気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に適当に読んだ本の感想などを上げていってます。 ラノベ中心になる予定ですが、コミックとかWEB小説とかTRPGのサプリメントとか、とりあえず自分が読んだものの感想を端から書き連ねていく感じですかね。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。

★5

Unnamed MemoryⅡ 玉座に無き女王

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「親父殿、駆け引きは不要だ。俺は既に決めている。負ける気はないし何かを手放すつもりもない」

 

あぁ、やっぱり好きだなぁ。

ラノベニュースオンライン191月期で3冠を達成したというのも納得というか。

この作品に票を入れてくれた人がたくさんいるんだと思うと、凄い我が事のように嬉しいですね。

 

今回は、冒頭の章から書き下ろしがあり、加筆も多く読み応えがありました。

後はイラスト。帯裏にも出張してきていた、イラストが美麗で。ティナーシャの黒いドレス姿が素敵です。それぞれに武器をもって危うい状況でもあるんですが。

挿絵にイカが登場してるのも笑いました。ラノベで巨大イカの挿絵は流石にはじめて見た気が。

 

書き下ろしの冒頭「魂の呼び声」。

城下町で見つかった怪しい魔術具。それに禁術の気配を感じ取ったティナーシャとオスカーが調査に赴いて。

この二人、能力高くてフットワークも軽いから、こういった騒動もさくっと解決しちゃうのにただただ感心してしまう。悪人はご愁傷様。

いやまぁ、悪巧みしてるところに王剣の持ち主と魔女がくるとか普通想定はしませんが。

 

青き月の魔女、ティナーシャ。

最強と呼ばれた彼女が四百年生きたわけ。秘めていた過去と、探し続けていた者。

「罪」故に、彼女は魔女として行動した。

オスカーの呪いを解いて契約者との柵をなくし、ナークを託し、彼に王族としての責務を説き……ファルサスを去った。

 

その彼女を追う事に躊躇いがないオスカーが、もう格好良くて。

父からの叱責にも覚悟を持って返答する様が。王位を継ぎ、自身の為すべきを為し続ける姿が。

真っ直ぐで、眩しい。ルクレツィアがこぼしていましたが、このタイミングで、オスカーが居てくれて良かった。

騒動が終わってからの「海の青」での二人の交流とかを見ていると本当にそう思います。

 

……真面目に助言とかしていたかと思ったら、媚薬盛りにくるあたり、ルクレツィアも魔女だなぁ、と思う部分もありますけどね!

「緑の蔦」が結構別物になったりもしていましたが、総じて言えるのは、今回も面白かったという事ですね。

 







◇おまけ

今回は販売店でのSS特典はなかったようですが、作者さんが自サイトにて公開しております。

書籍を買って、サイトにアクセスして読もう!
文章は素直に読んで足し算しような!(二十ってあったら、2と10じゃなくて20だよ)

ヨルシカ『だから僕は音楽を辞めた』を聞いて。

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「僕らの価値は自明だ 例うならばこれは魂だ」

ヨルシカ、好きなんですよ。
n-bunaさんの作風が好きなのもありますが。
好きすぎて、三月のパンタシアのアルバム『ガールズブルー・ハッピーサッド』も買いました。

閑話休題。
もう初回盤が出ると知ったタイミングで、特典とかも気にせず初回盤予約したんですが。
仕事でドタバタしてたのもあって、その後もあまり情報仕入れられてなくて。
合間で公開されたMVを聞いたりして、期待を膨らませるくらいはしてました。
そんな状態で引き取りに行ったもので、最初は箱状なことに驚き……更に開けた後手紙の物量にさらに驚かされました。
え、これ3500円って赤字にならないの? 大丈夫? みたいな気分。

とりあえず、まずは歌詞も手紙も見ずに曲を一巡聞いて。
その後手紙を読みながら、一曲ずつ追いかけていきました。
あと、気になるタイプなので手紙の並び順をメモしてから読んだ。

