気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

★5

ロード・エルメロイⅡ世の事件簿5 「case.魔眼蒐集列車(下)」

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「今後こそ、私は勝ちたいんだ。この事件の犯人が私の敵であると分かった以上、どうやっても負けるわけにはいかないんだ」

 

あぁ、もうやっぱりこの物語が好きだなぁ。

グレイがⅡ世にいい影響を受けてますよねぇ。彼を尊敬している、というか彼の願いを尊重しているのがよくわかる。

「もっともっとこの人は報われていいって思うのに、その笑顔を見ると何も言えなくて」という彼女の思いが本当、魔術世界において貴いというか。彼女自身も色々背負ってますから、師弟でもっと報われる未来へたどり着けたら最高ですね。

 

魔眼蒐集列車が接近した腑海林の仔、これはまた別の死徒の置き土産のような存在だとか。

霊脈を見失っているため列車が立ち往生しているので、マーカーを打ち込み、列車を動かす手伝いをすることに。

怪しい事件が起きている中で、他の魔術師と協力するのは中々リスキーですが、Ⅱ世の怪我の状況も思わしくない為、速やかに氷雪の森から離れる必要があって。

グレイがマーカー打ち込みに協力する事に。前回最後に登場した吐血キャラも合流して、何とか森を突破。

 

「立ち上がったわけじゃない。――単にうずくまる方が辛いだけだ。

諦めなかったわけじゃない。――単に、思考を止められないだけだ」

止まることができなかった、エルメロイⅡ世。彼は、意識を取り戻した直後から、車いすに乗った状態でも行動を開始して。

犯人が「敵」であることを認識し……それを止める為に、行動を起こした。

今回の事件をきっかけに、彼はある決断を下したわけですが。笑顔で、宣言されたら、それはもう頷くしかないじゃないか……

 

カウレスが原始電池を使いこなして、アポクリファ知ってると、こう叫びたくなるような技を身に着けていたり。

グレイの持つ槍の十三の枷について触れられたりと情報が盛りだくさんでしたね……

FGOで見た名前もあって、もう……今から次が楽しみでなりません。

 

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンⅩ

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「味方としての『彼女』への信頼より、敵としてのイクタ・ソロークへの警戒がこの状況下で勝った。加えて、その認識が正しかったことまで結果が証明してしまって――」

言葉を続けながら、彼は無意識に両のこぶしをきつく握りしめ――飲み込みかねたように悪態をついた。

「――Hazgaze(ふざけやがって)!」

 

あぁ、彼が帰ってきた。

もうこの巻の感想はこれに尽きてもいいぐらいです。

炎髪の彼女が消えてから。騎士団の形が崩れてから、残された者たちはそれぞれ何とか戦い抜いてきたわけですが……

 

ハロの暗躍がなかろうとも、元々下り坂の途上にあった帝国は崩壊していた可能性の方が高く見える。

皇帝と騎士団の温度差からもそれが伺えましたが……イクタが戻ってきたことで、これまで溜まっていた鬱憤を見事晴らしてくれた。

 

不眠の輝将に追いやられていた状況から見事持ち直し。

ハロの問題に向き合い、答えを出した。

多少甘い解決になったとみることもできますが……まぁ、主人公復活回だし、これぐらいいい目を見てもいいんじゃなかろうか。

狐が未だに残っていたり、問題が解決したわけではありませんが。復活したイクタが元帥に任命されたことで、色々と状況も変わってきそうな予感がします。

 

帝国は崖っぷちだし、キオカも別に理想郷ってわけではないんですよねぇ。

パトレンシーナや輝将の扱い方からしても、執政官は大分食わせ者ですし。

これで北方の教会の猊下が只人のはずもないし、あちらは三国会談を計画してるみたいで色々と動くかなぁ。

帝国に残っていた「アナライの弟子」が文官として登用される運びとなったけど……イクタはまた随分個性的なの連れてきたな。

劇薬という事ですし、上手く狐捌いてくれるといいんだけどなぁ。あの狐毒呑んでも平然としてそうだから怖いよなぁ……

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (10) (電撃文庫)
宇野朴人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2016-07-09
 

