割と安定して読めるので、主人公最強設定が嫌いじゃなければ楽しめるんじゃないでしょうか。


クロックワーク・プラネット3

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代償を支払ってもらう、と彼は言った。
それはつまり、払う必要のないものに代償を求めない、ということだ。
同時にそれは、自分が代償を払うことを躊躇わない、ということでもある。
(略)
ただ己の大事なものを傷つけた存在に対して、その代償を求めただけ。その為に必要なあらゆる代償を覚悟した。
これはただ――それだけの事なのだ。


榎宮祐とその友人、暇奈椿による共著。
……のはずが、今回暇奈さん協著になってるんですが。
まぁ、後書きによれば、作業量半々になるはずが、やり取りしている中で大体榎宮祐さんが書いたからこういう書き方になっているそうですよ。
いや続き読めるなら何でもいいんですけど。てっきり榎宮祐さんの体調の問題で続きでないのかと思っていたら……二人での執筆とかは中々手間なところがありそうですよね。

閑話休題で本編。
前回の最後に起動した、巨大兵器。
時計仕掛けの惑星において禁忌とも言える、かつて人類が活用していた電磁技術を用いた攻撃。
ま、名目上は禁止されていても各国秘密裏に実験したりはしてるみたいですけど。
敵の攻撃によってハルターとかも活動停止してしまう訳なんですが……
自力で脱磁できるとかYシリーズまじチート。まぁ、アンクルはすぐに動けましたが、リューズの方はちょっと無茶してしばらく活動停止してましたけど。

ナオトの本性が出てきた、といいますか。
これまでは、単純に異能とでも言うべき耳を持っているだけの少年で、機構を愛しているっていう面が出ていましたが。
いざ覚悟を決めると彼ほど怖い相手もいないっていうのがよくわかる感じでしたね。
マリーはマリーで天才という評価に恥じない成果を信じられないほどの短時間で上げてましたが。
この二人のタッグは本当に敵なしなんじゃないかって感じがします。
異能による知覚と、調整・整備する技術。
お互いにない物を持っていて、補い合って活動をしていた感じですが。
今回の事件を通して、それぞれの蓋が外されて、こう、恐ろしい存在が二倍になった感じすらするんですがどういうことなの。

兵器を持ち出した敵の思惑通り、政治家とかが面白いぐらい混乱していて、呆れるを通り越して笑うしかなかった。
唐沢さん本当にお疲れ様です。常識人があの中に一人とかかなり大変だったろうに。
実際最後仕事頑張りすぎて痛い目見てますけど。なかなかいいキャラだったのでいつか再登場してほしいなぁ。

序盤は、反撃のための糸口探しってことで若干冗長な感じもしましたが。
いざ行動を起こせば、一チームとしては戦力過剰だからなぁ、コイツラ。
おっかないにもほどがある実行力を以て、途中綱渡りこそあったけれど、目的を達成するんだから流石。
今回の事件は解決したものの、謎は残ったというか最後にあからさまに黒幕自称する怪しい輩からの通信があったりしましたしね。
敵さんの目的はいったい何なのか、気になるところです。


ストレンジ・エッジ 異界の剣士と孤高の魔女

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「君は、私とレンジくんの敵。今、この場に必要なのは、それだけだ」


アルティが可愛かったですよ、うん。
見所ってそんなもんじゃないあなぁ。
いや、決してつまらないわけじゃないんですけど、盛り上がりが足りないというか。
可もなく不可もなくみないた普通の感じが。
ゆるーいラノベを読みたいんだったらあるいは楽しめるかもしれませんが。

少数の圧倒的な力を持つ魔人に支配されていた世界。
それに人は反旗を翻す者の・・・敗北。それによって大地に住む場所を失くした彼らは、空に逃げることにした。
古の魔導によって作られた、空に浮かぶ島。