一人の青年が、音楽を辞めるまで。最後の創作の旅路。
正直最初は、エルマという友人が亡くなりそれで創作意欲を失ってしまったのかと思いました。
瓶詰の手紙を海に投げるように、届くかどうかわからない手紙を書いて詰めているのかと。
途中で違うんだ、とはわかったんですけど、

重かったり、暗かったり、辛さが伝わってくる。
でも、決してそれだけではなくて。
音楽に向き合ってきた青年の情熱が確かに残っていて、波及する。

収録曲「語学は花緑青の窓辺から」の一節「僕らの価値は自明だ 例うならばこれは魂だ」が印象に残ってます。
他の手紙に青年の解説があって、それもまたいいテイストになっていたんですが。
あぁいう製作者の意図に触れられた文章が、好きです。
青年の魂の叫びが、胸に刺さって痛い。
n-bunaさんの実体験が織り交ぜられて、青年が血の通った人のように形作られている。
いや、バイト収入6万で家賃5万6000円、手元に4000円しか残らないって極限生活すぎないか、とは思いました。ガス止まったとか書いてあったし。凄まじい……

手紙と一緒に曲を聞いたあと、気になってしょうがなかったので、公式で紹介してた各種インタビュー記事を読みに行ったりもしました。
エルマが青年の手紙を読む、その追体験をしてほしかったからこういった形式になった、とか。
無事に届いたんだ、とちょっとほっとしたような……届いてしまったのか、みたいな矛盾した気持ちが生じました。

Skream!のインタビューに在った、受け取った相手が祈りととるか、呪いととるか両方の側面がある、というのが的を射てますよね。
確かに、ここまでの情念を注ぎ込まれた手紙は、一種の呪いだし……音楽に対する真摯な祈りでもあると私は感じました。
とことん芸術に向き合っている、というか。
まぁ、青年の気持ちはかなり重いとも思わずには居られませんでしたが。
インタビューのひとつで「妄執の塊みたいなの」とか言われてましたし。
だからこそ、祈りか呪いかという二択が生まれたわけで。
こんな手紙を、そうして伝えられた詩を見せつけた上で、夏に「エルマ」というアルバムを予定しているって言うんだから、たまりませんね。

対になるコンセプトアルバムという都合上、今作の初回盤もすぐに生産終了にはならないみたいなツイートも見ましたし、是非、多くの人に初回盤の手紙を読んでほしいものです。
あとインタビューも楽しいです。なぜ音楽のインタビュー中に蠱毒の話になるんだろう(笑)。

どの曲も好きですが、表題の「だから僕は音楽を辞めた」、「語学は花緑青の窓辺から」の二曲が特に好みです。


灰の見る夢(Unnamed Memory)

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「後悔しませんね?」

「お前といて後悔したことは一度も」

 

172月刊行の同人誌。

Unnamed Memory』の番外編。

小説家になろうの方にも再録された「奇跡のような嘘を貴方と」(17年夏コミ頒布ペーパー)みたいな、消された試行の断片なんですが。

出会い方が違っても。オスカーとティナーシャが隣り合う、その関係がただ尊いと感じる。

 

ティナーシャ視点で話が進みますが。

ちょっと休憩するつもりで横になった数時間の間に塔を踏破されたら、そりゃ驚くよな……

塔で眠っていた少女をオスカーは魔女と思わず、魔女に囚われている下女か何かと誤解して。彼女を連れて塔を降りることに。

「魔女の怒りを恐れないんですか?」「怒られたらその時謝るさ」

契約者と魔女とは違う距離で、ファルサスで過ごす二人の姿が新鮮でした。

 

そしてヴァルトが現れて、オスカーの事を彼が前に居なくても「王」と呼び続けるその姿をティナーシャに指摘される、という流れが好きです。

「彼は王以外の何物でもないよ」。一体どんな気持ちで、この言葉を口にしたのだろう。

多くの蓄積を経て、都度全てを教えることを諦めた。

それでも行動を止めない彼はかなり手ごわい手合いだと思うんですが……幾度の試行の中では、こうあっさり退けられるパターンもあるんだな……

 