その無限の先へ4

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「違うだろ。なんであんたが諦めるんだよっ!! 後輩が追い抜ていくのを笑ってみてるんじゃねーよ。先輩なら先輩らしく、先に行って待ってろよ!!」

その言葉は、先に進むと決めてなおどこかで諦めていた心の深い場所に、痛烈に響いた。

「俺達はすぐに追いつく。追いついてやる。〝あいつ“に辿り着いてやる」

 

WEB版でも気に入っていて何度も読み返している、新人戦が描かれています。

書籍化の改稿によって、いくつかシーンが加わってますね。

 

ダンジョン篭もりでの修行により、グワルから手ほどきを受けて。

新人としての成長で見れば100点以上だが、アーシャに勝てるかって意味では1点以下というような評価されてましたが。

挿絵でのサージェスのインパクトが全体的にひどい。ヒュージ・リザード戦では普通にできる人みたいな感じだったのに、新人戦でのアレは……ひどい(褒めてる)。

そりゃアーシャさんも固まるよ。むしろ初見で固まらない人いるのかよ……

 

綱が治療室に転送された後、「謎ギフト」に絡みそうな過去を回想していますが……彼の死因、失われている死ぬ数年前の記憶。

追加されていた「あいつに辿り着く」という言葉。未だ本編でも明らかになっていない、黒幕について伏線張られてる感じですねぇ。種明かしが今から楽しみです。

 

オマケに、短編と描き下ろしの中編も。短編はトマトさんが遠征してオリ主さんに会うアレなので良いですが。

描き下ろしのストーリーはダンジョンマスターとその仲間たちのエピソードで、かなり興味深いものでした。

 

いや、ダンジョンマスターたちの印象変わるな。

ダンマスが限界だって言うのは、ユキと逢った時から言われていましたけど、ダンマスの仲間も、同じ時間を過ごしているだけあってかなり歪んできてる様子です。

水の巫女。迷宮都市の領主。ダンマスの妻。多くの肩書を持ち、WEB版でもほぼ描写がない那由多についても触れられていて。

 

ダンマス以上にヤバい状態だとは。彼女が動き出したのって、やっぱり自分と同じことをした存在について知ったからかなぁ。

アーシャさんたちの両親って元ダンマスのパーティーなんですねぇ。夫の方は今も参加しているようですけど。

他にもダンマスの奥さんの名前とか、経歴なんかも触れられていたりして。

綱の出身地の事情についても、裏側暴露されてましたね。綱が去った後に崩壊したのか、現存してないなんて情報もしれっと描写されてました。

色々と新発見が多い読み応えのあるサイドストーリーだったと思います。

 

後、コレを読んで分かる新人戦のひどさ。

WEB最新話でされている無茶ぶりが難易度7なのに、新人戦難易度10だったのかよ……ダンマスが流星衝使うように誘導していたこともあったし、無理ゲーだったのは間違いないようで。

 

可能性が0ではないってだけで、奇跡の連発が前提という、ほぼ達成不可だろそれという課題。まぁ、綱達はダンマスの想定以上に食らいついて、影響を広げたようですが。

最初にハードル上げておけば、覚悟もしやすいという思惑もあったようではありますが。

これがバレたら綱達に殴られそう……いや、まったく聞かないですけど。どうか、綱達には見事駆けあがってダンマスどつけるぐらいに成長してほしいものです。

その無限の先へ (4) (MFブックス)
二ツ樹五輪
KADOKAWA/メディアファクトリー
2016-05-25
 

東京レイヴンズ14 EMPEROR.ADVENT

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「人をたらし込む才能は、血だな」

(略)