千年を超える寿命を持つ魔女族。
彼女たちは、322年前に起きた大戦において、破れた人々の陣営に属して戦っていた。
けれど浮遊島に移住してから、ほかの種族と仲たがいし、人里離れて暮らすようになった。
その仲互いの理由が明かされていますが・・・正直納得いかないんですよね。
一緒に戦った仲間よりも、ぽっと出の「聖女」を信じるのかよ、と。
なんで、共に戦った魔女を排斥しようとする言葉を、信じてしまったんだろうか。

ツッコミどころが多くてなんだかなぁ、という感じでしたね。
主人公のキャラクターが色々と弱いですし。
駆け足な感じもあるし、読み終わって、物足りなさが残る時点で色々と残念。


生徒会探偵キリカ5

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でも、探偵は依頼を突っぱねたわけではない。
下請けに出したのだ。
「ひかげ。そろそろあなたの料金も決めたら」
キリカの言葉に、僕は苦笑いを返す。真実を難なく見通す探偵と違って、こちとら毎度毎度駆けずり回って四苦八苦してるんだよ。定額料金なんて決められないよ。


今回は口絵がちょっと、アレだったかなー。
ヒカゲの部屋に生徒会メンバーが来ている絵はともかく、他の2枚はちょっとネタバレが強すぎるんじゃないかと。
体育祭を乗り切って、今回は、ついに文化祭本番。
準備しているときに流れた、怪談話の噂。そして、ひかげの姉、ひなたの知り合いからの接触。

キリカが怪談苦手にしているのは可愛かった。
怖いけど、その手の絵本も好きで誰かに読んでもらっているっていうので、その姿が視てみたいと思いましたが。
しかしあれだけ怖がっていて、ひかげが言っていたように、よく泊まり込んだりできているもんだなーというのはありますが。

で、その事件を解決すると、今度は学園祭当日。
演劇部がらみで色々動いていくわけですね。ひかげの姉、ひなたも登場してきたりと少しずつ動いている感じはあるんですけど、前回の体育祭の魔王様ほど、パンチがなかったというか。
魔王様が、わかりやすい厨二だったくせに、選手宣誓の時に格好良かったのがやっぱり大きいかなー。
今回はひかげの詐欺師成分が少ないのと、依頼者とか謎とかにインパクトがなかった。
生徒会としては、文化祭の方が本番じゃないのだろうか。
描かれていないところで・・・ってことかもしれませんが、それだとやっぱり物足りない。

今回は、イベントの大きさの割には盛り上がりが足りなかったかなー。
体育祭より、生徒会メンバーの動きが少な目だったからでしょう。
文化祭実行委員の薫が中心になって行動してく感じでしたし、謎解きも、生徒会メンバーがどうこうっていうよりは、結構その場その場で対応している感じでしたし。
演劇部の方に焦点移っていたので。

さらっと書かれているけど、ひかげと一緒に文化祭回るのを楽しみにしていたっぽいキリカが可愛い。
そして職権乱用をしてでも、座席確保して演劇部の公演に行っているあたりが。
しかし、ひかげも覚悟決めたようで。もうじきに生徒会選挙。戦いの場は、近いようですねー。


クロックワーク・プラネットⅡ

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「(前略)このボロボロの世界に価値なんてないかもしれないけど、それでもちゃんと意味はあるんだった」
なぜなら価値を認められるのは他人でも、意味を認めるのは自分だからだ。
だから人は誰しも自分の生まれてきた意味を探すために生きていく。


寿命を迎えた地球を、歯車によって再生させた、「時計仕掛けの惑星」の物語。
1巻が4月に出ているので、実に8か月も間が空いたんですねー。
次回に続く展開になっているので、もう少し早く出てほしいようにも思います。
しかし、この作品。「榎宮祐」という爆弾を抱えているわけで。
・・・えーっと、本気で倒れちゃわないんでしょうか、大丈夫? と心配になる事間違いなし。
著者コメント欄でも合同の後書きでも、結構すさまじいことになっているようにも思うんですが。
まぁ、とりあえず、仲良いですね、とは言いますが。お大事に、とも言いたいところ。