「彼がそう望むなら叶えないという選択肢はない」っていう一文があったんですが。

もうティナーシャ、オスカーの事本当に大切にしてるんだなぁ、というか。彼女にとっての唯一だというのが、よくわかる。

やっぱり『Unnamed Memory』はいいな…と実感しました。

紅き唇の語りし夜は 月の白さを知りてまどろむ

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「巫に贈るものだ。きちんとしておきたい」

(略)

彼女の為に捧げるのだ。全てに変わらない想いと、真っ当な筋がなければ。

 

『月の白さは知りてまどろむ』という作品の短編ですねー。

WEB本編は一度第五章で完結となり、後日談となる六章以降が連載されてるんですよね。

小説家になろうとカクヨムで掲載されていて、カクヨムの方に八章が途中まで乗ってます。気長に続きを待っている。

シシュとサァリの物語の続きが読めるというだけで、もう、本当に幸せなのですよ。

 

さておき、この同人誌『赤き唇の~』は第五章前に起きた事件を描いています。

シシュとサァリの関係が近づいて、けれどまだその道が重なっていない。この不器用な二人の交流が見ていて微笑ましい。

戦闘力とか言う単位で見ると、どっちも常人離れしてるんですが。

それを気儘に振るうのを良しとせず、けれど使うべき時には躊躇わない。その在り方が、美しいと思う。

 

この短編だけでも、本当にお互いがお互いを大切に思っていて。

アイリーデの人々に、シシュが客として選ばれるんだろうなというのがよくわかる。

シシュが贈り物をしようとして真っ先にサァリが候補に挙がるあたりで、明らかですけど。

「将を射んとする者はまず馬を射よ」とか「外堀を埋める」のように、目的を達成するためにまっすぐ行くのではなく、周辺から問題を片付けろという言い回しがありますが。

……この二人「相手を大切にしたい」という大目的を既に達成しているし、サァリなんて「シシュのそういうところが好きなの」とか言うのに、その手前にある問題で立ち止まってるからな……

 

好きな雰囲気で全体まとまっているんですが……特に気に入ったエピソードは、シシュが菓子屋出禁になってた所ですかね。

あの不器用さがシシュらしい。一応出禁解除の条件もはっきりしていたので、それを為した後、きっと彼は土産に買っていったんだろうなと思うと、なんかほっこりする。

 

最近『Unnamed Memory』ばかり推してましたが、『月の白さを知りてまどろむ』も好きです。WEB版で良いからみんな読もう・・・

つれづれ、北野坂探偵舎 物語に祝福された怪物

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だから、雨坂続が完成したとき、編集者としての佐々波蓮司は必要なくなるだろう。

それは悲しいことではない。

むしろ、夢のような。奇跡のような、喜ばしい未来だ。

 

シリーズ完結巻。

作家と編集者の業が描かれているように感じられて、好きな作品です。

それが一番濃く感じられる4巻の「感情を売る非情な職業」が一番のお気に入りではあるんですが。

完結となる今回も作家の我がままな面、人間味のある面など多くの顔が見られて楽しかったです。

 

二年の時が流れたところから始まる本編。

佐々波は喫茶店店主から編集者に戻ったし、北野坂の店は、パスティーシュが運営する形になった。

ユキは女子大生になって、ノゾミは幽霊の身で色々と状況を動かそうと手を打って。

雨坂続は病院のベッドで寝たきりで、指先の世界で、文章を書き続けていた。

 

好きな場面がたくさんあります。

冒頭の天才についての佐々波と作家のやり取り。小暮井ユキが「落書き」をした所。

佐々波のプロッフェショナルについての言葉遊び。

ユキがノゾミの依頼に躊躇わなかったところ。彼女が、答えを考え続けていたこと。

聡一郎が語る「人間には書けない本物の小説」の話。

「錯覚でも、わかると答えたいことだって、あるじゃないですか」というユキの言葉。

佐々波の「天才は、祝福されていなきゃいけないんだ」という願い。

 

2年の間で変わった事があって、もっと超然としてるかと思った作家が迷ったり、パスティーシュさん好きだったので、出番少なくて悲しかったりしましたが。

やっぱり河野さんの文章が好きだなぁ、と実感しました。

凄く雑にまとめてしまうと、書けない作家がもがいてる、って話なんですが。葛藤している様子ですら、美しいと思う。思えることが、とても幸せで。

これだから読書は止められないし、出版不況の中で書店員続けられるんだよなぁ。



Unnamed MemoryⅠ 青き月の魔女と呪われし王

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「俺に……お前を殺させるな……」

 

もう、なんていうか……好き。

感想これだけでいいんじゃないかな!? 良くない!