「要するに、お前の宿命なんだ。諦めろ、土御門。行って……飛車丸(このバカ)を起こして来い。俺はまだ、お前らをみていたい」

 

ついに決戦の日を迎えて。

春虎はいよいよ手段を択ばず、支局の襲撃とかを始め。

夏目たちは、天海の知名度やらそれぞれの伝手を使い、陰陽庁の真実を告発する。

その動きの中で、『十二神将』たちもそれぞれ決断を迫られて。

クライマックスに向けて加速していく描写は、さすがの一言。やっぱりこの作者さんは、物語の佳境を描くのが上手いよなぁ。

他の作品でもそうでしたが、伏線を見事に回収してくれると言いますか、キャラを大事にして、展開に生かしている感じがします。

 

いやぁ、キャラクターが多い中で、うまくそれぞれの葛藤を描いている。

『結び姫』弓削と宮地のやり取りなんかも、いい感じでしたね。一線級の陰陽師でも、迷い行動しなくてはならない。

弓削の迷いも、分からないではないです。自分の信じていたものが揺らいで、信じたいものがあって、信じきれなくて。だから、「誰か」にすがった。

宮地がもうちょっと底意地悪かったら、長官側になっていたかもしれません。けど、彼はそれを良しとしなかった。叱咤して部下を、先に進めた。

……三善に言われていましたが、彼は彼で甘いですよね。天海を捕えた時も、彼が手を回していたから、天海は生き延びたわけですし。

 

そして、春虎が夜光ではなく、春虎と名乗るわけ。

大義名分の為ではない。たった一つ譲れない、シンプルな覚悟。

彼は結局夏目の為に動いていて。

その夏目の不安定さの秘密なんかも今回明らかになってましたけど、いや、見事に騙されてた。

 

長官達優位はそうたやすく動かないだろうと思っていましたが。

意外な形で、庁舎を捨てる形にはなり。春虎や大友の行動によって、あと一歩のところまでは近づいたものの、届かず。

けれど最後に、一か八か賭ける目を春虎が見つけているので、どうか勝ちの目を拾ってほしいものですが。
まぁ、この緊迫した状況で次回はまた違う場面に行きそうなので、それが楽しみでもありますし、少しもどかしくもあります。

 

東雲侑子は短編小説をあいしている

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「私はそうじゃないと思う。人間ってとてもちっぽけで、小説にしてみればせいぜい原稿用紙50枚とか60枚とかの短編小説みたいな人生しか送れないんじゃないかって」


楽そうだからと図書委員会に入った高校1年の三波英太。
彼はたまたまクラスメイトで、同じく図書委員会に入っている少女、東雲侑子の秘密を知って。
彼女は、短編小説を愛する作家、西園幽子としての顔を持っていた。
そして秘密を知ったこともあって、東雲との距離が縮まって。

これまで短編ばかりを描いてきた作家ではあったが、新たに長編に挑戦することとなり。
秘密を知ってる英太に協力を要請して、色々と取材していくことに。
英太は兄に対して劣等感を持っていて、無気力なところがあり、物静かな東雲にどこか共感を覚えていたようですが。
そんな彼女にも熱く語れるようなことがあるとしって、どうにも混乱しているような感じ。

真っ当な青春モノ。
大きな事件は起きないし、登場人物も限られていて、きわめて狭い範囲で完結している。
始めは二人とも、顔見知り程度の距離でしかなかったのに、じわじわと距離が縮んでいく展開が、いいんですよね。
どう声をかけたらいいのか、迷い戸惑い、それでも交流している姿は、もどかしいし、とっとと付き合ってしまえよと焚き付けたくもなるんですが。
東雲が初心というか、純粋な子で、英太も無気力ではあるけど別に枯れ果ててしまっているわけでもなくて。
付き合っていく中でそんな二人が変わっていく様が描かれると、一周廻って見守っていたくもなります。
上手く語れてはいませんが、とにかく、この作品の雰囲気が好きで、何度も読み返してしまう、そんなシリーズです。


