気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

★5

紅き唇の語りし夜は 月の白さを知りてまどろむ

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「巫に贈るものだ。きちんとしておきたい」

(略)

彼女の為に捧げるのだ。全てに変わらない想いと、真っ当な筋がなければ。

 

『月の白さは知りてまどろむ』という作品の短編ですねー。

WEB本編は一度第五章で完結となり、後日談となる六章以降が連載されてるんですよね。

小説家になろうとカクヨムで掲載されていて、カクヨムの方に八章が途中まで乗ってます。気長に続きを待っている。

シシュとサァリの物語の続きが読めるというだけで、もう、本当に幸せなのですよ。

 

さておき、この同人誌『赤き唇の~』は第五章前に起きた事件を描いています。

シシュとサァリの関係が近づいて、けれどまだその道が重なっていない。この不器用な二人の交流が見ていて微笑ましい。

戦闘力とか言う単位で見ると、どっちも常人離れしてるんですが。

それを気儘に振るうのを良しとせず、けれど使うべき時には躊躇わない。その在り方が、美しいと思う。

 

この短編だけでも、本当にお互いがお互いを大切に思っていて。

アイリーデの人々に、シシュが客として選ばれるんだろうなというのがよくわかる。

シシュが贈り物をしようとして真っ先にサァリが候補に挙がるあたりで、明らかですけど。

「将を射んとする者はまず馬を射よ」とか「外堀を埋める」のように、目的を達成するためにまっすぐ行くのではなく、周辺から問題を片付けろという言い回しがありますが。

……この二人「相手を大切にしたい」という大目的を既に達成しているし、サァリなんて「シシュのそういうところが好きなの」とか言うのに、その手前にある問題で立ち止まってるからな……

 

好きな雰囲気で全体まとまっているんですが……特に気に入ったエピソードは、シシュが菓子屋出禁になってた所ですかね。

あの不器用さがシシュらしい。一応出禁解除の条件もはっきりしていたので、それを為した後、きっと彼は土産に買っていったんだろうなと思うと、なんかほっこりする。

 

最近『Unnamed Memory』ばかり推してましたが、『月の白さを知りてまどろむ』も好きです。WEB版で良いからみんな読もう・・・

つれづれ、北野坂探偵舎 物語に祝福された怪物

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だから、雨坂続が完成したとき、編集者としての佐々波蓮司は必要なくなるだろう。

それは悲しいことではない。

むしろ、夢のような。奇跡のような、喜ばしい未来だ。

 

シリーズ完結巻。

作家と編集者の業が描かれているように感じられて、好きな作品です。

それが一番濃く感じられる4巻の「感情を売る非情な職業」が一番のお気に入りではあるんですが。

完結となる今回も作家の我がままな面、人間味のある面など多くの顔が見られて楽しかったです。

 

二年の時が流れたところから始まる本編。

佐々波は喫茶店店主から編集者に戻ったし、北野坂の店は、パスティーシュが運営する形になった。

ユキは女子大生になって、ノゾミは幽霊の身で色々と状況を動かそうと手を打って。

雨坂続は病院のベッドで寝たきりで、指先の世界で、文章を書き続けていた。

 

好きな場面がたくさんあります。

冒頭の天才についての佐々波と作家のやり取り。小暮井ユキが「落書き」をした所。

佐々波のプロッフェショナルについての言葉遊び。

ユキがノゾミの依頼に躊躇わなかったところ。彼女が、答えを考え続けていたこと。

聡一郎が語る「人間には書けない本物の小説」の話。

「錯覚でも、わかると答えたいことだって、あるじゃないですか」というユキの言葉。

佐々波の「天才は、祝福されていなきゃいけないんだ」という願い。

 

2年の間で変わった事があって、もっと超然としてるかと思った作家が迷ったり、パスティーシュさん好きだったので、出番少なくて悲しかったりしましたが。

やっぱり河野さんの文章が好きだなぁ、と実感しました。

凄く雑にまとめてしまうと、書けない作家がもがいてる、って話なんですが。葛藤している様子ですら、美しいと思う。思えることが、とても幸せで。

これだから読書は止められないし、出版不況の中で書店員続けられるんだよなぁ。



Unnamed MemoryⅠ 青き月の魔女と呪われし王

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「俺に……お前を殺させるな……」

 

もう、なんていうか……好き。

感想これだけでいいんじゃないかな!? 良くない!

書籍化発表から発売日が楽しみでならなかったです。

WEB掲載時から好きな作品だったので純粋に嬉しいし、書籍化のお蔭で推しに課金できる! 素晴らしい! 