書籍化発表から発売日が楽しみでならなかったです。

WEB掲載時から好きな作品だったので純粋に嬉しいし、書籍化のお蔭で推しに課金できる! 素晴らしい! 

 

テンションがおかしい。発売が楽しみすぎて、新文芸担当でもないのに、POPを二つも書いたのも良い思い出です。

片方は若干ネタに走りすぎた気がしたので個人アカウントで供養しましたが。店頭にはふざけずに作った方出して、初速で他の新刊より売れてて大満足。

推しを推そう。

 

もうちょっと真面目に感想を書くと、オスカーとティナーシャが好きなんですよね。

二人の軽快なやりとりも楽しいですし。それぞれが王族と魔女に相応しい力と覚悟を持っている。揺るがない芯が通っている。

バラバラ死体の謎解きとか、真面目にやる時はしっかり締めてますが。

息抜きをするときは、かなり気を緩めてる感じがして、そのギャップもまた見ていて楽しい。

 

王子が供一人だけ連れてフラフラと危険な場所に足を運んでいるのは、息抜きにしてもハードな気がしますけどね!

……将軍以上の剣の腕とか、思い切りの良さが為せる技ですよね……

「どんな顔して城に帰ればいいんですか」「沈痛な顔して帰れ」という冒頭のオスカーとラザルの会話が最初に笑ったポイントで、そこからどんどん引き込まれ行ったんですよねぇ。

その後で言うと、媚薬を飲まされたオスカーが「俺にはあまり支障がない」という場面とか。ティナーシャにもっと面倒な仕事を回させようと冗談と言ったあたりとかも好きなんですが……

好きなシーンが多すぎて、上げきれないのでとりあえずここまで。

WEBから改稿されてる部分もあって読みやすかった印象。2巻の発売も決定しているようなので、楽しみです。




ノエルと白亜の悪夢 アリアンロッド・リプレイ・ルージュ3

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「我が名は、トラン=セプター。

偉大なるダイナストカバル……極東支部長だ」

 

みっしょん05古の書、みっしょん06白霧に消えてを収録。

フォア=ローゼスの面々が順調に薔薇の武具を集め、それぞれ違う組織の所属ながら仲間らしくなっていく様子はとても暖かくていいですねぇ。

……だからこそ、あのシーンが輝くんですが。初めて読んだとき受けた衝撃といったらもう……

 

次なる薔薇の武具マビノギオン。武具と言いながら本で、4冊に分かれていて、所在不明のものも。

冒険者の街ラインの図書館に1冊があるという情報を得たので、そこで情報収集にあたるわけですが。

エイプリルのかつての仲間――情報部十三班の面々が動き始めて。

クリスも上司のマティアスに神殿会議の護衛をしろと連れて行かれ。

トランとノエルだけで街中を歩いていたら、ノエルを狙った凶刃が……気付いたトランが庇ったものの、毒が塗られている周到さ。

 

エイプリルが登場するシーンはシリアスになりやすくて格好いいですよねぇ。渋い。……ジュライとか言うネタキャラも居ましたけど。

神殿会議でマティアスが「禁忌と言われる薔薇の武具を集めている」という意見が出た時のやり取りが笑えた。マティアスの開き直りっぷりがいっそ清々しい。

……だがその糾弾を受けてるその場にいる貴方の護衛が、薔薇の武具ウィガールを着てるんですが……

その後エイプリルがあっさり手札を明かしたのにも驚きました。なんとか敵を撃退し、次のみっしょんへ。

 