血界戦線10

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「絶望的な負い目が己を支える礎となり 痛切極まる悔恨が不退転の爪となるなら」
「今の君を作ったのは あの日の挫折だ」
「その強さが我々を 妹を 果ては人類を救った」
「これは厳然たる事実であり 卑怯さからは最も遠い行いだ」
「誇り給えレオナルド・ウォッチ 私も君を 誇りに思う」

今回は1巻まるまる使って一つのエピソードが描かれていました。
神々の義眼を手に入れた、レオにまつわるお話。
妹の失われた視界をどうにかしたい、とこの混沌とした街に彼は足を踏み入れたわけですが。
過去に記録のある「神々の義眼保有者」の近くには、同様の失明者がいて。
先日登場した本の院長曰く、義眼保有者の記録はあるが、義眼摘出の記録はゼロだとか。
「神々の」と頭につく通り、単純な医療行為として抜き取れるものではなく、ある種の契約のようなものなのだろう、と。

答えを見つけられず、悩み続けている様子です。
一方で、眼の扱いには慣れてきて、ライブラの作戦時に、他人の視界を操作したりして、サポート要員として活躍してますね。
そしてついに、彼の妹が登場。これまで存在だけが語られていた彼女。
彼女は、兄に婚約者を紹介するために、ヘルサレムズ・ロットまで足を運んで。

そこからレオが騒動に巻き込まれていくわけですが。
以前の彼にしか見破れなかった幻術といった存在があるように、特殊な目を持つ彼にしか見えないものがあって、孤独な戦いを強いられるというのは、王道で、だからこそ熱いものでした。
妹との幼少時の会話。引くことを知らない「亀の騎士」。
戦闘力は皆無ですが、諦めずに行動し続けたレオの姿勢には頭が下がります。
アレは真似できん。

回想で登場した、ライブラメンバーからのレオへの助言がそれぞれの個性が出てて良かったです。
アドバイスをするもの、代わりに攻撃してやるというもの、状況の把握や回避を進める者。
チェインの言う、消えちゃえば良いっていうのは、それ不可視の人狼だから出来る手法じゃないんだろうか……
クラウスが課した厳命が好きです。彼。本当愚直なまでに紳士ですよね。リーダーを務めているのも納得です。
今回はレオが終始、彼に出来る事をしていて格好良かったですが、クラウスも別の面で格好良かった。いや、満喫しました。
これで完結になってもおかしくない雰囲気でしたが、「第一部完」という形のようで、第二部も始まる様子。今から楽しみでならない。あぁ、早く本にまとまらないだろうか。


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6

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「比企谷。誰かを助けることは、君自身が傷ついていい理由にはならないよ」
(略)
「いや、別に傷つくってほどのもんでも……」
「……たとえ、君が痛みになれているのだとしてもだ。君が傷つくのを見て、痛ましく思う人間もいることにそろそろ気づくべきだ、君は」

今回は、文化祭です。
文化祭の実行委員をやる羽目になってしまった、八幡。
雪乃との距離感を測り兼ねたまま、どうにも調子がつかめない。
けれど、委員会の会合にいってみれば、その雪乃も参加していて。
二人とも委員長をやるようなキャラじゃないですが、仕事振られれば、しっかりそれを成し遂げるんですよね。

委員長になったのは、八幡のクラスメイト相模という少女。
八幡的視点でいうと、クラスカーストの上位だがトップ集団に加われていない、No.2集団のトップという微妙な位置。
また、彼女が色々と状況をややこしくしてくれているんですよねぇ。
そのしわ寄せが八幡と雪乃に来ていて、おまけに最後に面倒事をより大きくしてくれて、あそこまで行くと一種の才能にすら思える。