 

テンションがおかしい。発売が楽しみすぎて、新文芸担当でもないのに、POPを二つも書いたのも良い思い出です。

片方は若干ネタに走りすぎた気がしたので個人アカウントで供養しましたが。店頭にはふざけずに作った方出して、初速で他の新刊より売れてて大満足。

推しを推そう。

 

もうちょっと真面目に感想を書くと、オスカーとティナーシャが好きなんですよね。

二人の軽快なやりとりも楽しいですし。それぞれが王族と魔女に相応しい力と覚悟を持っている。揺るがない芯が通っている。

バラバラ死体の謎解きとか、真面目にやる時はしっかり締めてますが。

息抜きをするときは、かなり気を緩めてる感じがして、そのギャップもまた見ていて楽しい。

 

王子が供一人だけ連れてフラフラと危険な場所に足を運んでいるのは、息抜きにしてもハードな気がしますけどね!

……将軍以上の剣の腕とか、思い切りの良さが為せる技ですよね……

「どんな顔して城に帰ればいいんですか」「沈痛な顔して帰れ」という冒頭のオスカーとラザルの会話が最初に笑ったポイントで、そこからどんどん引き込まれ行ったんですよねぇ。

その後で言うと、媚薬を飲まされたオスカーが「俺にはあまり支障がない」という場面とか。ティナーシャにもっと面倒な仕事を回させようと冗談と言ったあたりとかも好きなんですが……

好きなシーンが多すぎて、上げきれないのでとりあえずここまで。

WEBから改稿されてる部分もあって読みやすかった印象。2巻の発売も決定しているようなので、楽しみです。




ノエルと白亜の悪夢 アリアンロッド・リプレイ・ルージュ3

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「我が名は、トラン=セプター。

偉大なるダイナストカバル……極東支部長だ」

 

みっしょん05古の書、みっしょん06白霧に消えてを収録。

フォア=ローゼスの面々が順調に薔薇の武具を集め、それぞれ違う組織の所属ながら仲間らしくなっていく様子はとても暖かくていいですねぇ。

……だからこそ、あのシーンが輝くんですが。初めて読んだとき受けた衝撃といったらもう……

 

次なる薔薇の武具マビノギオン。武具と言いながら本で、4冊に分かれていて、所在不明のものも。

冒険者の街ラインの図書館に1冊があるという情報を得たので、そこで情報収集にあたるわけですが。

エイプリルのかつての仲間――情報部十三班の面々が動き始めて。

クリスも上司のマティアスに神殿会議の護衛をしろと連れて行かれ。

トランとノエルだけで街中を歩いていたら、ノエルを狙った凶刃が……気付いたトランが庇ったものの、毒が塗られている周到さ。

 

エイプリルが登場するシーンはシリアスになりやすくて格好いいですよねぇ。渋い。……ジュライとか言うネタキャラも居ましたけど。

神殿会議でマティアスが「禁忌と言われる薔薇の武具を集めている」という意見が出た時のやり取りが笑えた。マティアスの開き直りっぷりがいっそ清々しい。

……だがその糾弾を受けてるその場にいる貴方の護衛が、薔薇の武具ウィガールを着てるんですが……

その後エイプリルがあっさり手札を明かしたのにも驚きました。なんとか敵を撃退し、次のみっしょんへ。

 

トランの生まれた村、ダイナストカバルと協力関係にあり……薔薇の武具についてしる御仁が居る、隠された村イジンデル。

そこに迫った危機に立ち向かうんですが……チームが分断された状態になってしまって。

意地を貫き通したトランが、本当に格好よかった。

途中で戦術ミスがあったのが無念極まりないところですが、最適解ばっかり選べるわけじゃないですからね……




ロード・エルメロイⅡ世の事件簿5 「case.魔眼蒐集列車(下)」

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「今後こそ、私は勝ちたいんだ。この事件の犯人が私の敵であると分かった以上、どうやっても負けるわけにはいかないんだ」

 

あぁ、もうやっぱりこの物語が好きだなぁ。

グレイがⅡ世にいい影響を受けてますよねぇ。彼を尊敬している、というか彼の願いを尊重しているのがよくわかる。

「もっともっとこの人は報われていいって思うのに、その笑顔を見ると何も言えなくて」という彼女の思いが本当、魔術世界において貴いというか。彼女自身も色々背負ってますから、師弟でもっと報われる未来へたどり着けたら最高ですね。

 