さておき、本編の感想です。
表紙にも帯にも登場しているので丸わかりですが、1巻で出会えなかったリューズの妹「アンクル」が登場します。
この調子で一巻ごとに「Y」の遺産を継いでいくんでしょうか。
次回は流石にそこまでの余裕ないように思いますけど。
兵器として作られたというアンクル。その性能は、前回圧倒的な力を持っているように見えたリューズに勝ち目がないといわせるほど。
いや、前回確かに「最弱」とは言っていたけど、現行の兵器ものともせずあっさり破壊したリューズに勝ち目ないとか、ちょっと製作者はっちゃけすぎじゃね?
地球を時計仕掛けで再生するって発想自体がとちくるってますけどね。

プロローグの前、序章も序章というか、最初に軽く触れられてますが。
永遠は存在し得ないのが真理だというのなら。
その真理さえもが永遠ではありえないのだと。

『彼』はそう考え、だったら直せばいいじゃないと思ったのだろう、とそんな感じに書かれてます。
まぁ、今回のアンクルの機能が『永遠』を体現する「永久機関」だっていうんだから、そっちの話でもあるんでしょうけど。
こういう前提からひっくり返そうとする発想は結構好きですよ?

1巻の最初に、ナオトたちが秋葉原でテロをしていた理由とかに迫る内容でした。
しかしまぁ、京都をパージしようとした前回も思いましたが、人類終わってね?
いつの世も悪い事考える人は尽きないというか、エゴによって回っている部分あるよなぁ、とか痛感させられました。
地球が終わった時に、ある意味で終わってしまった部分もあるんじゃないかと。
歯車で再現され、異常が出た場所をパージすることで延命してきた世界。
時計仕掛けだというのなら、本来僅かでもかけたら動かないはず。
しかし、パージされてなお、他の場所が補い、周囲にいくらかの影響を及ぼしながらも、世界は存続している。
そのことに対する甘えというか、理解できずに思考放棄した人が多すぎるんでは。
いやまぁ、『虚数時間』とか『永久機関』創っちゃう人間の制作物を理解できる人間なんてそうそういてもらっても困るんでしょうけど。

政府も、軍も、五大企業も。
だれもがあちこちで歪になってしまっているんじゃないか、と思います。
第3章で、マリーが尋問した相手の叫び。
勝手なことを言うものだ、と感じましたが、あの人にとっては確かにそれが事実だったんでしょう。
主人公たちにとって優しくない展開になりながら、それでも折れない彼らがいいですね。
前回の事件は赦せないだろうし、それに報復があったのも自業自得。
それを許容できずに、あちこちで歪みが表面化してきた感じでしょうか。

作中で「数百年かけて足がかりを得るような作業」を2人は「3日」で仕上げます。
ただ、この惑星が時計仕掛けにされてから、1000年。
2人がやったテロ行為につながるようなものは別として、この機構を理解しようと、足がかりを作ろうとした人はいないんでしょうか。
『技師団』も維持と保全が仕事のようですし、彼らにもわかっていないこと多いんじゃないかなーと。
前回みたいに、変な思惑もって動かれることもありますし。
まぁ、そんな背景の事とか考えながら読んでいましたが。

とにもかくにも、前回描かれていた、キャラ同士の愉快な掛け合いだったり、2人の異能と才能の合わせ技だったり、独特の世界観にあふれる魅力とかは少しも衰えることはなくここにありました。
気に入ったシーンもいくつか。
リューズとナオトがマンガ喫茶のカップルシートでイチャイチャしまくってたりとか。
マリーとハルターのアクセルとブレーキじみた掛け合いとか。
アンクル修理するシーンは、アレをやった「Y」ってやっぱり頭おかしいわ、っていうか。
凡人なんでナオトが何を言っているかさっぱりわかりませんでした。アレわかるのナオトくらいだろうけど!

しかし、いい作品読むと心が潤いますね。
満喫しました。


プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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