由比ヶ浜は、実行委員には参加してませんでした。
彼女なりの成長がみられた、といいますか。八幡も雪乃も面倒な奴らだから、彼女なりに付き合い方を決めたようで。
こちらに近づこうとしている雪乃は待つことにした、と。
「でも、待っててもどうしようもない人は待たない」
(略)
「違うよ。待たないで、……こっちから行くの」
という言葉に、八幡も衝撃を受けてましたね。中々ここまで思い切って、宣言してくれる相手ってのはいないと思いますが。

葉山が八幡のやり方を見て「どうしてそんなやり方しかできないんだ」と零していましたが。
どうして彼はあぁいうことしか出来ないんだろう。結果は出ている。ベストではなくともベターな位置には持って行けただろう。
けど、それを見ていた周囲はどう思ったのか。本人は納得ずくでも、変化した評価を聞いた周囲は。
静先生の言っていた通り「君が傷つくのをみて痛ましく思う人間もいる」という話で。
奉仕部の面々が、変わらずにいてくれるのが、唯一の救いでしょうか。


四月は君の嘘11

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耳をすませば 僕は たくさんの音であふれている
僕は一人じゃない
僕らは誰かと出会った瞬間から 一人ではいられないんだ――


ついに、完結。
アニメも見てましたし、待ちきれなくて最後の方は雑誌も追いかけていたので結末はわかっていたんですが。
それでも。なお心に響くものがありました。
いやぁ、いいタイミングでアニメ化したなぁ、といいますか。
アニメが本当に贅沢な構成だったよなぁ、という思いがますます強くなりました。

かをりが倒れた場面に居合わせてしまった公生。
以前のように、ピアノから離れてしまい、コンクール前なのに、沈んでいて。
「音楽は僕の大切な人を連れ去ってゆく」。
そんな思いに縛られて、ピアノを弾くことができず、けれど、また少女に救われる。

コンクール当日に手術することになったかをり。
絵美や相座もしっかりと仕上げてきて。
ピアノから離れて、つぶれそうになっていた公生も、なんとか発表の場所にたって。
頭を抱える場面もあったけれど、どうにか演奏を始めた彼は、格好いい演奏家でした。

読み終えて思ったのは、タイトルにもしっかり意味があったんだ、と。
きっと作者が描きたかった結末にしっかりたどり着けたんじゃないでしょうか。
彼らのその後は気になります。けれど。ここで終わる方が綺麗なんでしょう。
あぁ、いい作品を読んだ、という気持ちが溢れる、記憶に残るシリーズでした。


つれづれ、北野坂探偵舎 感情を売る非常な職業

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「どちらも間違っていないが、いちばん大事なことはそんなことじゃない」
「じゃあなんですか?」
「言葉にはできないよ」
「言葉にできないことが、この世界にありますか?」
「あるんじゃないか? たぶん。でなえれば、小説はひどくつまらない」


傷一つない、完璧で完全なものなんて存在しない。
けれど、どうしたってそれを求めてしまう人はいるのだ、とそんなお話。
佐々波が編集者をしていた、過去のエピソードが語られます。
このシリーズは結構好きなんですが、今回が今のところ一番気に入りました。

萩原春。愚直なまでな校正者であった彼女。
編集者であった佐々波とのすれ違っているような、噛み合っているような何とも言えない交流に、胸に何かが刺さるような痛みを感じ、どうしようもなく憧れた。
自分は萩原春というキャラクターは結構好きです。

何を一番大事にするのか、その一番のために何を犠牲に出来るのか。
覚悟を決めて、彼女は選んでしまって、その結末がアレなのか。
「最高の本に仕上げよう」。

失恋に似ていて、殺人に似ている二人だけの会話。
線引きをした境界。作家は「こちら側」といって、校正者は「向こう側」といった。
結局のところ、その差がこの結末につながったのではないかなぁ、と。
別れの場面の描写がなかったのが少し物足りませんが、あれで終わっているのなら、それはそれで綺麗かな。
彼女の起こす現象がなんだったのか、ちょっと気になりますが。