魔眼蒐集列車が接近した腑海林の仔、これはまた別の死徒の置き土産のような存在だとか。

霊脈を見失っているため列車が立ち往生しているので、マーカーを打ち込み、列車を動かす手伝いをすることに。

怪しい事件が起きている中で、他の魔術師と協力するのは中々リスキーですが、Ⅱ世の怪我の状況も思わしくない為、速やかに氷雪の森から離れる必要があって。

グレイがマーカー打ち込みに協力する事に。前回最後に登場した吐血キャラも合流して、何とか森を突破。

 

「立ち上がったわけじゃない。――単にうずくまる方が辛いだけだ。

諦めなかったわけじゃない。――単に、思考を止められないだけだ」

止まることができなかった、エルメロイⅡ世。彼は、意識を取り戻した直後から、車いすに乗った状態でも行動を開始して。

犯人が「敵」であることを認識し……それを止める為に、行動を起こした。

今回の事件をきっかけに、彼はある決断を下したわけですが。笑顔で、宣言されたら、それはもう頷くしかないじゃないか……

 

カウレスが原始電池を使いこなして、アポクリファ知ってると、こう叫びたくなるような技を身に着けていたり。

グレイの持つ槍の十三の枷について触れられたりと情報が盛りだくさんでしたね……

FGOで見た名前もあって、もう……今から次が楽しみでなりません。

 

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンⅩ

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「味方としての『彼女』への信頼より、敵としてのイクタ・ソロークへの警戒がこの状況下で勝った。加えて、その認識が正しかったことまで結果が証明してしまって――」

言葉を続けながら、彼は無意識に両のこぶしをきつく握りしめ――飲み込みかねたように悪態をついた。

「――Hazgaze(ふざけやがって)!」

 

あぁ、彼が帰ってきた。

もうこの巻の感想はこれに尽きてもいいぐらいです。

炎髪の彼女が消えてから。騎士団の形が崩れてから、残された者たちはそれぞれ何とか戦い抜いてきたわけですが……

 

ハロの暗躍がなかろうとも、元々下り坂の途上にあった帝国は崩壊していた可能性の方が高く見える。

皇帝と騎士団の温度差からもそれが伺えましたが……イクタが戻ってきたことで、これまで溜まっていた鬱憤を見事晴らしてくれた。

 

不眠の輝将に追いやられていた状況から見事持ち直し。

ハロの問題に向き合い、答えを出した。

多少甘い解決になったとみることもできますが……まぁ、主人公復活回だし、これぐらいいい目を見てもいいんじゃなかろうか。

狐が未だに残っていたり、問題が解決したわけではありませんが。復活したイクタが元帥に任命されたことで、色々と状況も変わってきそうな予感がします。

 

帝国は崖っぷちだし、キオカも別に理想郷ってわけではないんですよねぇ。

パトレンシーナや輝将の扱い方からしても、執政官は大分食わせ者ですし。

これで北方の教会の猊下が只人のはずもないし、あちらは三国会談を計画してるみたいで色々と動くかなぁ。

帝国に残っていた「アナライの弟子」が文官として登用される運びとなったけど……イクタはまた随分個性的なの連れてきたな。

劇薬という事ですし、上手く狐捌いてくれるといいんだけどなぁ。あの狐毒呑んでも平然としてそうだから怖いよなぁ……

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (10) (電撃文庫)
宇野朴人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2016-07-09
 

その無限の先へ4

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「違うだろ。なんであんたが諦めるんだよっ!! 後輩が追い抜ていくのを笑ってみてるんじゃねーよ。先輩なら先輩らしく、先に行って待ってろよ!!」

その言葉は、先に進むと決めてなおどこかで諦めていた心の深い場所に、痛烈に響いた。

「俺達はすぐに追いつく。追いついてやる。〝あいつ“に辿り着いてやる」

 

WEB版でも気に入っていて何度も読み返している、新人戦が描かれています。

書籍化の改稿によって、いくつかシーンが加わってますね。

 

ダンジョン篭もりでの修行により、グワルから手ほどきを受けて。

新人としての成長で見れば100点以上だが、アーシャに勝てるかって意味では1点以下というような評価されてましたが。

挿絵でのサージェスのインパクトが全体的にひどい。ヒュージ・リザード戦では普通にできる人みたいな感じだったのに、新人戦でのアレは……ひどい(褒めてる)。

そりゃアーシャさんも固まるよ。むしろ初見で固まらない人いるのかよ……

 

綱が治療室に転送された後、「謎ギフト」に絡みそうな過去を回想していますが……彼の死因、失われている死ぬ数年前の記憶。

追加されていた「あいつに辿り着く」という言葉。未だ本編でも明らかになっていない、黒幕について伏線張られてる感じですねぇ。種明かしが今から楽しみです。

 