トランの生まれた村、ダイナストカバルと協力関係にあり……薔薇の武具についてしる御仁が居る、隠された村イジンデル。

そこに迫った危機に立ち向かうんですが……チームが分断された状態になってしまって。

意地を貫き通したトランが、本当に格好よかった。

途中で戦術ミスがあったのが無念極まりないところですが、最適解ばっかり選べるわけじゃないですからね……




ロード・エルメロイⅡ世の事件簿5 「case.魔眼蒐集列車(下)」

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「今後こそ、私は勝ちたいんだ。この事件の犯人が私の敵であると分かった以上、どうやっても負けるわけにはいかないんだ」

 

あぁ、もうやっぱりこの物語が好きだなぁ。

グレイがⅡ世にいい影響を受けてますよねぇ。彼を尊敬している、というか彼の願いを尊重しているのがよくわかる。

「もっともっとこの人は報われていいって思うのに、その笑顔を見ると何も言えなくて」という彼女の思いが本当、魔術世界において貴いというか。彼女自身も色々背負ってますから、師弟でもっと報われる未来へたどり着けたら最高ですね。

 

魔眼蒐集列車が接近した腑海林の仔、これはまた別の死徒の置き土産のような存在だとか。

霊脈を見失っているため列車が立ち往生しているので、マーカーを打ち込み、列車を動かす手伝いをすることに。

怪しい事件が起きている中で、他の魔術師と協力するのは中々リスキーですが、Ⅱ世の怪我の状況も思わしくない為、速やかに氷雪の森から離れる必要があって。

グレイがマーカー打ち込みに協力する事に。前回最後に登場した吐血キャラも合流して、何とか森を突破。

 

「立ち上がったわけじゃない。――単にうずくまる方が辛いだけだ。

諦めなかったわけじゃない。――単に、思考を止められないだけだ」

止まることができなかった、エルメロイⅡ世。彼は、意識を取り戻した直後から、車いすに乗った状態でも行動を開始して。

犯人が「敵」であることを認識し……それを止める為に、行動を起こした。

今回の事件をきっかけに、彼はある決断を下したわけですが。笑顔で、宣言されたら、それはもう頷くしかないじゃないか……

 

カウレスが原始電池を使いこなして、アポクリファ知ってると、こう叫びたくなるような技を身に着けていたり。

グレイの持つ槍の十三の枷について触れられたりと情報が盛りだくさんでしたね……

FGOで見た名前もあって、もう……今から次が楽しみでなりません。

 

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンⅩ

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「味方としての『彼女』への信頼より、敵としてのイクタ・ソロークへの警戒がこの状況下で勝った。加えて、その認識が正しかったことまで結果が証明してしまって――」

言葉を続けながら、彼は無意識に両のこぶしをきつく握りしめ――飲み込みかねたように悪態をついた。

「――Hazgaze(ふざけやがって)!」

 

あぁ、彼が帰ってきた。

もうこの巻の感想はこれに尽きてもいいぐらいです。

炎髪の彼女が消えてから。騎士団の形が崩れてから、残された者たちはそれぞれ何とか戦い抜いてきたわけですが……

 

ハロの暗躍がなかろうとも、元々下り坂の途上にあった帝国は崩壊していた可能性の方が高く見える。

皇帝と騎士団の温度差からもそれが伺えましたが……イクタが戻ってきたことで、これまで溜まっていた鬱憤を見事晴らしてくれた。

 

不眠の輝将に追いやられていた状況から見事持ち直し。

ハロの問題に向き合い、答えを出した。

多少甘い解決になったとみることもできますが……まぁ、主人公復活回だし、これぐらいいい目を見てもいいんじゃなかろうか。

狐が未だに残っていたり、問題が解決したわけではありませんが。復活したイクタが元帥に任命されたことで、色々と状況も変わってきそうな予感がします。

 