しかし、このエピソードを見て思うのは、紫の指先を追うエピソードは、雨坂と佐々波の二人で完結できそうなんですよね。あとは、幽霊になったノゾミちゃん。
3巻の時にも触れられてましたが、小暮井ユキというキャラクターが、レギュラーのように登場しているのは、いったいどんな意図があるんでしょうかね。


ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンⅦ

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「乾杯しようか。君の堕落と、僕たちの勝利に」
「ええ――乾杯」


もう、言葉もない。
イクタとヤトリの間にある、分かちがたい絆。
いつかその源泉を見てみたいとは思っていました。
信頼するに足る相手。己が半身。
そんな想いを抱くに至る経緯は、納得できるだけのボリュームがありました。
でも、だからこそ、これは無いでしょう。
戦場にそれを求めるのは愚かだとわかっている。
けれど、それでも引き返せない一手を打って行動を起こした結末がアレではイクタが、誰もが救われないじゃないですか。

幼少期、わずかな時間ではあったが、密度の濃い時間。
バダとイクタが計画していたヤトリの堕落。
「一つ覚えておいてよ、ヤトリちゃん。おれの持論の中でさ。これだけは絶対に譲れない。――すべての子供には、夢を見る権利があるんだ」

なるほど、昼行燈と揶揄された過去を持ち、それでいて大将になるだけの器は確かにあったんじゃないでしょうか。

なぜイクタが帝国から離れないのか、閑職とはいえ司書をコネで回してもらってまで、落ち目の国に残牢としていたのはどうしてなのか。
結局それは、これまでに語られていた通り、ただ一人のため、だったわけです。
イクタの熟女趣味についても、その根幹となる要素が描かれていて。
少し予想から外れてはいましたが、イクタの母はかわいらしく、そして強い人でしたね。

イクタの父が戦犯として裁かれた理由も、過去のイクタたちは推察してました。
しかしまぁ、本当にどうしようもないほど、ボロボロなんだな、この国。
そりゃあ、レミオン派も立たずにはいられなかったんじゃないだろうか。
過去の回想を踏まえて、イクタとヤトリの話には文句のつけようもないのですが。
元帥は、もっと何かできなかったのだろうか。彼だって内心悩みはしていたみたいですが。

イグゼムは確かに強い。最強の剣士であるのかもしれない。けれど、前回イクタがレミオン大将を軍人として最適化されていて政治家向きじゃないとか言ってましたが。
イグゼムは、最強でありすぎるあまり、孤立し、ただの「権力を護る装置」になってしまっていないだろうか。
この点ばかりは、狐の言い分に納得してしまう。頭が固いとかそういう次元の話じゃない。
ここまで騒動が大きくなって、喪って、もう二度と戻らないものがあるというのに。
狐狩りに失敗してしまったのは、悔やんでも悔やみきれない。

戦記モノとしては、文句のない一冊では、ありました。
結局ライトノベルだし、どこか甘い夢を見ていた部分もあるかもしれない。
何とか無事に着地できる未来があるのかもしれないと、想っていた。
こういう決別というのは、痛くて苦しくて、辛い。けれど、心に残って止まない。
ここまで積み上げてきたものをすべてひっくり返すような展開を書くのは、作者だからこそ辛く、けれど書かずにいられなかったことなんだろうか、なんて。

狐狩りには失敗する、柱は失われ、最後には「破壊」と共に記される王が君臨する。
ただでさえ、下り坂に在った帝国ですが、これはもう歯止めが聞かないほど壊れてしまったんじゃないでしょうか。
後はもう転がり落ちて、チリの一つも残らないほど、砕かれていく未来しか見えない。
これで新章が秋ってのは酷だ……

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (7) (電撃文庫)
宇野朴人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2015-03-10

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