オマケに、短編と描き下ろしの中編も。短編はトマトさんが遠征してオリ主さんに会うアレなので良いですが。

描き下ろしのストーリーはダンジョンマスターとその仲間たちのエピソードで、かなり興味深いものでした。

 

いや、ダンジョンマスターたちの印象変わるな。

ダンマスが限界だって言うのは、ユキと逢った時から言われていましたけど、ダンマスの仲間も、同じ時間を過ごしているだけあってかなり歪んできてる様子です。

水の巫女。迷宮都市の領主。ダンマスの妻。多くの肩書を持ち、WEB版でもほぼ描写がない那由多についても触れられていて。

 

ダンマス以上にヤバい状態だとは。彼女が動き出したのって、やっぱり自分と同じことをした存在について知ったからかなぁ。

アーシャさんたちの両親って元ダンマスのパーティーなんですねぇ。夫の方は今も参加しているようですけど。

他にもダンマスの奥さんの名前とか、経歴なんかも触れられていたりして。

綱の出身地の事情についても、裏側暴露されてましたね。綱が去った後に崩壊したのか、現存してないなんて情報もしれっと描写されてました。

色々と新発見が多い読み応えのあるサイドストーリーだったと思います。

 

後、コレを読んで分かる新人戦のひどさ。

WEB最新話でされている無茶ぶりが難易度7なのに、新人戦難易度10だったのかよ……ダンマスが流星衝使うように誘導していたこともあったし、無理ゲーだったのは間違いないようで。

 

可能性が0ではないってだけで、奇跡の連発が前提という、ほぼ達成不可だろそれという課題。まぁ、綱達はダンマスの想定以上に食らいついて、影響を広げたようですが。

最初にハードル上げておけば、覚悟もしやすいという思惑もあったようではありますが。

これがバレたら綱達に殴られそう……いや、まったく聞かないですけど。どうか、綱達には見事駆けあがってダンマスどつけるぐらいに成長してほしいものです。

その無限の先へ (4) (MFブックス)
二ツ樹五輪
KADOKAWA/メディアファクトリー
2016-05-25
 

東京レイヴンズ14 EMPEROR.ADVENT

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「人をたらし込む才能は、血だな」

(略)

「要するに、お前の宿命なんだ。諦めろ、土御門。行って……飛車丸(このバカ)を起こして来い。俺はまだ、お前らをみていたい」

 

ついに決戦の日を迎えて。

春虎はいよいよ手段を択ばず、支局の襲撃とかを始め。

夏目たちは、天海の知名度やらそれぞれの伝手を使い、陰陽庁の真実を告発する。

その動きの中で、『十二神将』たちもそれぞれ決断を迫られて。

クライマックスに向けて加速していく描写は、さすがの一言。やっぱりこの作者さんは、物語の佳境を描くのが上手いよなぁ。

他の作品でもそうでしたが、伏線を見事に回収してくれると言いますか、キャラを大事にして、展開に生かしている感じがします。

 

いやぁ、キャラクターが多い中で、うまくそれぞれの葛藤を描いている。

『結び姫』弓削と宮地のやり取りなんかも、いい感じでしたね。一線級の陰陽師でも、迷い行動しなくてはならない。

弓削の迷いも、分からないではないです。自分の信じていたものが揺らいで、信じたいものがあって、信じきれなくて。だから、「誰か」にすがった。

宮地がもうちょっと底意地悪かったら、長官側になっていたかもしれません。けど、彼はそれを良しとしなかった。叱咤して部下を、先に進めた。

……三善に言われていましたが、彼は彼で甘いですよね。天海を捕えた時も、彼が手を回していたから、天海は生き延びたわけですし。

 

そして、春虎が夜光ではなく、春虎と名乗るわけ。

大義名分の為ではない。たった一つ譲れない、シンプルな覚悟。

彼は結局夏目の為に動いていて。

その夏目の不安定さの秘密なんかも今回明らかになってましたけど、いや、見事に騙されてた。

 

長官達優位はそうたやすく動かないだろうと思っていましたが。

意外な形で、庁舎を捨てる形にはなり。春虎や大友の行動によって、あと一歩のところまでは近づいたものの、届かず。

けれど最後に、一か八か賭ける目を春虎が見つけているので、どうか勝ちの目を拾ってほしいものですが。
まぁ、この緊迫した状況で次回はまた違う場面に行きそうなので、それが楽しみでもありますし、少しもどかしくもあります。

 