帝国は崖っぷちだし、キオカも別に理想郷ってわけではないんですよねぇ。

パトレンシーナや輝将の扱い方からしても、執政官は大分食わせ者ですし。

これで北方の教会の猊下が只人のはずもないし、あちらは三国会談を計画してるみたいで色々と動くかなぁ。

帝国に残っていた「アナライの弟子」が文官として登用される運びとなったけど……イクタはまた随分個性的なの連れてきたな。

劇薬という事ですし、上手く狐捌いてくれるといいんだけどなぁ。あの狐毒呑んでも平然としてそうだから怖いよなぁ……

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (10) (電撃文庫)
宇野朴人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2016-07-09
 

その無限の先へ4

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「違うだろ。なんであんたが諦めるんだよっ!! 後輩が追い抜ていくのを笑ってみてるんじゃねーよ。先輩なら先輩らしく、先に行って待ってろよ!!」

その言葉は、先に進むと決めてなおどこかで諦めていた心の深い場所に、痛烈に響いた。

「俺達はすぐに追いつく。追いついてやる。〝あいつ“に辿り着いてやる」

 

WEB版でも気に入っていて何度も読み返している、新人戦が描かれています。

書籍化の改稿によって、いくつかシーンが加わってますね。

 

ダンジョン篭もりでの修行により、グワルから手ほどきを受けて。

新人としての成長で見れば100点以上だが、アーシャに勝てるかって意味では1点以下というような評価されてましたが。

挿絵でのサージェスのインパクトが全体的にひどい。ヒュージ・リザード戦では普通にできる人みたいな感じだったのに、新人戦でのアレは……ひどい(褒めてる)。

そりゃアーシャさんも固まるよ。むしろ初見で固まらない人いるのかよ……

 

綱が治療室に転送された後、「謎ギフト」に絡みそうな過去を回想していますが……彼の死因、失われている死ぬ数年前の記憶。

追加されていた「あいつに辿り着く」という言葉。未だ本編でも明らかになっていない、黒幕について伏線張られてる感じですねぇ。種明かしが今から楽しみです。

 

オマケに、短編と描き下ろしの中編も。短編はトマトさんが遠征してオリ主さんに会うアレなので良いですが。

描き下ろしのストーリーはダンジョンマスターとその仲間たちのエピソードで、かなり興味深いものでした。

 

いや、ダンジョンマスターたちの印象変わるな。

ダンマスが限界だって言うのは、ユキと逢った時から言われていましたけど、ダンマスの仲間も、同じ時間を過ごしているだけあってかなり歪んできてる様子です。

水の巫女。迷宮都市の領主。ダンマスの妻。多くの肩書を持ち、WEB版でもほぼ描写がない那由多についても触れられていて。

 

ダンマス以上にヤバい状態だとは。彼女が動き出したのって、やっぱり自分と同じことをした存在について知ったからかなぁ。

アーシャさんたちの両親って元ダンマスのパーティーなんですねぇ。夫の方は今も参加しているようですけど。

他にもダンマスの奥さんの名前とか、経歴なんかも触れられていたりして。

綱の出身地の事情についても、裏側暴露されてましたね。綱が去った後に崩壊したのか、現存してないなんて情報もしれっと描写されてました。

色々と新発見が多い読み応えのあるサイドストーリーだったと思います。

 

後、コレを読んで分かる新人戦のひどさ。

WEB最新話でされている無茶ぶりが難易度7なのに、新人戦難易度10だったのかよ……ダンマスが流星衝使うように誘導していたこともあったし、無理ゲーだったのは間違いないようで。

 

可能性が0ではないってだけで、奇跡の連発が前提という、ほぼ達成不可だろそれという課題。まぁ、綱達はダンマスの想定以上に食らいついて、影響を広げたようですが。

最初にハードル上げておけば、覚悟もしやすいという思惑もあったようではありますが。

これがバレたら綱達に殴られそう……いや、まったく聞かないですけど。どうか、綱達には見事駆けあがってダンマスどつけるぐらいに成長してほしいものです。

その無限の先へ (4) (MFブックス)
二ツ樹五輪
KADOKAWA/メディアファクトリー
2016-05-25
 
プロフィール

ちゃか

 友人に「活字中毒っていうか読書中毒」と評される程度には本が好き。適当に感想を書いていく予定。リンクはフリーでコメントはご自由に。悪質と判断したものについては削除する場合があります。

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