東雲侑子は短編小説をあいしている

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「私はそうじゃないと思う。人間ってとてもちっぽけで、小説にしてみればせいぜい原稿用紙50枚とか60枚とかの短編小説みたいな人生しか送れないんじゃないかって」


楽そうだからと図書委員会に入った高校1年の三波英太。
彼はたまたまクラスメイトで、同じく図書委員会に入っている少女、東雲侑子の秘密を知って。
彼女は、短編小説を愛する作家、西園幽子としての顔を持っていた。
そして秘密を知ったこともあって、東雲との距離が縮まって。

これまで短編ばかりを描いてきた作家ではあったが、新たに長編に挑戦することとなり。
秘密を知ってる英太に協力を要請して、色々と取材していくことに。
英太は兄に対して劣等感を持っていて、無気力なところがあり、物静かな東雲にどこか共感を覚えていたようですが。
そんな彼女にも熱く語れるようなことがあるとしって、どうにも混乱しているような感じ。

真っ当な青春モノ。
大きな事件は起きないし、登場人物も限られていて、きわめて狭い範囲で完結している。
始めは二人とも、顔見知り程度の距離でしかなかったのに、じわじわと距離が縮んでいく展開が、いいんですよね。
どう声をかけたらいいのか、迷い戸惑い、それでも交流している姿は、もどかしいし、とっとと付き合ってしまえよと焚き付けたくもなるんですが。
東雲が初心というか、純粋な子で、英太も無気力ではあるけど別に枯れ果ててしまっているわけでもなくて。
付き合っていく中でそんな二人が変わっていく様が描かれると、一周廻って見守っていたくもなります。
上手く語れてはいませんが、とにかく、この作品の雰囲気が好きで、何度も読み返してしまう、そんなシリーズです。


血界戦線10

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「絶望的な負い目が己を支える礎となり 痛切極まる悔恨が不退転の爪となるなら」
「今の君を作ったのは あの日の挫折だ」
「その強さが我々を 妹を 果ては人類を救った」
「これは厳然たる事実であり 卑怯さからは最も遠い行いだ」
「誇り給えレオナルド・ウォッチ 私も君を 誇りに思う」

今回は1巻まるまる使って一つのエピソードが描かれていました。
神々の義眼を手に入れた、レオにまつわるお話。
妹の失われた視界をどうにかしたい、とこの混沌とした街に彼は足を踏み入れたわけですが。
過去に記録のある「神々の義眼保有者」の近くには、同様の失明者がいて。
先日登場した本の院長曰く、義眼保有者の記録はあるが、義眼摘出の記録はゼロだとか。
「神々の」と頭につく通り、単純な医療行為として抜き取れるものではなく、ある種の契約のようなものなのだろう、と。

答えを見つけられず、悩み続けている様子です。
一方で、眼の扱いには慣れてきて、ライブラの作戦時に、他人の視界を操作したりして、サポート要員として活躍してますね。
そしてついに、彼の妹が登場。これまで存在だけが語られていた彼女。
彼女は、兄に婚約者を紹介するために、ヘルサレムズ・ロットまで足を運んで。

そこからレオが騒動に巻き込まれていくわけですが。
以前の彼にしか見破れなかった幻術といった存在があるように、特殊な目を持つ彼にしか見えないものがあって、孤独な戦いを強いられるというのは、王道で、だからこそ熱いものでした。
妹との幼少時の会話。引くことを知らない「亀の騎士」。
戦闘力は皆無ですが、諦めずに行動し続けたレオの姿勢には頭が下がります。
アレは真似できん。

回想で登場した、ライブラメンバーからのレオへの助言がそれぞれの個性が出てて良かったです。
アドバイスをするもの、代わりに攻撃してやるというもの、状況の把握や回避を進める者。
チェインの言う、消えちゃえば良いっていうのは、それ不可視の人狼だから出来る手法じゃないんだろうか……
クラウスが課した厳命が好きです。彼。本当愚直なまでに紳士ですよね。リーダーを務めているのも納得です。
今回はレオが終始、彼に出来る事をしていて格好良かったですが、クラウスも別の面で格好良かった。いや、満喫しました。
これで完結になってもおかしくない雰囲気でしたが、「第一部完」という形のようで、第二部も始まる様子。今から楽しみでならない。あぁ、早く本にまとまらないだろうか。


プロフィール

ちゃか

 友人に「活字中毒っていうか読書中毒」と評される程度には本が好き。適当に感想を書いていく予定。リンクはフリーでコメントはご自由に。悪質と判断したものについては削除する場合があります。

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